昨日の東京時間の昼ごろ、EUの大統領の発言でマーケットはリスクテークに弾みがついた。続いているEU首脳会議で困難を極めているのは、難民の扱いと共同予算の問題である。これにドイツ国内の政局なども絡んで、合意は容易ではないと見られていた。
そこへ難民問題は合意を見られるだろうというのである。市場のリスク許容度は一気に回復し、当のユーロは急激に値を戻してきた。それまで今年の最安値圏をうかがっていたユーロドルも急反発。昼間だけでユーロドルは100ポイントほども上げを演じた。
ユーロは全面高となって、これ後の海外市場でどのようなリアクションがあるのかを試されることとなった。それほども課題に評価してよいものかどうか。単なる政治的な妥協ではないのかとか。
私自身もテクニカル的な側面からではあるが、ユーロのさらなる上昇には警戒感を持っている。ユーロドルが1.19台とかまで高値追いをするというビューが描けないのだ。その手前にはいくつもの引っかかりそうなレジスタンスも並んでいる。
夜中になってカナダ外相が対米での報復関税を発表。これが再び貿易摩擦に懸念を促した。米国株はそれまでのゲインをすべて吐き出し、週末のポジション調整も手伝って、日中の安値圏で引けることなった。
リスクオフの動きが強まったことで、リスクに敏感とされるクロス円のトップサイドは押さえられた。しかるにユーロ円の伸びも停止。ユーロドルは高値張り付きとはいいながらも、ここから一段高を期待するには、さらなる材料が必要だろうという感触を持たせる形となった。
週末にトランプ大統領のつぶやきによると、サウジが200万BPDの増産に合意したとのこと。確かにトランプ大統領は最近の原油価格が高すぎると文句を言っていた。しかしつい先頃、OPECで生産調整の合意を得たばかりである。これではOPECの存在意義が失われてしまうといっても過言ではない。
石油価格は誰が決めるのか。その問題に対処するためにマルチラテラルな会合の場をして役割を演じてきたOPECだったが、そこにも2国間交渉を重んじるトランプ流の交渉の手が伸びてきたということだ。サウジとしても自身が価格決定権を持ちたいところでもあろう。
今週は雇用統計を控えているので、週の中央は材料が相対的に少ない。しかし貿易問題に関しては、どこから新しい材料が出てくるかわからない。身構えておく必要がる。そろそろ日本からもアメリカに対してソフトな注文が出そうな状況でもある。
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