■6月14日以降の保ち合いがユーロ安の構造を証左していた
ユーロ安は構造的なものである。
これが6月14日(木)以降、より鮮明になったことは前述のとおりだが、エリオット波動論の視点では、6月14日(木)以降の保ち合い自体がユーロ安の構造を証左する根拠になっている。少し古いレポートだが、6月29日(金)に配信したものが同構造を説明しているので、以下に開示。
(出所:FXブロードネット)
EU首脳による難民問題合意が伝われ、ドイツ連合政権の長期化予想で本日ユーロは大きく反騰してきた。ここからユーロ続伸し、大きく反騰してくるでしょうか。
エリオット波動論の視点では、目先の値動きを過大評価すべきではなく、むしろ再度頭打ちのサインがあれば、戻り売りの好機を提供してくれるかと思われる。
大まかのカウントは上のチャートに記した通り。2月16日1.2555の高値から大型下落波が展開され、同下落波を推進波とみる場合はやはり5波の子波に分けられ、3月27日高値1.2476から雄大な第3推進子波を形成してきた。同子波自体の5波構造に鑑み、5月末安値1.1510前後にてまず第3「孫波」を完成、そこからトライアングル型調整子波(v)を形成、また足元その最終段階におると推測できる。
同じ序列における調整子波II、シンプルなジグザグ変動構造だったので、今回は複雑なトライアングル型に化しているのも波動論のルールに沿った値動きで、この意味では本日の反騰はむしろ最終段階における蓋然性を表しているから、ここから上値余地があっても限定的であろう。
なにより重要なのが14日の大陰線がもたらした意味合いでしょう。度々強調してきたように、同大陰線が示した「フェイクセットアップ」の意味を否定されない限り、ユーロのベアトレンドが続き、また更なる下値余地を拓くから、前記波動論の視点と整合的だ。ここから再度頭打ちのサインがあれば、今度こそ1.15関門割れを図り、1.13関門前後の下値ターゲットに照準しよう。戻り売りのスタンスを維持、来週再度仕掛けしたい。
このように、筆者が繰り返し指摘してきたドルインデックスのブル構造の維持、また、トライアングル型の保ち合いを経た上値トライの蓋然性もユーロ/米ドルの正反対となっており、テクニカル上の根拠として然りであろう。
■弱いユーロよりも、さらに弱い英ポンド
さらに、ユーロと比較すれば、利上げでも下落が止まらず、むしろ下落が加速してきた英ポンドの弱さもわかりやすいかと思う。
(出所:FXブロードネット)
ユーロ自体がベア構造を維持しているにも関わらず、ユーロは対英ポンドでは堅調に推移、昨日(8月9日)は一時、2017年11月高値を更新していた。英ポンド安の方がより進んでいるのである。英ポンド/円も5月安値を割り込んでいる。
■主要クロス円がガンガン安値を追えるかどうかは微妙
このように、「やはり円高」と言われているが、その主な原因が外貨安にある以上、日銀政策云々は的を射ていないと思う。前述のように、これから米ドル高の加速が想定されるから、クロス円も一段と下値をトライしやすいと思うが、その程度については、やはり米ドル/円の分析なしでは測りにくいかと思う。
米ドル/円に関しては、昨日(8月9日)のレポートをもって見通しを述べたい。
(出所:FXブロードネット)
米ドル/円は7月31日大陽線の安値を一旦下回り、足元やや反発している。結論から申すと、7月末安値の一時割り込み自体が「ダマシ」となり、逆に再度サポートゾーンを確認する形になりやすいから、サインの鮮明化を待ちたい。
もっとも、7月26日までの押し自体が強気リバーサルのサインを点灯して実質上「フォールス・ブレイクアウト」の役割を果たしていたから、GMMAチャートにおけるサポートゾーンの確認と同じく、7月31日の大陽線がその延長線と考えれば、7月26日安値110.59との整合性が重視される。
従って、一旦7月31日安値110.75を下回ったものの、ここから切り返しをキープできれば、再度「ダマシ」のサインを点灯してからメインサポートゾーンの存在が証左できるから、もう一回「フォールス・ブレイクアウト」のサインを形成することで底固さを証左しょう。再度112関門の打診があれば、同サインの点灯を確認でき、ブル基調の延長をもたらすでしょう。
したがって、主要クロス円は外貨安につられ、一段安が十分想定されるものの、米ドル/円のサポートゾーンの維持があれば、主要クロス円がガンガン安値を追えるかどうかは微妙だと思う。
安値を追うなら、むしろドルストレート、特に英ポンドに比べ、「出遅れ感」があるユーロ/米ドルや豪ドル/米ドルのほうが仕掛けやすいだろう。市況はいかに。
(14時30分執筆)
(執筆者注:来週は海外出張のため、本コラムは1回お休みとさせていただきます。なにとぞ、ご了承のほど、よろしくお願いします)
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