■市場の関心事は今度は通商問題に
市場の関心事は、常に目まぐるしく変わります。
「地政学リスク」から「金融政策」に注目が移ったと思えば、今度は「通商問題」です。
ここ数日間は、他の材料に乏しい中、米国と中国間での貿易を巡る関税措置の対抗合戦が、貿易戦争につながるのではないかという懸念が広がって、米ドルの重しとなっています。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 4時間足)
米ドルの金利が、主要国通貨の中で、もっとも高くなったということは、中期的な米ドル高の可能性を高くしていると、私は考えています。
【参考記事】
●金利環境を見れば当面、米国が一人勝ち!? 本邦M&A活況で米ドル高・円安相場に!(6月15日、今井雅人)
※FRB、各国の中央銀行のデータを基にザイFX!が作成
しかし、為替相場は、金利動向だけで動くことはありません。特に、地政学リスクや貿易摩擦などは、材料になりやすいです。
■出口は見えず。市場は不安定に…
今回は、米中の貿易摩擦が注目されるようになってきました。
FRB(米連邦準備制度理事会)のパウエル議長は、「貿易摩擦が経済成長を脅かしかねない」との見解を示し、「調査先から投資や人材採用の延期決定について耳にしている。これは初めてのことだ」と、具体的な事例を挙げて説明しました。
具体的な事例が出てくると、市場も反応しやすくなります。
【参考記事】
●ECBの利上げ期待剥落でユーロ急落! 米中貿易摩擦の激化は米ドル安要因に?(6月18日、西原宏一&大橋ひろこ)
実は、米中の貿易摩擦の問題は、最近になって出てきた話ではなく、以前からわかっていました。
しかし、本格的な貿易摩擦になるまでに、何らかの話し合いが行われ、ある程度の妥協案が出てくるのではないかという期待感がありました。
しかし、中国は6月21日(木)に、トランプ米大統領による最新の関税警告が現実となった場合、中国としても反撃する用意があることを、改めて表明しています。
まだまだ、この問題の出口が見えてきません。
そのことが、市場を不安定にさせ、株式市場も軟調となり、米ドルも売らるという現象となっています。
(出所:Bloomberg)
(出所:Bloomberg)
しかし、米ドルの下落幅は、それほど大きなものではなく、今のところ…
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