■米朝首脳会談を巡り、金融市場は乱高下
米朝首脳会談の開催を巡って、金融市場は乱高下しています。
5月24日(木)に、トランプ大統領が米朝首脳会談をキャンセルすると伝わり、リスク回避の動きとなって、米ドル円は一時、108.95円まで下落しました。
【参考記事】
●トランプ大統領が米朝首脳会談中止を発表! 金利から政治リスクを意識する相場へ転換(5月25日、今井雅人)
しかし、5月26日(土)に、米朝首脳会談の開催に向けて協議が進んでいるとの報道から、週明け28日(月)は上に窓を開けて、109.83円まで上昇しました。
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■市場のテーマはあくまでも通商政策
トランプ大統領は、北朝鮮の非核化に向けて、交渉を推し進めている状況です。
まだ、米朝首脳会談は開催される可能性がありますが、仮に開催されても、合意するのか不調に終わるのかは、6月12日(火)の米朝首脳会談まではわかりません。
ただ、今はこれを材料に、為替相場は乱高下していますが、市場のテーマは米朝首脳会談ではなく、トランプ大統領の通商政策の方だと考えています。
あくまでも、短期的な動きの材料として米朝首脳会談が出ているだけで、中長期的にはトランプ大統領の貿易不均衡是正に向けた言動で、円高になるのではないかと考えています。
【参考記事】
●米朝首脳会談の中止で円高になったわけではない! 円高になった真の理由とは?(5月25日、陳満咲杜)
米ドル/円は直近で111.39円まで上昇しましたが、米長期金利が3.12%台から下がってきていることもあり、米ドル/円も111.39円が目先のトップになったと考えています。
(出所:Bloomberg)
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■米ドル/円の買い材料が減ってきた
原油価格も、急落してきています。
ここまで、産油国の協調減産で原油高となっていましたが、トランプ大統領はTwitterで、原油高に関して不快感を表していました。
原油高が続いていましたが、サウジアラビアとロシアが協調減産を緩和したこともあり、原油価格は下落しています。
【参考記事】
●政局混迷でユーロ/米ドルは6週連続陰線! サウジ増産示唆で原油急落! 影響は…!?(5月28日、西原宏一&大橋ひろこ)
(出所:Bloomberg)
米長期金利の上昇の要因に原油高もありましたが、これで、長期金利の上昇の要因の1つが減ったことになります。
FRB(米連邦準備制度理事会)の利上げは、年内、あと2回は確実のため、米長期金利は下降トレンドにならないと考えていますが、横ばいか、上昇しても緩やかなものになるのではないかと思います。
とすれば、米ドル/円の買い材料も、減ったように思います。
■ユーロ/米ドルの1.15ドル台はサポートゾーン
ユーロ圏では、スペインとイタリアの政局不安が出ていることから、ユーロの下落が続いています。
イタリアに関しては、ユーロ離脱懸念も出てきており、ユーロが売られています。
ユーロ/円は、129円のサポートを割ったことで、下げやすいチャートとなっていますが、ユーロ/米ドルは1.15ドル台がサポートゾーンであり、いったんは下げ止まる水準ではないかと考えています。
【参考記事】
●ユーロ/ドルの下落トレンドはいったん終了。円高リスクに備えた方が良い理由とは?(5月15日、バカラ村)
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/米ドル 月足)
ユーロ/米ドルは、当面は1.15~1.18ドルでの推移ではないかと考えています。
■ユーロ/ドルが下げ止まれば、ドル/円下落の方が大きい!?
ユーロ円の方は、129円が下抜けたことで、まだ下がる可能性が高いと考えていますが、ユーロ/米ドルが下げ止まるのであれば、米ドル/円の方が、下がる可能性があるのではないかと考えています。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/円 日足)
日米間の金利差を考えると、株式市場が平穏な状況になれば、米ドル/円は買い方向となりますが、来月(6月)からは日米の通商交渉も始まります。トランプ大統領が、輸入車に対して25%の関税を検討しているとの発言もあることから、日経平均も上値が重くなり、円高への圧力が出てきやすいのではないかと考えています。
米ドル/円は、111円台が目先の天井と考えて、売り方向でいいのではないかと考えています。
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