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陳満咲杜の「マーケットをズバリ裏読み」

円高進行は日銀のせいとの説に疑問符。
円高の原因は円ではなく、外貨にあり!

2018年08月10日(金)17:35公開 (2018年08月10日(金)17:35更新)
陳満咲杜

FXトレーダー・羊飼いに聞く、初心者におすすめのFX口座の選び方とは?

 先週(8月6日~)の日銀金融政策決定会合以降、日銀政策に関する解釈や見方はなお分かれたままだが、そんな中で「やはり円高傾向になってきた」といった論調が流行っている。「やはり」ということは、「今回の日銀政策により円が買われる」という主張があったからこそだが、本当はどうだろうか?

■米ドル/円での円高は限定的。クロス円で円高が加速

 7月31日(火)の日銀金融政策発表当日の安値は110.75円前後、その前の安値は7月26日(木)の110.59円だったので、昨日(8月9日)安値の110.70円はその2つの安値の中間にあった。

 となると、少なくとも現執筆時点(8月10日(金)14時30分)では、7月26日(木)の安値を割り込んでいないから、米ドル/円で測る円高傾向、あっても極めて限定的だといえる。

米ドル/円 4時間足
米ドル/円 4時間足

(出所:Bloomberg)

 一方、主要クロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)の市況は違った風景を見せている。英ポンド/円の5月安値更新をはじめ、ユーロ/円の7月安値更新や128円の大台割れでわかるように、円高進行が加速している。

世界の通貨 vs 円 日足
世界の通貨 vs 円 日足

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:世界の通貨 vs 円 日足

 となると、結論として当然であり、また、わかりやすいと思うが、目先言われている円高の傾向はクロス円主導であり、また、円高よりも外貨安のほうが主な原因であると言える。換言すれば、外貨安につられた受動的な円高傾向を「やはり云々」と解釈されても、納得できないところが大きい。

■チャートは米ドル高のスピードが加速すると語っている

 もっとも、クロス円が下落してきた原動力が外貨安にあったなら、米ドル高はもっとも重要な背景となる。

 筆者が繰り返し指摘してきたように、ドルインデックスは6月14日以降、大型アセンディング・トライアングル(上昇三角形型)を形成、昨日(7月9日)、同フォーメーションの上限にトライし、一時、高値を更新した以上、ここからは米ドルの一段高はもちろん、米ドル高のスピードアップも想定される。

ドルインデックス 日足
ドルインデックス 日足

(出所:Bloomberg)

 なにしろ、6月14日(木)から形成されてきたアセンディング・トライアングル、時間をかけて形成され、また、煮詰まってきた以上、いったんブレイクすると、その分、モメンタムが加速される公算が大きい。したがって、ここから米ドル高のスピードは加速するだろう。

■1.15ドルを割れたユーロ/米ドルは1.13ドル前後をめざすか

 米ドルの対極として位置づけられるユーロは、ユーロ/米ドルで1.15ドル割れを果たした。ここから1.13ドル前後の下値打診に道筋をつけるだろう。

 ユーロ/米ドルはほぼドルインデックスと反対の値動きになるから、わかりやすいかと思う。ドルインデックスの6月14日(木)の大陽線が決定的な役割を果たしたのと同じく、ユーロ/米ドルも6月14日(木)の大陰線をもって下落トレンドを決定、また、これがその後の保ち合いにつながっていた。

 違うところがあれば、ドルインデックスのアセンディング・トライアングル形成と異なり、ユーロ・米ドルはほぼシンメトリカル・トライアングル(対称三角形型)を形成してきたということだ。7月19日(木)安値を割り込んだことで同トライアングルの下放れが示唆されていたから、一昨日(8月8日)までの小幅な戻しは戻り売りのチャンスを提供してくれたと言える。

 以上の理屈は8月8日(水)に配信したレポートをもって説明したい。本文は以下のとおり。

ユーロ/米ドル 日足(8月8日作成、クリックで拡大)
ユーロ/米ドル 日足(8月8日作成)

(出所:FXブロードネット

ユーロ/米ドルは昨日の反騰に続き、本日一旦1.1628まで戻ったものの、目先また軟調な値動きを見せている。GMMAチャートにおける短期スパンの抵抗ゾーンを確認、また6月安値から引かれた元サポートラインの抵抗役割を確認という意味合いでは、本日このまま弱く大引けすれば、戻りの限界を果たした公算が高い。

もっとも、繰り返し指摘してきたように、6月14日高値から大型トライアングルを形成しきたから、前記元サポートラインはトライアングルの下限でもある。同トライアングルの下放れ、7月19日(スパイクロー)の安値割れをもって確認された以上、ベアトレンドへの復帰が確認され、一昨日安値からの切り返しをあくまで途中のスピード調整と見なす。

トライアングルに限らず、フォーメーションの破れが生じた後、往々にして元サポートライン、あるいは抵抗ラインのところへ一回押してくるケースが多く、今回も然りだとみる。重要なのは、ラインの役割のチェンジの有無にあるが、本日高値の意味合いに鑑み、元サポートが一転して抵抗となる公算。

今回の下落の起点を7月31日高値と見なすが、同日罫線自体が「フォールス・ブレイクアウト」のサインを点灯していたから、本日にて再度頭打ちとなるなら、下落トレンドの延長をもたらすでしょう。戻り売りの限界を果たせば、そろそろ安値更新をもたらす。

