■サクソバンク証券が恒例の大胆予測を発表
サクソバンク証券の親会社であるサクソンバンクは、毎年、年末になると翌年の相場を予測したレポートを発表しているが、今回も「サクソバンクの2018年大胆予測」がリリースされた。
以下は、「サクソバンクの2018年大胆予測」の目次だが、ちょっとあり得ないのでは?なんて思ってしまうテーマばかり…。
それもそのはず、このレポートは「大胆予測」とあるように、実際に起こる可能性は低いものの、現実に起こった場合には市場に多大な影響を及ぼす10大テーマを取り上げているのだ。
そして、その中でとくに注目したいのが、昨年(2017年)、何かと注目を浴びたビットコイン。
目次を見てみると、タイトルに「政府の逆襲によって投資家のビットコイン離れが進む」とある。
さらにその下には「ビットコイン1000ドルまで下落(マイナス90%)」という衝撃的な見出しも…。
直近では高値圏でのレンジ相場となっているが、2017年のビットコイン相場は飛ぶ鳥を落とす勢いで、対円で一時200万円の大台を突破、対米ドルでも2万ドルの大台に乗せるまで急騰したこともあった。
それが、一気に1000ドル近くまで暴落するというのだから、確かに信じられないような話だ。
(出所:Bloomberg)
(出所:Bloomberg)
■2018年の大半はビットコインは好調維持だけど…
このように、ビットコインについて、かなり衝撃的なタイトルや小見出しがつけられているが、じっくり中身を読んでみると、2018年に入ってすぐにビットコインが大暴落すると予測しているわけではないらしい。
むしろ、ビットコイン相場は2018年の大半は好調さを維持するというのだ。
その理由としては、2017年12月よりCBOE(シカゴオプション取引所)やCMEでビットコイン先物取引が開始されたことが挙げられている。
なんでも、仮想通貨取引所に資金を投入するよりも、先物取引をする方が安心できる投資家やファンドによる影響が強まってくるそうなのだ。
CMEやCBOEで上場されているビットコイン先物に投資家やファンドの資金が流れ込めば、ビットコイン価格は大きく上昇しそうだが、そういうことなのだろうか。
ちなみに、CMEとCBOEのビットコイン先物の取引高(※)は以下のとおり。
(※編集部注:CMEとCBOEのビットコイン先物の最低取引単位は、CMEが1枚あたり5ビットコイン、CBOEが1枚あたり1ビットコイン。1枚あたりの価値はCMEがCBOEの5倍となる)
※表は1月物の12月18日~22日までの出来高推移 (出所:Bloomberg)
※表は1月物の12月11日~22日までの出来高推移 (出所:Bloomberg)
記者が市場関係者に聞いた話によると、ヘッジファンドや機関投資家はまだビットコイン先物には手を出していないという。もし、本格的に参入してくれば、取引高も一気に増えて、ビットコイン価格が急騰するような展開もあり得るかも…。
【参考記事】
●ビットコイン/円がついに200万円突破!! CMEビットコイン先物は日本で取引できる!?
●ビットコイン先物上場! ビットコインETF上場なら大量の機関投資家マネーが流れ込む!?
●ビットコイン・仮想通貨の取引所/販売所を比較。取引コストが安いのはどこ?
●「ビットコイン・仮想通貨のFX」ができる取引所を比較。上昇も下落も収益チャンスに
そして、このサクソバンクのレポートでは、ビットコイン価格は2018年に6万ドルまで上昇し、その時点での時価総額は1兆ドルを超えると予測されているのだ。
2018年1月5日(金)時点で、ビットコインの価格は1万5000ドルぐらい…。ということは、6万ドルだと約4倍に跳ね上がることになる。
なかなか簡単ではなさそうだが、でも2017年年初のビットコイン価格は1000ドル程度で、2017年年末には、一時2万ドルを超える場面も見られている。およそ20倍になった計算だ。そう考えれば、十分狙える目標ともいえるのかも…。
■ビットコイン相場崩壊!? 注目はロシアと中国!
このようにサクソバンク証券の親会社であるサクソンバンクが出した「2018年大胆予測」では、ビットコインは2018年の大半を好調と予測しているわけだ。
しかし、ここで気になるのは、目次にあった「ビットコイン1000ドルまで下落(マイナス90%)」という見出しだ。
6万ドルまで上昇して、そこから1000ドルまで反落……いくらなんでもそんな予測が成り立つのだろうかと思った記者。
(出所:Bloomberg)
そのシナリオの中心にいるのは、ロシアと中国だという。
なんでも、ロシアと中国が未認可の仮想通貨に対して、国内での使用を制限したり、禁止したりすることで、ビットコインは足もとをすくわれるというのだ。
すでに中国では、ICO(Initial Coin Offering)の禁止を打ち出したほか、中国国内の仮想通貨取引所に閉鎖を命じたと報じられていて、事実上、中国国内の取引所では、仮想通貨取引が一切できない状況になっている(詳しくは以下の記事を参照)。
【参考記事】
●ザイFX!で2017年を振り返ろう!(6) 暴君ビットコイン、天を衝く上昇相場を演出!
そして、今回のサクソバンクのレポートでは、ビットコインに限らず、さまざまな仮想通貨に対してロシアや中国が規制強化をしていくだろうとの見通しが示されている。
一方で、こうした規制強化の傍ら、中国は、電力消費の少ないマイニング(採掘)を可能にする公的な後ろ盾をもつ仮想通貨を導入すると予測している。
【参考記事】
●【超初級】 ビットコイン・仮想通貨入門(5) マイニングとはいったい何をしているのか?
中国のBitmain社が運営するマイニング施設内部。この施設は内モンゴル自治区にあるそうだ (C)Bloomberg/Getty Images
そして、そのようにして導入された国家管理の仮想通貨は、安定性や実際の支払いの利便性といった面で高い機能を持ち、その結果、従来からある仮想通貨への人々の興味が減少するというのだ。
そうなると、ビットコイン相場も崩壊し、1000ドル近辺まで下落するというシナリオを描いているようだ。
ビットコインの取引に興味があっても、このレポートを読むと、二の足を踏んでしまう人がいるかもしれないが、ビットコインにもFXと同じように、売りからでも取引を始めることができる「仮想通貨FX」がある。
ビットコイン相場が上下に大きく動いた場合に備えて、買いだけではなく、売りからでも取引を始められる口座を開設しておくのもいいかもしれない。詳しくは、以下の【参考記事】をご覧ください。
【参考記事】
●「ビットコイン・仮想通貨のFX」ができる取引所を比較。上昇も下落も収益チャンス
なお、日本の証券会社、FX会社では珍しいことだが、サクソバンク証券では海外先物が取引できる。このことから、サクソバンク証券でもしかしたら、将来的にビットコイン先物が取引できるようになるかも…という可能性について説明した記事は以下のとおりだ。
【参考記事】
●ビットコイン/円がついに200万円突破!! CMEビットコイン先物は日本で取引できる!?
(ザイFX!編集部・庄司正高)
【参考コンテンツ】
●ビットコイン・仮想通貨の取引所/販売所を比較。取引コストが安いのはどこ?
●「ビットコイン・仮想通貨のFX」ができる取引所を比較。上昇も下落も収益チャンスに
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