■突然やってきたリスクオフ相場
みなさん、こんにちは。
5月になると、例年「セル・イン・メイ」が警戒されるようになります。
ただ、日本のゴールデンウィークと日経平均のSQ(※)を無事に終えると、マーケットのセンチメントは徐々に変わってきます。
(※編集部注:「SQ」とは、日経225先物などの株価指数先物や株価指数オプションといった取引の最終決済を行なうための価格のこと)
そして、今週(5月21日~)は5月4週目。
5月も4週目に入ると、マーケットの雰囲気は随分、好転します。
つまり、多くの金融関係者の間では、今年(2018年)は、もう「セル・イン・メイ」はこないというセンチメント。
ただ、アルゼンチンやトルコといった新興国通貨の「フラジャイル2」が急落している時に、リスクオフ(株安・米ドル高・円高)にならないことに違和感を持っていたトレーダーは、自分自身も含めて少なくはありませんでした。
【参考記事】
●イタリア政局の不透明感でユーロ急落! リスクオフ要因多数!? 地政学的リスク警戒(5月17日、西原宏一)
●ドル/円111円台維持ならセル・イン・メイはなさそう。3%台定着の米長期金利がカギに(5月21日、西原宏一&大橋ひろこ)
ところが、5月23日(水)の東京市場から「株安・米ドル高・円高」のリスクオフ相場が再来しました。ちなみに、この5月23日というのは、5年前に「バーナンキショック」と言われ、一挙にリスクオフが到来した日でもあります。
■トルコリラ/円は5分間で1円急落!
アルゼンチンペソから始まってトルコリラに飛び火し、新興国通貨が急落したことで、5月23日(水)日本時間早朝、本邦のFX会社において、トルコリラ/円のストップロスがトリガーされ、5分間で1円も急落しました。

(出所:Bloomberg)
2013年5月23日の「バーナンキショック」も、新興国通貨の急落がリスクオフのきっかけでしたが、今回もフラジャイル2のトルコリラの急落がきっかけとなりました。
米ドル/円は、5月21日(月)の高値である111.40円レベルから、一気に2円近く急落。

(出所:Bloomberg)
日経平均も、2万3000円がサポートできず、急落しました。

(出所:Bloomberg)
米ドル/円は、今週(5月21日~)の月曜高値である111.40円が、当面の高値になるのでは? と考えています。
■イタリア政局不安もあり、ユーロ/円は123円へ
加えて、もう1つ注目の通貨ペアは、前回のコラムでご紹介させていただいた「ユーロ/円」。
【参考記事】
●イタリア政局の不透明感でユーロ急落! リスクオフ要因多数!? 地政学的リスク警戒(5月17日、西原宏一)
まず、前回のコラムからの抜粋。
先月(4月)から下げ足を速めているユーロ/米ドルですが、下記の欧州政局の不透明感も加わり、今週(5月14日~)も続落。
イタリア政局を巡っては、ポピュリスト政党の議員が欧州中央銀行(ECB)に債務減免を求めることが検討されていると述べて懸念が広がり、イタリア国債が下落。クロス取引でユーロが売られた。
出所:Bloomberg
イタリアでは、EU(欧州連合)との軋轢を生むような報道が多くなっています。
たとえば、ミニBOT(政府債務支払いに使う少額の短期債券)の発行などです。
結果、イタリア10年国債利回りの対独10年国債利回りスプレッドが拡大していることが、ユーロ/米ドルの下落を誘引しているため、引き続き、イタリアの政局の行方に注目したいところ。

(出所:Bloomberg)
このイタリアの混迷がユーロの上値を抑えていることに加え、米ドル/円の上値が重いことを鑑みれば、前回のコラムに続き、注目はユーロ/円の行方ということになります。
【参考記事】
●イタリア政局の不透明感でユーロ急落! リスクオフ要因多数!? 地政学的リスク警戒(5月17日、西原宏一)
以下は、ユーロ/円の週足チャートです。

(出所:Bloomberg)
下値のめどは、まず、フィボナッチリトレースメントの38.2%に位置する126.83円、50%であれば123.54円となります。
イタリアの政局の混乱を、まだマーケットが十分に織り込んでいないと仮定すれば、ユーロ/円は、123円に向けて下落の過程にあると考えられます。

(出所:Bloomberg)
イタリアの政局の混乱も加わり、123円に向けて続落中のユーロ/円の動向に注目です。
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