(【全文書き起こし1/3】 店頭FX業者の決済リスクへの対応に関する有識者検討会(第4回)」からつづく)
前回に続き、金融庁にて2018年4月13日(金)に行われた「店頭FX業者の決済リスクへの対応に関する有識者検討会(第4回)」の全文書き起こしをお届けします。
この第4回有識者検討会の参加者は以下のとおりです。
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池尾和人氏 | 立正大学経済学部 教授 | ||
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上柳敏郎氏 | 東京駿河台法律事務所 弁護士 | ||
勝尾裕子氏 | 学習院大学経済学部 教授 | |||
黒沼悦郎氏 | 早稲田大学法学学術院 教授 | |||
坂勇一郎氏 | 東京合同法律事務所 弁護士 | |||
永沢裕美子氏 | Foster Forum 良質な金融商品を育てる会 事務局長 |
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松井秀征氏 |
立教大学法学部法学科 教授 ※メンバー表には掲載されているが欠席 |
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弥永真生氏 | 筑波大学ビジネスサイエンス系 教授 | |||
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星野昭氏 | 三菱UFJ銀行 金融市場部長 | ||
伊藤渡氏 | 東京金融取引所 代表取締役専務 | |||
山崎哲夫氏 | 金融先物取引業協会 事務局長 | |||
鬼頭弘泰氏 | GMOクリック証券 代表取締役社長 | |||
高村正人氏 | SBI証券 代表取締役社長 | |||
松田邦夫氏 | セントラル短資FX 代表取締役社長 | |||
緒方健太郎氏 | 財務省国際局為替市場課長 | |||
重本浩司氏 | 日本銀行金融市場局為替課長 | |||
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神田秀樹氏 |
学習院大学大学院法務研究科教授 ※検討会の前半ではさまざまな意見を 述べたが、後半は退出 |
※金融庁配布の「資料1」を基本としつつ、ザイFX!編集部が松井秀征氏の欠席と参考人の神田秀樹氏を書き加えた。
今回の書き起こしは全3回のうちの2回目であり、神田参考人が退席したのち、金先協会、店頭FX会社、くりっく365、メガバンクから出席したオブザーバーが説明を行っている部分を対象としています。
書き起こしについては細心の注意を払っておりますが、録音した音声が必ずしも鮮明ではない部分もあり、書き起こした文に誤りのある可能性もないとは言えません。その点はあらかじめ、お断りさせていただきます。また、どうしてもわからない箇所は【聞き取り不明】と記載しています。そして、話し手の言い回しを厳密にそのまま再現しているとは限らず、意味が違ってしまわない範囲で、どうしても冗長となりがちな話し言葉を簡潔な表現にしている部分もあります。
文中に挿入した小見出しはザイFX!編集部で作成したものです。
有識者検討会は配布された資料に基づいて行われています。文中にはその資料を適宜挿入しました。その中には第4回以外の有識者検討会で配布された資料も含まれています。
資料は金融庁の以下のウェブページでも見ることができます。
【参考ページ】
●店頭FX業者の決済リスクへの対応に関する有識者検討会(金融庁公式サイト)
なお、著作権法第三十二条では、国などが一般に周知させることを目的として作成した著作物は、説明の材料として新聞などに転載してよいとされています。
では、全文書き起こしの続きをどうぞ(ザイFX!編集部)。
池尾和人座長(立正大学経済学部 教授。以下、「池尾座長」と記載) 続いて、前回までの質疑に関連した補足の説明を順次お願いしたいと思います。
まずは金融先物取引業協会の山崎オブザーバーからお話をお願いします。
■金先協会:店頭FX業者のリスク管理に関するアンケート結果を報告
山崎哲夫オブザーバー(金融先物取引業協会 事務局長) 資料3をご覧ください。前回の勉強会で申し上げました店頭FX業者のリスク管理に関するアンケートの結果がまとまりましたので要点をご説明します。
※「店頭FX業者の決済リスクへの対応に関する有識者検討会」(第4回)の資料3「金融先物取引業協会資料」より、1ページの「店頭FX取引のリスク管理に関するアンケート調査結果について」を掲載
