■取引所FXは即、不招請勧誘を禁止にすべき
永沢メンバー 1つ先ほど、言い忘れたわけではないのですが、最後の会のときに申し上げようと思っていたことです。取引所FXの不招請勧誘に関しては、即、不招請勧誘をしてはならないというふうにすべきであると私は思っています。
この類のデリバティブ取引に関して、上場しているからということで、上場ETFの難しいものも含めて非常に問題がある取引があります。先ほど、上柳委員から不招請勧誘の話が出ましたので、私はこちらのほうは取引所FXについて不招請勧誘を禁止するとしていくのが望ましいと思っています。
ちょっと今回の議論とは別になりますが付け加えさせてさせていただきたいと思います。
池尾座長 どうぞ、弥永さん。
■弥永教授:決済リスク対応のためのレバレッジ規制は適正な水準を見いだしにくい。財務規制の強化、ストレステストの強化などのほうがいい
弥永真生メンバー(筑波大学ビジネスサイエンス系 教授。以下、「弥永メンバー」と記載) ありがとうございます。
私も他の委員の先生方と同じような、共通する意見を持っている部分もあるのですが、今日、神田教授のお話を伺って、この2のような、業者の破綻の点についてこれまで想定していないで議論してきたと思うわけです。
それはさて置いて、そもそも業者が破綻するのを予防することは非常に重要なわけで、その点、このシステミックリスクのほうで神田教授が指摘なさったようなこういう処方箋は適切ではないかと私は思っています。
そして、【聞き取り不明】などはこの証拠金倍率規制というもので少し役割分担したほうがいいというご意見だと思うのですが、私は、いけないとは思いませんがしかし、この証拠金倍率規制は、決済リスクの局面においてはあまりにも大雑把、少なくとも過剰にもなるし過少にもなる、かつ、あまり理論的に裏付けることは難しいので、これはやはり決済リスクの局面に着目するのであれば、やはり神田教授がご指摘になっている、そして他の委員の先生方もご支持なさっている財務規制の強化、ストレステストの強化の点とか、あるいは、私は今日、神田教授のお話を伺って、場合によればやはりCCPを一定の範囲でカバー取引については要求するとかといった、そういうことを考えられてもいいのかなという印象は受けました。
そしてさらに、このストレステスト、現在、金先協会さんでやっていらっしゃるこのストレステストですが、ご説明を伺っていると、一方ではかなり過剰な、保守的な想定でストレステストをなさっているわけですが、神田教授のお話を伺っている中でもG-SIFIsなどを考慮に入れないということの合理的な根拠はなかなか見つけられないような気がしており、その意味では、ストレステストの見直しが店頭FXについて少なくとも必要なのではないかという感想を抱いております。
仮に、こういういわば財務規制強化とかストレステストの強化というものを緻密に行うことができない、あるいは適切に行うことはできない、その次に挙がっているような、協会とか当局への報告義務を強化、早期是正措置を期待することが結構資源的に、協会とか当局の資源を必ずしも注ぐことができないというのであれば、非常に大雑把ではあるけれども、証拠金倍率規制でリスクを、少なくともこの未収金リスクのところだけは小さくすることはあると思いますが、あくまでも支払い、決済リスクとの関係で言えば、この証拠金倍率規制は非常に限られた範囲でしか有効性はないことはよく認識して話を進めたほうがいいのではないかという印象は受けました。
最後に、取引の不透明性などといった問題との関連で証拠金倍率規制が何らかの実効性を有するかどうかは、それはまた別途に検討したほうがいいと思いますが、取引の不透明性というのは多分にこの顧客の行動に何らかの影響を与えている、坂委員も指摘なさっていたと思いますが、ひょっとすると業者にとって不当に有利な方向に働くのではないかとか、あるいは、ある相場が変動するときに、やはり価格付けが適切に行われないのではないかという、仮に投資家、顧客が誤解しているかもしれないし、そのように認識してしまったときに、その行動が何らかの不適切な、本来合理的でない行動を引き起こしてしまう、顧客の行動を引き起こしてしまう恐れはやはり少し検討したほうが、この決済リスクとの関係でもいいのかもしれないという印象を受けました。以上です。
池尾座長 どうもありがとうございました。
■池尾教授:規制強化ありきではない。現状のシステミックリスクの大きさをまず評価しないといけない
池尾座長 座長としては逸脱した発言になるかもしれませんが、規制強化ありきではないと思っています。現状のシステミックリスクの大きさをまず評価することをやらなければいけません。
