■アルゼンチンを筆頭に新興国から資金が流出…
みなさん、こんにちは。
5月に入ってからの金融市場での注目は、まず、新興国。
アルゼンチンは、5月4日(金)に緊急利上げを決定。4月27日(金)以降、8日間で3回目となる利上げで、政策金利は40%へ……。

(出所:Bloomberg)
政策金利が4%ではなく、40%という数字に驚かされます。
それでも、アルゼンチンペソの下落は止まらず…。
【参考記事】
●アルゼンチンが政策金利を40%に引き上げ! 新興国通貨にバーナンキショック再来も!?(5月7日、西原宏一&大橋ひろこ)

(出所:Bloomberg)
また、4月に利上げを実施したトルコリラも続落。

(出所:Bloomberg)
つまり、こうした新興国から資金が流失しているわけです。
■新興国からの資金の流出先は米ドル
その資金の流出先は、米ドル。
この資金移動のきっかけは、米国の連続利上げによる米長期金利の上昇。米長期金利は、再び3.00%台を回復しています。

(出所:Bloomberg)
米金利が上昇してくると、リスクをとって新興国通貨へ投資している資金が米国に還流してきます。
結果、米ドル高に。
こうした資金フローの動きは、2013年のバーナンキショックを思い起こさせます。
【参考記事】
●日経平均大暴落! 豪ドルに悪材料続出! 急落中の豪ドル/円、下値メドは95円か(2013年5月23日、西原宏一)
当時、バーナンキFRB(米連邦準備制度理事会)議長が金融緩和の縮小を示唆したことで、新興国の株価や新興国通貨が急落。
通貨防衛のため、新興国の中央銀行は利上げで対抗しましたが、効果はありませんでした。
これが主要国にも影響を及ぼし、リスクオフに。
呼応して、米ドル/円が急落しました。
ただ、今回は、米国株が高値圏を維持していることもあり、米ドル/円は米金利上昇に呼応して、109円台の高値圏で推移しています。
■大型M&A相次ぎ、米ドル/円を押し上げ
この米ドル/円の高止まりは、相次ぐ大型買収の報道が影響しています。
まず、先月(4月)から話題となっていた、武田薬品とアイルランドの製薬大手シャイアーの買収による資金フロー。
買収は、新株発行と現金によって行われるようですが、注目は、現金部分の約3兆円。報道によれば、武田薬品は必要な資金を調達するため、308.5億ドルのブリッジローン(※)契約を結んだようです。
(※編集部注:「ブリッジローン」とは、一時的に資金をつなぐための短期融資のこと。つなぎ融資と呼ばれることもある)
加えて、今週(5月7日~)、いきなり報道されたリクルートによる買収報道も、米ドル/円相場を押し上げています。
武田薬品に続いて、リクルートが買収発表。相手は、米オンライン求人サービス大手のGlass Doorです。
買収金額は12億ドル。
「IN CASH」、つまり現預金で買うとの事。
この買収は、武田薬品のケースと違って「現預金で」との記載があるため、米ドル/円相場へ直接、影響があると想定されます。
この2つの買収報道が米ドル/円を底堅くし、109円台まで押し上げてきました。

(出所:Bloomberg)
ただ、既報のように、武田薬品のシャイアー買収は308.5億ドルのブリッジローン契約なので、短期的に見れば、米ドル/円相場への影響はありません。
次に、リクルートの買収はサプライズではありますが、金額が12億ドルであり、マーケットを下支えするだけの規模ではありません。
■新興国の混乱が続き、主要国の株価に影響が及ぶと…
一方、米国がイランの核合意を破棄したという報道で、米国株は不安定な状況となり、乱高下が続いています。
加えて、前述の新興国から資金が流出しており、バーナンキショックを懸念する声も上がっています。
結果、米金利の上昇により、米ドルの上昇は変わらず。
短期的には、ユーロ/米ドルや英ポンド/米ドルは、売られ過ぎです。調整はあるのでしょうが、上値が重い展開となっています。

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/米ドル 日足)

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:英ポンド/米ドル 日足)
さらに、新興国の混乱が続き、主要国の株価に影響が及ぶと米ドル/円の下落要因となります。
上述のような大型買収案件の報道があっても、米ドル/円は110.00円レベルを攻めあぐねている展開です。
こうした背景から、注目したいのがユーロ/円。
ユーロ/円の上値は限定的であり、下値余地は拡大しているのではないでしょうか?

(出所:Bloomberg)
5月に入り、ユーロ/円の動向に注目です。
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