■先進国の金融政策は今後も話題に
今年(2018年)に入って、米国を中心に、先進国の中で金融緩和からの脱却が始まるのでないかという観測から株価が急落する局面がありました。

(出所:Bloomberg)

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こうした懸念が、今後、しばしば話題にされる可能性があるので、まずは、そのことを頭に入れておく必要があるでしょう。
■金融市場に影響を与えかねない3つのリスク
それに加えて、金融市場に影響を与えかねないリスクが3つあります。
まず1つ目は、国内の政局です。
森友学園関連の決裁書改ざん問題で、今国会は大荒れになっています。
政治家の関与があったのかどうかは依然、不明のままです。しかし、財務省が意図的に公文書を改ざんしたというのは、紛れもない事実です。
ここ数年、民間企業でデータの改ざん等の不祥事が噴出してきました。それに対して、こうした不祥事を起こした企業のほとんどの社長は、辞任するという形で責任をとっています。
また、かつて「ノーパンしゃぶしゃぶ」で有名になった大蔵省接待汚職事件でも、当時の三塚大蔵大臣が辞任しました。こうしたレベル感で考えると、麻生財務大臣の辞任は、避けられない事態になる可能性は高いと思っています。
■安倍政権が倒れることがあれば株安・円高
この事案に関しては、安倍総理夫人の関与などが焦点になっていけば、安倍総理の責任問題にもつながる可能性がありますが、たとえそうでなくても、状況は厳しいです。
麻生大臣が、仮に辞任する事態になると、安倍政権は求心力を大きく失う可能性があります。
周知のとおり、今年、2018年の秋(9月)には、自民党の総裁選挙があります。
求心力を失った安倍政権に対して、自民党内で政局になったとしても、少しも不思議ではありません。

麻生財務相が辞任するような事態になれば安倍政権は求心力を失いかねず、9月の自民党総裁選に影響が出る可能性も… (C)Bloomberg/Getty Images
万が一、安倍政権が倒れるようなことがあれば、金融市場に対しては、一時的にマイナスの影響が出て、株価は下落し、円高になるでしょう。

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■米朝首脳会談は、まだまだ不透明
2つ目は、北朝鮮問題です。
米朝首脳会談を行うという電撃的な発表があり、世界を驚かせましたが、この問題に関しても、まだまだ不透明です。
それは、トランプ米大統領が周辺の意見を押し切って、独断で決断してしまったからです。

5月までに米朝首脳会談が開催されると伝わり、地政学リスクへの警戒感が後退する場面もあったが、トランプ米大統領が周辺の意見を押し切って独断で決断したことから、まだまだ不透明で注意が必要となりそうだ (C) Chip Somodevilla/Getty Images News
トランプ米大統領は、その後、北朝鮮から一定の提案が示されなければ会わないと言い出しています。まだまだ、先行きは見通せないので、注意が必要です。
■貿易摩擦がエスカレートすれば経済危機へ
そして、3つ目が貿易摩擦です。
トランプ米大統領は、鉄鋼に25%、アルミニウムに10%の輸入関税を課すことを正式に発表しました。
これに対して、EU(欧州連合)は、猛烈に反発。すでに、対抗措置の内容を決めています。
中国も、名指しで米国向けの貿易黒字を1000億ドル削減するよう求められると同時に、知的財産権の侵害で制裁措置を講じると通告され、猛烈に反発。こちらも、対抗措置を講じる用意ができています。
さらに、日本も米国向けの貿易黒字を減らせと要求されています。
【参考記事】
●トランプのツイッター砲が日本を直撃!! 基本は米ドル/円の戻り売りだが、慎重に(3月12日、西原宏一&大橋ひろこ)
こうしたことがエスカレートすると、世界経済が縮小し、経済危機を引き起こしかねません。
また、日本にとっては、1990年代の日米構造協議を彷彿させる状況となっています。あの時は、大幅な円高をもたらしました。
【参考記事】
●上値でのドル/円の買い持ちは即損切りを! 米国の貿易摩擦問題は改めて大問題に!?(3月7日、松田哲)

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■米ドル/円は107円前後になれば戻り売り
3つのリスクの中で、もっとも注意が必要なのは、貿易摩擦問題です。
こうしたリスクを抱えている状況では、円売りすることは回避した方がいいと、個人的には考えています。
【参考記事】
●米ドル/円は100円も視野! 強硬姿勢のトランプ米大統領。暴走は止められない?(3月8日、今井雅人)
●貿易戦争や地政学リスクが目先収束しても、今後米ドル/円が105円割れと考える理由は?(3月13日、バカラ村)
短期的には、米ドル/円で107円前後になれば戻り売りをし、下がったところを買い戻すという程度の取引を考えています。

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