現状、許容できない規模のシステミックリスクをわれわれは抱えているということであれば規制強化という話になりますが、現状存在しているシステミックリスクが許容範囲を超えたものだという現状認識は正しいということなのかという問題をまず詰めないことには、こういう方策を強化すべきだという議論は論理的には問題があるような気がします。そこら辺はいかがでしょうか。
弥永メンバー 私は許容できない状況にあるのかが分からないのが実態です。本当にこれで許容範囲に入っているのかという自信が持てないので、神田先生のご意見に乗りたくなったというのが実態です。何かが起きたときに本当に耐えられるかどうかということに確信が持てない、そういう状況です。
永沢メンバー 池尾先生がおっしゃることは私も分かる気はします。ただ、冒頭にも申し上げましたし、先生がおっしゃったように、本当にシステミックリスクがあるのかどうか、どの程度あるのか、5000兆円という規模とか、25倍だったらどうなのかというところが実のところよく分からないというのが正直なところです。
一方で、先ほど申し上げたように、神田先生の2と3以降のところにも問題意識があると思うのですが、少し自分として混在していると思いますが、1のシステミックリスクに関してのみ申し上げると、分からないから、あるのかどうかというところを誰がこれを説明する立場にあるのかが私としては、それは誰なんでしょう?というところをお聞きしたいと思っております。
少なくとも利用者ではないと思いますし、事業者なのか金融庁なのか、どうなのだろうかというところです。
■坂弁護士:店頭FXはCCP(中央清算機関)にカバーを集中すれば、リスクを低減できる
坂メンバー 確かに分からない疑念があるかとは思うのですが、少しいくつか気になる数字があるのは、取引所の計測の結果で、先ほど来、出ていますが、568億円という数字が出ていたり、最大と最小で8倍の差があるという数字が出ています。こういったことです。
もう1つ数字で気になるのは、実は協会さんの出されている資料の4ページ、未カバーポジションの上限額の最高値が、これが取引額上位10社の最高が1585億円で、11位以下が100億円となっています。
これはちょっと大丈夫なんだろうかと率直にびっくりした数字です。
※「店頭FX業者の決済リスクへの対応に関する有識者検討会」(第4回)の資料3「金融先物取引業協会資料」より、4ページの「未カバーポジションについて(その1)」を掲載
リスクがどの程度あるのかを、先日のヒストリカルデータに基づくリスクの計測等の検討など、そういった部分も含めてきちっと議論していく必要があろうかと思いますが、やはりこのままにしていいのかなという状況にあるということなのではないかという印象を持っています。
また、リスクとの関係で言いますと、先ほど、取引所のリスクと店頭FX業者のリスクは異なるというお話があったのですが、その中で、カバー取引先の負担リスクというのは、先ほどの発言の補足ではありますが、これはCCPにカバーさせる、カバーを集中することにすれば、かなりこのリスクが低減できるのではないかと感じています。
そういったことも含めて今後検討いただければと思います。以上です。
池尾座長 どうもありがとうございました。手短にお願いします。
上柳メンバー システミックリスクがあるのかどうかについては、考え方としては、それは大丈夫だと説明いただきたいと思っているのですが、先ほどの繰り返しになるかもしれませんが、取引所さんのストレステストによると2016年6月、これはたぶんBrexitのときではないかと思うのですが、このときに店頭FXと取引所FXでいわゆるどこかの時点での残高がどの程度の差があったのかということを考えると、何か推計ができるような気もします。自信がないのでそのように私は思っていて、すごい数字になるのかなと恐れたということです。
池尾座長 どうもありがとうございました。
まだまだ議論すべき点があることが分かってきましたが、そろそろ時間がまいりましたので、本日の討議はこれぐらいにさせていただきたいと思います。
いただいたご意見等を踏まえ、事務局で整理をしていただいて、考え得る論点を整理する形で引き続き議論を進めていきたいと思います。よろしくお願いします。
システミックリスクの可能性等について、また見解等がありましたら教えていただきたく、よろしくお願いします。
では、事務局より連絡事項等ございましたらお願いします。
事務局 次回の検討会の日程はまた皆様のご都合を踏まえた上で後日事務局よりご案内させていただきたいと思いますのでよろしくお願いします。以上です。
池尾座長 それでは、どうもありがとうございました。以上で本日の会合は終了ということになります。
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