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田向宏行
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陳満咲杜の「マーケットをズバリ裏読み」

米ドル/円は158円に迫ったが、さらなる円安の進行は
困難! リスクオフはまだ本格化しておらず、パニックが
あるならこれから。行きすぎた円安の反動を覚悟すべき

2025年11月21日(金)19:19公開 (2025年11月21日(金)19:19更新)
陳満咲杜

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激しい円安の進行は「悪い金利高」の結果! 「リスクオフの円高」はもはや過去の話になったのか?

 円安進行の度合が想定より大きい。米ドル/円の158円の節目手前までの上昇ユーロ/円の182円の節目打診は円の「底なし」を思わせ、パニック的な円売りがあったと言える。

米ドル/円 日足
米ドル/円 日足チャート

(出所:TradingView

ユーロ/円 日足
ユーロ/円 日足チャート

(出所:TradingView

 パニック的と言うのは、大袈裟ではないと思う。何しろ、最近は株安でも円安の同時進行が見られており、日本長期金利の急騰があっても円安は止まらなかった。筆者は「日本売り」云々とは言わないが、激しい円安の進行を少なくとも「悪い金利高」の結果だと記しておきたい。

 ちなみに、過去最高の決算を発表したにもかかわらず、昨晩(11月20日)のエヌビディア株は買われたのではなく、逆に売られていた。にわか「エヌビディアショック」の様相を呈しているが、それでも円は買われなかった。「リスクオフの円高」は、もはや過去の話になったのだろうか。

 その可能性は否定できない。しかし筆者は、結論を出すのはまだ早いと思う。確かに「高市トレード」の結果として、円安が激しく進行してきたが、冷静になってみればわかるように、それは2025年年初来安値に接近してきただけの話で、対米ドルに限って言えば、執筆中の現時点ではまだ年初来安値(米ドル/円の高値)を更新していない。

米ドル/円 週足
米ドル/円 週足チャート

 

(出所:TradingView

2025年1月の円安時と比較して、現在の株価はかなり高い水準。
「債券、株、円のトリプル安」というのは、短絡的ではないか

 高市政策がもたらした財政悪化懸念が足元で進行中の「債券、株、円のトリプル安」の主因だ、と主張するエコノミストが多い。それについての論議はここではしないが、懸念自体が市場関係者に共有されているのは事実である。

 しかし、懸念自体は正しくても、パニックになる必要はない。日本破産、日銀破綻云々の陰謀論者に惑わされないために、相場を点検すればよい。もう1回言うが、円は米ドルに対して年初来安値(米ドル/円の高値)をまだ割り込んでいない。

 2025年年初来、米ドル/円における最高値(円の安値)は1月10日(金)に付けた158.89円だった。同じ日ではないが、日経平均が今年1月に付けた高値は4万279円だった。直近の株の安値が4万8235円前後だったことから考えて、株は随分高い水準にあるから、トリプル安云々自体が短絡的だといえる。

米ドル/円(右軸・ローソク足)VS日経平均(左軸・ライン) 週足
米ドル/円(右軸・ローソク足)VS日経平均(左軸・ライン) 週足チャート

(出所:TradingView

 株に限った話なら、むしろその逆だと思う。言ってみれば、高市政策に関する期待、あるいは思惑なしで、日経平均が5万2636円という史上最高値を付けたわけがない。反落してきたとはいえ、まだまだ正常な調整の範囲内であり、株安と言うこと自体がナンセンスだ。

 ベア(下落)トレンドへ転換するほどの株安ではない上、円安の進行が想定より随分激しかったとはいえ、まだ円は対米ドルで年初来安値を割っていないので、大袈裟に捉えるべきではない。仮に一時、年初来安値の割り込みがあっても、さらなる円安の余地は大きくないと思う。

 言ってみれば、パニック的な見方が多いなか、円売り自体がすでに最終段階にあり、当然のようにすでに行きすぎで、円売りのクライマックスを迎えているのではないかと思われる。円の安値を追わない方が無難だ。

日米の金利差を見れば、ここからさらに米ドル/円で大きく円安が進むのは難しいだろう

前回のコラムでも提起したように、日米実質金利差から見ると、現在の米ドル/円のレートは大きく乖離しており、筆者の大まかな推測では、適正な水準から目先14円ほど差が開いているかとみる。これはおそらく「史上最大」ではないかと思われる。だからこそ、ここからさらに円安が進行するのは難しい

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米ドル/円は一時155円台を打診したが、すでに頭が重くなっていることを示唆。日米の金利差が急拡大しない限り、円安の進行は終盤に差し掛かっているとみる!(2025年11月14日、陳満咲杜)

 なにしろ、「トリプル安」と言われるもののうち、債券安は金利高をもって現れている。2006年の高値まで接近してきた日本の10年物国債利回り(現時点で約1.8%)は、すでに「高市プレミア」を十分織り込んでいるから、これからさらなる暴騰を演じるのは難しいだろう。

 半面、米10年物国債利回りは、今4.09%前後で安定しており、日米金利差の変動率はこれから高まるのではなく、下がっていくのではないかと推測される。そうなると、金利差との乖離は、結局、米ドル/円の反落をもって差の調整を行うから、これからむしろ行きすぎた円安の反動を覚悟すべきだと思う。

いずれ「株安・円高」の相関性が復帰するだろう。今の株の調整はまだまだ序の口で、これから本格化するのではないか

 おもしろいことに、最近株安に連動した円の買い戻しが見られていないから、多くの市場関係者は、「リスクオフの円高」がもうなくなったと考えているようだ。もちろん、その可能性を完全には捨てきれないが、筆者は逆のシナリオもあり得るのでは、と考えている。

 すなわち、市場関係者の多くは、目先、高市政策に過大な期待や思惑をかけ、またそれゆえに懸念も深く、だからこそ株の調整があっても円が買われたのではなく、むしろ売られていたように見えた。しかし、本質的には、それはあくまで一時的な市況で、いずれ「株安・円高」の相関性が復帰してくるのではないかと思う。

 そうなると、株の調整があっても円が買い戻されていない、という目下の市況を大袈裟に解釈すべではないばかりか、逆に、今の株の調整はまだまだ序の口で、これから本格化するのではないかと推測されるかもしれない。

 言い換えれば、円が買われていないうちは、株式市場を含め、金融市場におけるリスクオフがまだ本格化せず、パニックがあるならむしろこれからだ、と言うことに尽きる。

 市況はいかに。

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