■FOMCは米国の強さを示す結果に
先週(6月11日~)は、主要中銀の金融政策会合が続く週でした。
まず、6月13日(水)にFOMC(米連邦公開市場委員会)の結果公表がありました。
0.25%の利上げは予想されていたため、市場の注目はメンバーの利上げ見通しを示すドットチャートとなり、今年(2018年)の利上げ見通しが3回のままなのか、4回へ上方修正されるのかに注目が集まっていました。
【参考記事】
●注目はFOMCのドットチャートとECB理事会。ユーロ/米ドルは1.20ドル狙いの買いが良い(6月12日、バカラ村)
結果は4回に上方修正され、さらに、2018年のGDP(国内総生産)見通しとインフレ見通しも上方修正されたため、米ドル/円は110.84円まで上昇しました。米国の強さが出ていた内容と言えます。
(出所:FRB)
しかし、その後に、中国への関税の適用が15日(金)に開始される可能性があるとの報道で、米ドル/円の上値は重くなり、一時109.91円まで下落しました。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 4時間足)
■金融政策が材料なら米ドル/円は上昇だが…
FRB(米連邦準備制度理事会)は今後も利上げを継続し、一方で日銀は緩和策を継続していくことから、日米の金融政策は反対方向を向いており、この点を材料にすれば、米ドル/円は上昇することになります。
【参考記事】
●金利環境を見れば当面、米国が一人勝ち!? 本邦M&A活況で米ドル高・円安相場に!(6月15日、今井雅人)
しかし、米国が500億ドル相当の対中追加関税を課すことを決めると、中国も同額の報復関税を表明したこともあって、貿易戦争懸念が続いており、株式市場も上値が重く、米ドル/円もまだ、111円台に乗れない状況が続いています。
米ドル/円は、金融政策と貿易戦争の綱引きで、動きが小さくなってきており、111円台では上値が重く、110円以下は底堅い展開です。
今週(6月18日~)に関しては、週の前半に111円台半ばまで上がれば売り、110円台前半や110円を割れた水準では手仕舞いをするのが良いのではないかと考えています。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 日足)
■ECB理事会は事前の期待を裏切るハト派な内容
6月14日(木)には、ECB(欧州中央銀行)理事会がありました。
先々週(6月4日~)、ハト派とみられているプラート専務理事などのECB要人が、タカ派な発言を繰り返していたこともあり、ユーロはECB理事会を前に買われていました。
【参考記事】
●注目はFOMCのドットチャートとECB理事会。ユーロ/米ドルは1.20ドル狙いの買いが良い(6月12日、バカラ村)
しかし、市場には来年(2019年)半ばに利上げするという予想があったところ、ECBが夏までは利上げはないと示唆したことから、一転してユーロは急落しました。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/米ドル 1時間足)
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/円 1時間足)
資産購入プログラムは年内(2018年)に終了されるものの、当面は利上げがないことから、市場が予想したよりもハト派な結果となりました。何よりも、理事会前にタカ派な要人発言が続いていたことで、市場参加者のポジションがユーロ買いに傾き、それが投げさせられた動きとなりました。
【参考記事】
●ショック以外の形容詞がないほど強烈なユーロ下落はなぜ起こったのか?(6月15日、陳満咲杜)
また、ドイツで連立政権が解消する可能性も出てきており、こちらもユーロにとってネガティブな材料となります。
■シントラショックへの警戒感は?
今週(6月18日~)は、18日(月)~20日(水)の日程でECBフォーラムがあります。
サプライズはないと思いますが、昨年には「シントラショック」(※)もあったため、警戒感は出ています。
警戒感がある間は、市場参加者は動きにくい展開となりそうです。
(※編集部注:「シントラショック」とは、2017年にポルトガルのシントラで開催されたECBフォーラムで、ドラギECB総裁が大規模な債券買い入れや超低金利政策を微調整する可能性を示唆したことがタカ派な発言と受け取られ、為替市場でユーロが急騰した出来事)
【参考記事】
●ECBの利上げ期待剥落でユーロ急落! 米中貿易摩擦の激化は米ドル安要因に?(6月18日、西原宏一&大橋ひろこ)
■OPEC総会が終われば原油は上昇する可能性も
そして、6月22日(金)にはOPEC(石油輸出国機構)総会があります。
協調減産の緩和観測によって原油価格は下落していますが、OPEC総会が終われば、原油価格は上昇する可能性もあるのではないかと考えています。
(出所:Bloomberg)
■週前半に米ドル高あれば短期の米ドル売りが良いか
ユーロ/米ドルは、先週(6月11日~)のECB理事会やFOMCを受けて、今週(6月18日~)初めは上値の重い展開が続くと思います。1.1500~1.1700ドルでの推移となりそうですが、1.1500ドルを下抜けるようであれば、1.13ドル台を目指す動きとなりそうです。
トレードの方は、メルマガ「バカラ村のFXトレード日報!」で配信していますが、先々週(6月4日~)からECB理事会の直前までは、ユーロ/米ドルを買い方向でトレードしていました。
しかし、ECB理事会の内容がハト派だったこと、先々週のタカ派な要人発言を材料に1.17~1.18ドル台で買った人が多かったと判断して、その後は売り方向でトレードしています。
昨日(6月18日)、すでに売りポジションの一部を手仕舞いしましたが、もし、今週(6月18日~)後半になっても下げ渋るようであれば、再度、買い方向が良いのではないかと考えています。
ただし、1.15ドルがサポートとして強い水準になっていますが、もしここを下抜けるようであれば、1.13ドル台を目指すのではないかと思います。
(出所:Bloomberg)
ファンダメンタルズ面では米ドル高と考えるべきですが、テクニカル的には節目に来ていることもあり、米ドル/円もユーロ/米ドルも、今週(6月18日~)は週前半に米ドル高となれば、週後半に短期売買として、米ドル売りを仕掛けてみるのも良いのではないかと考えています。
株主:株式会社ダイヤモンド社(100%)
加入協会:一般社団法人日本暗号資産ビジネス協会(JCBA)