■日本株に「持たざるリスク」が顕在化
あけましておめでとうございます。1月4日(木)から始まった日本株市場では4日(木)の日経平均が741円高、5日(金)も208円高とロケットスタートになりましたね。
欧州や中国のPMI、それに米ISMと年始に発表された経済指標が軒並み好調だったことも背景のひとつのようです。
(出所:Bloomberg)
リスクオンのスタートですね。海外の大手銀行が買っているとの話です。昨年(2017年)は米国株が急騰しましたから、ポートフォリオに占める米国株の割合が増えた投資家も多く、リバランスのため日本株を買っている可能性があります。
【参考記事】
●2018年初頭に注目したいのはユーロ/円! 米中間選挙に向けて米ドル/円は105円へ(2017年12月21日、西原宏一)
日経平均は不動産バブル高値とリーマンショック安値で引いたフィボナッチの50%を抜けてきました。
昨年(2017年)11月はこの50%の水準で反落しましたが、今回は明確に上抜け。「日本株を持たざるリスク」を投資家が意識し始めているのかもしれませんね。
1月第2週は例年、調整が入りやすい傾向があります。今週(1月8日~)にかぎっていえば、いったん調整するリスクもありそうです。
■株高とともにクロス円が上昇か
昨年(2017年)は日経平均が上がってもついてこなかった米ドル/円ですが、今回は113円台を回復しています。
(出所:Bloomberg)
今回のリスクオンでは米ドル安・円安となっているため、妙味があるのは米ドル/円よりもクロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)だと考えています。とくにユーロ/円ですね。
【参考記事】
●2018年初頭に注目したいのはユーロ/円! 米中間選挙に向けて米ドル/円は105円へ(2017年12月21日、西原宏一)
●2018年年初に注目すべき通貨ペアは…!? 米国株安と米金利上昇の綱引きもカギに?(2017年12月25日、西原宏一&大橋ひろこ)
ユーロが強いということですか?
ユーロは金利正常化に向かっていますが、まだ充分に織り込まれていません。ただ、ユーロ/米ドルは1.21ドルが強いレジスタンスとなっており、昨年(2017年)9月もここを抜けられませんでした。いずれ抜けるのでしょうが、もう少し時間がかかるかもしれない。
(出所:Bloomberg)
円については今年(2018年)どこかでテーパリング(※)が注目されて買われる場面がありそうですが、それはまだ先でしょう。そうなると足もとでは対米ドルよりも対円でのユーロ買いが合理的です。
(※編集部注:「テーパリング」とは、量的緩和政策により、進められてきた資産買い取りを徐々に減少し、最終的に購入額をゼロにしていこうとすること)
(出所:Blooberg)
■経済好調なカナダは利上げ再開か
クロス円では、加ドル/円はどうですか? 先週、1月5日(金)に発表されたカナダの雇用統計が好調、2カ月連続で強い数字となりました。
昨年(2017年)12月はいったん中断しましたが、利上げサイクルに入っており、早ければ1月17日(水)の政策会合での利上げ再開も期待されます。
週足を見ると、たしかに強い形ですね。
トランプ米大統領のインフラ投資がテーマとなるようならコモディティ(商品)には追い風です。
そのためかWTI原油は強含んでいますし、ペトロカレンシー(原油通貨)の加ドルは上値余地がありそうです。
(出所:Bloomberg)
(出所:Bloomberg)
悪くなさそうですね。いずれにせよ株高が続く限りはクロス円の買いでよさそうです。
ただ、気をつけたいのが豪ドル。金利バイアスからすると、米ドルと豪ドルの金利差が今年(2018年)、逆転する可能性があり、オーストラリアへ資金が流れにくくなっています。
【参考記事】
●2018年年初に注目すべき通貨ペアは…!? 米国株安と米金利上昇の綱引きもカギに?(2017年12月25日、西原宏一)
■株価反落の場面ではユーロ/円を拾いたい
コモディティでは金(ゴールド)も上がっています。株高・金(ゴールド)高ということは、インフレですね。
(出所:Bloomberg)
リーマンショック前の2008年がそうだったように、今年(2018年)はインフレがテーマとなって株高・金(ゴールド)高の進む1年になるのかもしれません。
同感です。今年(2018年)も何度か調整はあるのでしょうが、最後の上昇波を描いて大きく上がり、来年(2019年)に深い調整が入るようなイメージですね。
株価が崩れるきっかけとして、イールドカーブの縮小(米長期債利回りと短期債利回りの差が縮小)を指摘する人もいます。
過去、イールドカーブが逆転するとリセッション入りするパターンがあり、株価がトップアウトするという……。イールドカーブ逆転は、まだ先の話でしょうけれど。
経済指標が示すようにグローバル景気は好調だし、株価が上がる、それに連れてクロス円が買われやすくなる――。少なくとも年前半はそんな展開となるのかもしれないですね。
今週(1月8日~)の株価はアノマリー的に反落する可能性があり、落ちた場面ではユーロ/円を中心にクロス円を拾っていきたいと思います。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:世界の通貨VS円 日足)
(構成/ミドルマン・高城泰)
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