山崎オブザーバー 2ページをご覧ください。今回のアンケートは、店頭FX取引を取り扱っている53社のうち48社に回答をいただいています。調査項目はこちらに記載の6項目となっております。
※「店頭FX業者の決済リスクへの対応に関する有識者検討会」(第4回)の資料3「金融先物取引業協会資料」より、2ページの「アンケート調査概要」を掲載
山崎オブザーバー 3ページをご覧ください。3ページでは、市場リスクに携わる役職員数をお答えいただいています。やはりFX業者の規模により専担の職員数がかなり異なっています。取引高が大きいFX業者ほど専担の人数も多いということです。
※「店頭FX業者の決済リスクへの対応に関する有識者検討会」(第4回)の資料3「金融先物取引業協会資料」より、3ページの「市場リスク管理体制」を掲載
山崎オブザーバー 4ページからは、業者が未カバーポジションについてどのように感じているかについて質問をしています。見てお分かりいただけるように、未カバーポジションを有する全ての業者が上限額を設定しています。
※「店頭FX業者の決済リスクへの対応に関する有識者検討会」(第4回)の資料3「金融先物取引業協会資料」より、4ページの「未カバーポジションにいついて(その1)」を掲載
山崎オブザーバー 一方、未カバーポジションが発生していない業者は設定をしていません。また、問3で設定している上限額を質問したところ、上位と11位以下の業者では大きな開きがあるようです。特に、上位10社の中でも最高金額を設定している業者の上限額は大きな金額となっています。
また、問4では、11位以下の上限額の考え方について一例をお示ししています。いずれも自己資本規制比率、収益力、市場の変動率、このようなものをファクターとして上限額を設定していただいているようです。
5ページをご覧ください。上限額の見直しについて質問をしています。対象のほぼ全ての業者が上限額見直しの仕組みを持っています。
※「店頭FX業者の決済リスクへの対応に関する有識者検討会」(第4回)の資料3「金融先物取引業協会資料」より、5ページの「未カバーポジションにいついて(その2)」を掲載
山崎オブザーバー 問4と同様に、11位以下の例を見ると、そのトリガーは期待収益と想定損失とのバランスが崩れた、もしくは崩れるであろうと予想した場合。変動費率の上昇が予想され得るイベントリスクが発生した、もしくは発生が予想される場合などと整理ができると思います。
6ページをご覧ください。未カバーポジションのモニタリング体制について質問しております。問7は4ページ目の問2で上限額を設定していると回答した業者のうち、取引高11位以下の15社に対して行いました。この15社はいずれもEトレーディングを行っている業者です。
※「店頭FX業者の決済リスクへの対応に関する有識者検討会」(第4回)の資料3「金融先物取引業協会資料」より、6ページの「未カバーポジションについて(その3)」を掲載
山崎オブザーバー 設定した上限額と同時に稼働しているかをモニタリングしている。Eトレーディングの中にいろいろなポジションの設定等をしておりますので、それが設定後に稼働しているかということをモニタリングしているものでございます。
ただ、回答例を見ると、トレーディングとしてモニタリングしているのか、もしくはリスク管理としてのモニタリングはしているのかというところは若干混在されている、そのような【聞き取り不明】もかかわっているようです。
■金先協会:3分の2程度のFX会社が保有可能建玉制限のルールを持っている
山崎オブザーバー 7ページをご覧ください。顧客の建玉管理について質問をしています。建玉に上限を設けているかという問いに対しては、取引高上位10社、また、11位以下の業者とも3分の2程度が保有可能建玉制限のルールを持っているようです。
※「店頭FX業者の決済リスクへの対応に関する有識者検討会」(第4回)の資料3「金融先物取引業協会資料」より、7ページの「未収金リスクについて(その1)」を掲載
山崎オブザーバー さらに、重大な政治・経済イベントの前など、異常相場となる可能性がある場合、実際に発動したかについて問9で質問をしています。このルールを持っていると回答した業者のうち、取引高上位の業者では約66%、11位以下の業者でも約33%が実際に発動したことがあると回答しています。
続いて8ページです。8ページでは、レバレッジの引き下げについて…
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