■英ポンド/円のターゲットは158円台後半!?
執筆中の現時点の英ポンド/円チャートは次のとおりで、再度高値更新を果しているから、前述のレポートのロジックなら、昨年(2017年)9月高値から形成されてきた大型保ちあいの上放れを再度確認したわけで、その「倍返し」の158円台後半のターゲットを狙えるのではないかと思う。
(出所:FXブロードネット)
換言すれば、足元では円高云々は大袈裟で、クロス円でみると、むしろ円安が進行する可能性が大きい。
■米ドル/円の下値余地が限定的であると考える根拠とは
そういうロジックを維持できる根拠は、何よりも米ドル/円の下値余地が限定的である、といった見通しである。何しろ、そうでなければクロス円の多くは、さらに上値余地を拡大することができないからだ。
また逆に言うと、クロス円の内部構造からみると、米ドル/円の下値余地は限定的であるといった感触が得られる。
前回(1月12日)のコラムでも強調したように、確かに昨年(2017年)年末から米ドル/円は米長期金利の上昇と「背離」した傾向を示してきたが、「悪い金利高」でない限り、そういった「背離」が正当化されることはなく、「背離」するのにも限度がある。
【参考記事】
●米長期金利上昇でサプライズのドル安に。「日銀騒動」はポジション調整の口実か(2017年1月12日、陳満咲杜)
また、一向にレンジ変動の値動きから離脱できなかったにもかかわらず、円売りポジションの積み上げがずっと見られてきたから、米ドル/円の反落は、むしろポジション整理の側面が大きかったのも既述のとおりであり、一巡すれば、米ドル/円の底打ちにつながると思われる。
米ドル/円は1月17日(水)安値110.19円からいったん切り返しを果たしたが、目先はなお弱気変動に留まっている。一方、109円台半ば~110円台前半はメインサポートゾーンとしてなお有力視され、下値余地があっても限定的といった判断は不変だ。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 日足)
■短期スパンでは「米ドル安だが円高になれない」市況が続く
短期スパンにおけるテクニカル上の節目は、1月17日(水)のレポートをもって説明したい。本文は以下のとおり。
(出所:FXブロードネット)
1月9日の「日銀騒動」がもたらした円高の進行、すでに九合目に入っていると思う。主な根拠は以下の通り。
まず、既述のように、昨年9月安値107.32を起点とした上昇波は継続される公算が大きく、昨年11月高値114.74を起点とした反落、調整子波と見做され、ジグザグ変動パターンを形成しているのも整合性を示す。
次に、上昇波に対する61.8%押しは110.10/20前後に位置、押しがこの前後に留まれば、調整子波としての位置づけは更に強化される。更に、昨年12月高値113.75から形成された「トライアングル」の下放れ、112関門割れをもって確認されたが、目下の安値はすでに同フォーメーションの指示値を達成している。
最後に、ジグザグ変動におけるN字型計算(C=A)では、110割れ程度で下値ターゲットを達成できるから、昨年9月15日の強気「リバーサル」に鑑み、同日安値109.56を割らない限り、一時のオーバーがあったとしても限定的であろう。昨年10月16日安値から引かれるサポートラインも109円台後半の支持を示し、ドル安・円高はすでに最終段階に入っているとみる。
このように、短期スパンでは「米ドル安だが円高になれない」市況はしばらく続くとみる。
■2017年の年初を思い出せば、今後の市況がわかる?
一方、米ドル安自体もそろそろ限界に近いのではと思う。ユーロ/米ドルや英ポンド/米ドルが高値更新している中では、米ドル安が「底なし」と思われがちだが、足元の状況は、昨年(2017年)年初と正反対であることを思い出していただきたい。
結論から申し上げると、昨年(2017年)年初までの米ドル高一辺倒の市場センチメントと同じく、目下米ドル安一辺倒の市場センチメントが間違いになる可能性は大きい。
米ドルに対する悲観的な見方は、昨年(2017年)年初から続く米ドル安の進行で強化されてきたと言えばわかりやすいが、強いて言えば、昨年(2017年)年初まで続いた米ドルの強気予想が大きく裏切られた反動でもあった。
しかし、その反動の行きすぎで、そろそろ米ドルの底打ちがもたらされ、また今年(2018年)のメイン基調を決定してくるだろう。
詳細はまた次回、市況はいかに。
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