■米中貿易戦争勃発も不安材料に
もう1つのマーケットの不安定材料が、米国の通商政策をきっかけとした米中貿易戦争の勃発。
まず、4月3日(火)に発表された米国の対中国に対する制裁関税の報道。
米、対中制裁1300品目に 知財侵害で原案
米通商代表部(USTR)は3日、中国の知的財産の侵害に対して発動する制裁関税の原案を公表した。産業用ロボットなど生産機械を中心とした約1300品目に25%の関税を課す。米国の消費者への悪影響を抑えるためスマートフォン(スマホ)や衣料品など輸入額の大きい消費財は除いた。中国も直ちに反応し、近く対抗措置を打ち出すと発表した。米中の貿易摩擦が一段と激しくなりそうだ。
5月下旬まで企業など一般から意見を募ったうえで対象品目を確定し、トランプ大統領が発動の是非を決める。実際に関税を発動すれば中国が報復措置に動き、本格的な貿易戦争に発展する恐れがある。
原案に入った対象品目は金属加工機や射出成型機、金型など企業が工場で使う生産機械が多い。化学品や医薬品も含めた。輸入規模は大きくないものの自動車や航空機なども盛り込んだ。
対象品目は2018年の想定輸入額で500億ドル(5兆3000億円)に相当する。17年の中国からの輸入額全体は5100億ドル。単純計算すれば輸入品の約1割に関税を課す形になる。
出所:日経新聞
米国が対象とした品目は、2018年の想定輸入額で500億ドル(5兆3000億円)に相当。
これに対し、中国財政省の朱光耀次官が「中国は外部からの圧力に屈したことはない」とコメント。同時に、米国に対して報復関税を発表しました。
中国、米製品106品目に対し新たな関税発表 輸入規模500億ドル相当
中国財政省は4日、大豆、自動車、化学製品、一部航空機、トウモロコシ製品など農産物を含む米製品106品目に対し、25%の追加関税を課すと発表した。商務省が発表した声明によると、対象品目の2017年の輸入規模は500億ドルに相当する。
出所:ロイター
記事にもあるように、米国の対象品目は、2018年の想定輸入額で500億ドル(5兆3000億円)に相当するようですが、中国も500億ドル相当に匹敵する報復関税を発表する展開となりました。
この中国の報復関税報道により、4日(水)の欧米市場では、NYダウが一時500ドルもの急落を演じたのですが、NY市場が終わってみれば、230ドル高でクローズ。
(出所:Bloomberg)
これは、中国の報復関税を想定内とみていた一部の参加者が、バイ・ザ・ファクトで利益確定に走った結果と言えます。
■マーケットは悪材料を織り込みつつある
このような、4月4日(水)のNY市場の米国株の急反発から、前述のFacebookを筆頭とした米ハイテク株の悪材料や中国の報復関税の報道は、マーケットが、いったん織り込みつつあると想定できます。
チャートを見てみると、NYダウは、200日移動平均線をサポートに反発。
加えて、2018年1月高値2万6616ドルとトランプラリーの起点となる2016年11月安値1万7883ドルの38.2%が2万3279ドルに位置しており、NYダウは、このレベルもキープして反発しています。
(出所:Bloomberg)
想定が正しいとすれば、4月は日本株が上昇する傾向もあり、そのアノマリーどおり、日経平均は上昇。それに呼応して、米ドル/円もいったん調整に入り、反発する可能性が高くなっています。
中期では、米ハイテク株の下落や米中貿易戦争といったリスクオフ要因が消えたわけではないため、セル・イン・メイに向けて、4月は米ドル/円、日経平均ともに戻りを演じる局面ではないかと想定しています。
(出所:Bloomberg)
(出所:Bloomberg)
セル・イン・メイに向けて、調整局面に入った日経平均と米ドル/円の行方に注目です。
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