■ミサイル発射のカウントダウンは始まっている模様
先週(4月2日~)末には、シリアのアサド大統領が、反体制派が拠点とする町で化学兵器を使用したとの報道が流れ、前述のトランプ大統領のツイートにあるように、ミサイル発射のカウントダウンが始まっている模様です。
トランプ大統領のツイートによれば、「われわれとロシアの関係は冷戦時代を含め、史上最悪だ」とのこと。こうした不安定な環境は、株にとっては当然ネガティブ材料で、米国株の上値は重い展開にとなっています。
(出所:Bloomberg)
欧米短期筋は、実際にミサイル攻撃が始まれば、株や米ドル/円を買い戻すとの思惑もあるようですが(バイ・ザ・ファクト)、短期は別として、現在の金融市場は、
(1) 米中貿易摩擦(戦争)
(2) シリア問題をきっかけとした米国とロシアの対立
(3) 米ハイテク株の反落
などといった不安定要素が多く、株の戻りも限定的です。
年初からの「株安・円高」の流れは、変わりません。
来月(5月)からの「セル・イン・メイ」に向けて、4月は「株、米ドル/円」ともに調整で反発する方が相場の流れとしては自然なのですが、「シリア問題勃発」の影響から、今月(4月)も「米ドル/円、日本株」ともに、戻りは限定的となっています。
■調整終了のユーロ/米ドルは上昇トレンド回帰へ
もう1つの注目は、ユーロ/米ドル。
米ドル/円と同様、今年(2018年)のユーロ/米ドルも米ドル安に振れ、一時1.25ドル台まで高騰(高値は1.2555ドル)しました。
ただ、1.25~1.26ドルの強烈なレジスタンスに阻まれ、調整に入っている状況です。
ここで、ユーロ/米ドルの1.25ドル~1.26ドルレベルが、なぜ重たいのか、テクニカル分析でチェックしてみます。
(出所:Bloomberg)
注目すべきポイントは、3点あります。
(1)2008年7月高値(=1.6038ドル)から引いた10年にわたるレジスタンスラインが1.2630ドルレベルに位置していること
(2)2008年7月高値(=1.6038ドル)と2017年1月安値(=1.0341ドル)の38.2%戻しが1.2517ドルに位置していること
(3)200カ月移動平均線が1.2486ドルに位置していること
この3つの強烈なレジスタンスがユーロ/米ドルの上値を阻んでいるのです。
ユーロ/米ドルが、2月16日(金)に1.2555ドルの高値をつけて調整に入ってから2カ月が経過。その調整過程においても、ユーロ/米ドルの下値は1.21ドル台止まりであり、限定的です。
2カ月の調整期間を経て、ユーロ/米ドルは再び上昇トレンドに回帰し始めています。動意を見せ始めたユーロ/米ドルの動向にも注目しましょう。
「われわれとロシアの関係は冷戦時代を含め、史上最悪だ」とトランプ大統領がツイートするほど、現実的に両国の関係が悪化しているとすれば、そうした環境は、株にとってはマイナスです。
「株下落=リスクオフ」の環境が続くのであれば、「セル・イン・メイ」のアノマリーがある5月を待たずに、米ドル/円は再び反落する公算が高まってきます。
徐々に上値が重くなってきている米ドル/円と、調整期間を経て、上昇トレンドに回帰しつつあるユーロ/米ドルの動向に注目です。
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