■米国対6カ国のG7。市場への影響は軽微
6月8日(金)~9日(土)に開催されたG7(先進7カ国首脳会議)は、トランプ大統領と他の6カ国の対立となりました。
トランプ大統領は、今回の合意文書を不承認としましたが、当初から関税についてもめることが予想されていたため、市場への影響は軽微となりました。
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ただ、今後も通商問題は続くことが予想され、その都度、リスク回避の動きにさらされることになります。
■今週はイベント満載。本日は米朝首脳会談
今週(6月11日~)は、重要イベントが多い週です。
本日(6月12日)は、米朝首脳会談がシンガポールで行われます。
北朝鮮の非核化に向けた会談となりますが、トランプ大統領は今後、複数回の会合を行う可能性もあると発言していたこともあり、今回の会談で、何かが決まることはないように思います。
6月12日(火)に初の米朝首脳会談が開催される。世界中から注目が集まっているが、トランプ大統領が複数回の開催を示唆していることもあり、バカラ村氏は今回の会合で何かが決まることはないと考えているようだ (C) Chip Somodevilla/Getty Images News
すでに、市場はリスクオンの動きをしていることもあり、会談が決裂しなければ、相場は大きな動きにはならないように思います。
■FOMCの注目点はドットチャートへ
日本時間の6月14日(木)午前3時には、FOMC(米連邦公開市場委員会)の結果が公表されます。
すでに、利上げの決定は織り込まれているため、それは材料になりませんが、メンバーの利上げ見通しを示すドットチャートには注目が集まります。
大半のメンバーの中で、今年(2018年)の利上げ見通しは3回か4回に分かれており、前回3回だった中央値が今回、4回に上方修正されていれば、瞬間的に米ドル高になるように思います。
(出所:FRB)
過去、FOMCが利上げを行った際は、米/ドル円はセル・ザ・ファクトで下がったことが多かったため、今回の会合でドットチャートの中央値が4回に上方修正されても、米ドル/円は瞬間的に上昇してから下がると思います。しかし、トレンドを作るほどの動きには、つながりにくいと考えています。
【参考記事】
●FOMCで利上げした後はドル/円が下がりやすい。ユーロ/ドルは下ヒゲ長く反発示唆(6月5日、バカラ村)
(出所:Bloomberg)
■ECB理事会では量的緩和の議論があるか?
6月14日(木)には、ECB(欧州中央銀行)理事会があります。
先週(6月4日~)の初めまで、9月以降も量的緩和策を継続していくかどうかについては、7月のECB理事会で話し合われると思われていました。
【参考記事】
●FOMCで利上げした後はドル/円が下がりやすい。ユーロ/ドルは下ヒゲ長く反発示唆(6月5日、バカラ村)
しかし、6日(水)に、ハト派とみられているプラート専務理事が、今回のECB理事会で量的緩和終了について議論をすることを示唆し、インフレ目標に自信を示すなど、タカ派的な発言が出てきました。
さらに、他のユーロ圏の要人からも、連続してタカ派な発言が相次いだことから、今回のECB理事会で、量的緩和策について話し合われる可能性が高まっています。
【参考記事】
●政治リスク早期収束で注目は金融政策へ! ECBテーパリング開始ならユーロ/円に妙味(6月7日、今井雅人)
■市場予想は年末までの延長が優勢
9月以降にECBがとると思われる行動としては、
・9月で量的緩和を終了させる
・年内まで量的緩和を続ける
・量的緩和終了の判断を先送りにする
という、3つのパターンが考えられます。
ユーロ圏の要人からタカ派な発言が連続したことで、今回のECB理事会で、年内に量的緩和を終了させることを決めるのではないかという予想が増えてきています。
そのため、もし9月に終了させることを示唆すれば、よりタカ派な結果ということでユーロ高に、終了の判断を先送りにすれば、ハト派な結果でユーロ安になると思われます。
(出所:Bloomberg)
多くの予想どおりに、年内まで量的緩和を続けるとなれば、市場参加者が先週(6月4日~)から織り込みにいった反動で、ユーロは一時的に下がることになると思います。ただ、南欧危機があってもECBは出口に向かっていることから、ユーロの下げは限定的で、下がったところは買われるのではないかと考えています。
【参考記事】
●米朝首脳会談での劇的決着はあるのか? 量的緩和終了へ向けてECBが動き出す!?(6月11日、西原宏一&大橋ひろこ)
また、15日(金)には日銀金融政策決定会合の結果公表もありますが、こちらは無風通過になると思います。
■通商問題が材料視されるまで米ドル/円は横ばいか
米ドル/円は、FOMCの内容に振らされる展開となりそうですが、米国株が堅調なことから、FOMC後に下落したとしても、下げは限定的に終わりそうです。
米国株を含めて、株式市場が堅調に推移していることから、リスクオンの動きはまだ続くのではないかと考えています。
ただ、中長期的には、通商問題で米ドル/円が下がるという考えは変えていません。まだ、通商問題が材料として捉えられておらず、これが材料視されるまで、米ドル/円はしばらく、横ばいの展開となりそうです。
(出所:Bloomberg)
■ユーロ/米ドルは1.20ドルを狙った買い目線!
ユーロ/米ドルは、1.15ドル付近で底をつけたことから、買い方向との考えを変えていません。
前々回のコラムで、ユーロ/米ドルの当面のレンジを1.15~1.18ドルと予想しましたが、ユーロ圏の要人からタカ派な発言も連続していることから、大きくは1.15~1.20ドルのレンジになるのではないかと考えています。
【参考記事】
●ドル/円は111円台が目先の天井! ユーロの下落も目立つがドル/円売りが良いワケは?(5月29日、バカラ村)
ユーロ/米ドルは、昨年(2017年)の7月から約半年間ほど、1.15~1.20ドルを中心としたレンジでもみ合いをしたこともあり、しばらくは、そのレンジで推移すると思いますが、買い方向で1.20ドルを狙うトレードが良いのではないかと考えています。
(出所:Bloomberg)
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