■来年の米ドル/円の動きを考えるうえでの注目材料は?
ここで、来年(2018年)の米ドル/円の動きを考えてみると、材料としては、1月にトランプ政権が発表する予定の米インフラ投資計画、FRB(米連邦準備制度理事会)の利上げ(予想は3回、一部では4回との予想も)、税制改革に盛り込まれた本国投資法(HIA)に伴う、米国への米ドルの還流(※)などがあります。
(※編集部注:「本国投資法(HIA)」は、ブッシュ政権下で2005年に実施された時限立法。この法律下で、米国内での投資や雇用の創出を目的に、米多国籍企業による米国送金時の税負担優遇などが行われた。トランプ大統領が同等の効果を狙っていることから、本国投資法第2弾(HIA2)とも呼ばれる)
インフラ投資計画に関しては、まだ何が出てくるかわからないですが、HIAに関しては、米国企業の子会社が海外に2.5兆ドルほどの資金を溜めており、これが米国に戻ってくるとされています。

トランプ政権の税制改革に盛り込まれたHIAによって、米企業が海外で保有する資金がどれだけ米国に還流してくるかが、2018年の注目材料の1つとなりそう (C) Chip Somodevilla/Getty images
ただ、大手金融機関の予想によれば、米ドル建てで保有している分が8~9割あるとも言われており、もしそのとおりであれば、為替市場への影響は小さくなり、米ドル/円の上値の幅も、大きくは望めないと思います。
【参考記事】
●米税制改革法案が成立したら米ドル下落!? ドル/円はいつ売ってどこで買い戻すべき?(12月19日、バカラ村)
ただ、そうであったとしても、米国に米ドルが戻ってくれば、インフレを招く可能性があることから、米ドル高になる可能性はあります。

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドルVS世界の通貨 週足)
■利上げ期待で米ドル高にはなりにくい…
3回と予想されている米利上げに関しては、過去の動きを見ると、米国が利下げから利上げに転じた局面では米ドルが上昇するものの、利上げを継続していく局面では、米ドルの上昇があまり見込めない動きをしています。

※FRBとBloombergのデータを基にザイFX!が作成
来年(2018年)は、利上げを継続していく局面のため、利上げ期待での米ドル買いは、材料としては弱いといえそうです。
米ドル/円の売り材料としては、日銀は緩和策を継続していますが出口論も出てきており、さらに、各国の主要中銀が、利上げやテーパリングに向かい始めていることです。
日本は再来年(2019年)に消費増税を控えているので、日銀は緩和策を解除しにくい環境ですが、市場の期待が先行すれば、円高の動きになるのではないかと考えています。
また、地政学リスクは残ったままで、北朝鮮や中東情勢もリスクとしてあり、ロシア疑惑もまだくすぶったままです。
さらに、来年(2018年)は米国の中間選挙があるため、トランプ大統領が貿易不均衡問題を強調してくる可能性もあります。
貿易不均衡の相手国としては、中国や日本やユーロ圏が挙げられますが、中国は景気調整局面に入っており、ユーロ圏は英国の離脱問題や加盟国の一部で政局不安もあるため、トランプ大統領の矛先が向きやすいのは日本になります。
「シンゾー・ドナルド」と表現されるほど仲が良い、と言われていますが、貿易不均衡問題を安倍首相がどこまでかわせるのか、そこが注目点となりそうです。
米ドル/円の過去20年間の変動率をみると、最も低かった…
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