■米中間の貿易戦争は続いているけれど…
為替市場のメイン通貨ペアとなる米ドル/円とユーロ/米ドルは、すでに2カ月以上、もみ合いが続いています。
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市場のテーマとなっている貿易戦争は、まだ米中間で続いているのですが、相場の方は膠着したままです。
■米国の追加関税に中国が対抗
4月3日(火)には、米国が中国に対して、ハイテク分野を中心に500億ドル規模の追加関税案を発表しました。
すると、4月4日(水)には、中国が米国と同じ規模となる500億ドル相当の、大豆や航空機などの米国製品106品目に対して、25%の追加関税を課す計画を発表しました。
そうすると、今度はトランプ大統領が、1000億ドル規模の追加関税を検討。それに対して中国は、中国人民元の切り下げを示唆して対抗してきました。
米国が対中国の貿易不均衡を解消しようとすると、それに中国も対抗してくる動きが続いています。
【参考記事】
●米ドル/円は100円へ?それとも110円へ? 鍵を握るのは米中の貿易摩擦を巡る交渉(4月5日、今井雅人)
●「まるで子どものケンカ」の米中貿易戦争を市場は無視!? 今晩の雇用統計が試金石に(4月6日、陳満咲杜)
それがリスク回避の動きにつながるため、株式市場にも積極的な買いが出てきにくいようで、上値が重いままの展開となっています。
(出所:Bloomberg)
(出所:Bloomberg)
■米為替報告書と日米首脳会談が注目イベントに
これだけ悪材料が出てきても、米ドル/円やユーロ/米ドルは膠着しており、為替市場は新たな材料が出てこないことには、動きが限られます。
目先の重要イベントとしては、4月中旬(例年4月15日ごろ)に発表される、米財務省の為替報告書と、4月17日(火)~18日(水)に予定されている、日米首脳会談になります。
為替報告書では、日本が為替操作国に認定されるかが注目されますが、現在の米ドル/円が106円台を中心に推移していることもあり、まだ認定されることはないと思います。
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■米ドル/円の当面のレンジは105~110円か
悪材料が出ても下げない米ドル/円は、まだしばらく、底堅い展開になるのではないかと思いますが、貿易戦争懸念が燻り続けるため、上値も重い展開となり、まだ膠着した相場が続きそうです。
【参考記事】
●米中の貿易問題はチキンレースの様相へ! 米ドル安続きそうだが新年度入りには注意(3月27日、バカラ村)
下げ渋っていることから、4~5月程度の期間であれば、105~110円ほどのレンジ内で推移しそうです。
(出所:Bloomberg)
短期的には、もし今週末(4月13日)に向かって上昇しているようなことがあれば、週明け(4月16日)は下がりやすい動きになるのではないかと考えています。
【参考記事】
●米ドル/円はまだ大底を付けていない! 一時的に上昇しても長続きしない理由は?(4月3日、バカラ村)
■米ドル/加ドルがヘッド&ショルダーを形成!
4月9日(月)は、NAFTA(北米自由貿易協定)の再交渉に進展が見られたこともあり、加ドル高が進行しました。
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以下の日足チャートに示していますが、テクニカル的には、米ドル/加ドルは3月に1.28加ドルをネックラインとしたヘッド&ショルダー(※)を形成しつつありました。3月の時点では1.28加ドルの水準はサポートとなっていました。
(※編集部注:「ヘッド&ショルダー」はチャートのパターンの1つで、天井を示す典型的な形とされている。人の頭と両肩に見立てて「ヘッド&ショルダー」と呼び、仏像が3体並んでいるように見えるため「三尊」と呼ぶこともある)
(出所:Bloomberg)
これが、今月(4月)に入って1.28加ドルのネックラインを下抜けしてヘッド&ショルダーが完成。そして、昨日(4月9日)はリターンムーブが発生して、1.28加ドルがレジスタンスであることが確認されました。3月までサポートであった水準がレジスタンスに転換したのです。
このようなことから、米ドル/加ドルはテクニカル的なターゲットとして、1.25加ドルまで下がる可能性があります。
米ドル/円やユーロ/米ドルは膠着していますが、5月に向けてNAFTAの交渉が進展する可能性もあるため、米ドル/加ドルは売り方向ではないかと考えています。
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