■6月14日以降の保ち合いがユーロ安の構造を証左していた

 ユーロ安は構造的なものである。

 これが6月14日(木)以降、より鮮明になったことは前述のとおりだが、エリオット波動論の視点では、6月14日(木)以降の保ち合い自体がユーロ安の構造を証左する根拠になっている。少し古いレポートだが、6月29日(金)に配信したものが同構造を説明しているので、以下に開示。

ユーロ/米ドル 日足(6月29日作成、クリックで拡大)
ユーロ/米ドル 日足(6月29日作成)

(出所:FXブロードネット

EU首脳による難民問題合意が伝われ、ドイツ連合政権の長期化予想で本日ユーロは大きく反騰してきた。ここからユーロ続伸し、大きく反騰してくるでしょうか。

エリオット波動論の視点では、目先の値動きを過大評価すべきではなく、むしろ再度頭打ちのサインがあれば、戻り売りの好機を提供してくれるかと思われる。

大まかのカウントは上のチャートに記した通り。2月16日1.2555の高値から大型下落波が展開され、同下落波を推進波とみる場合はやはり5波の子波に分けられ、3月27日高値1.2476から雄大な第3推進子波を形成してきた。同子波自体の5波構造に鑑み、5月末安値1.1510前後にてまず第3「孫波」を完成、そこからトライアングル型調整子波(v)を形成、また足元その最終段階におると推測できる。

同じ序列における調整子波II、シンプルなジグザグ変動構造だったので、今回は複雑なトライアングル型に化しているのも波動論のルールに沿った値動きで、この意味では本日の反騰はむしろ最終段階における蓋然性を表しているから、ここから上値余地があっても限定的であろう。

なにより重要なのが14日の大陰線がもたらした意味合いでしょう。度々強調してきたように、同大陰線が示した「フェイクセットアップ」の意味を否定されない限り、ユーロのベアトレンドが続き、また更なる下値余地を拓くから、前記波動論の視点と整合的だ。ここから再度頭打ちのサインがあれば、今度こそ1.15関門割れを図り、1.13関門前後の下値ターゲットに照準しよう。戻り売りのスタンスを維持、来週再度仕掛けしたい。

 このように、筆者が繰り返し指摘してきたドルインデックスのブル構造の維持、また、トライアングル型の保ち合いを経た上値トライの蓋然性もユーロ/米ドルの正反対となっており、テクニカル上の根拠として然りであろう。

■弱いユーロよりも、さらに弱い英ポンド

 さらに、ユーロと比較すれば、利上げでも下落が止まらず、むしろ下落が加速してきた英ポンドの弱さもわかりやすいかと思う。

ユーロ/英ポンド 日足
ユーロ/英ポンド 日足

(出所:FXブロードネット

 ユーロ自体がベア構造を維持しているにも関わらず、ユーロは対英ポンドでは堅調に推移、昨日(8月9日)は一時、2017年11月高値を更新していた。英ポンド安の方がより進んでいるのである。英ポンド/円も5月安値を割り込んでいる。

■主要クロス円がガンガン安値を追えるかどうかは微妙

 このように、「やはり円高」と言われているが、その主な原因が外貨安にある以上、日銀政策云々は的を射ていないと思う。前述のように、これから米ドル高の加速が想定されるから、クロス円も一段と下値をトライしやすいと思うが、その程度については、やはり米ドル/円の分析なしでは測りにくいかと思う。

 米ドル/円に関しては、昨日(8月9日)のレポートをもって見通しを述べたい。

米ドル/円 日足(8月9日作成、クリックで拡大)
米ドル/円 日足(8月9日作成)

(出所:FXブロードネット

米ドル/円は7月31日大陽線の安値を一旦下回り、足元やや反発している。結論から申すと、7月末安値の一時割り込み自体が「ダマシ」となり、逆に再度サポートゾーンを確認する形になりやすいから、サインの鮮明化を待ちたい。

もっとも、7月26日までの押し自体が強気リバーサルのサインを点灯して実質上「フォールス・ブレイクアウト」の役割を果たしていたから、GMMAチャートにおけるサポートゾーンの確認と同じく、7月31日の大陽線がその延長線と考えれば、7月26日安値110.59との整合性が重視される。

従って、一旦7月31日安値110.75を下回ったものの、ここから切り返しをキープできれば、再度「ダマシ」のサインを点灯してからメインサポートゾーンの存在が証左できるから、もう一回「フォールス・ブレイクアウト」のサインを形成することで底固さを証左しょう。再度112関門の打診があれば、同サインの点灯を確認でき、ブル基調の延長をもたらすでしょう。

 したがって、主要クロス円は外貨安につられ、一段安が十分想定されるものの、米ドル/円のサポートゾーンの維持があれば、主要クロス円がガンガン安値を追えるかどうかは微妙だと思う。

 安値を追うなら、むしろドルストレート、特に英ポンドに比べ、「出遅れ感」があるユーロ/米ドルや豪ドル/米ドルのほうが仕掛けやすいだろう。市況はいかに。

(14時30分執筆)

(執筆者注:来週は海外出張のため、本コラムは1回お休みとさせていただきます。なにとぞ、ご了承のほど、よろしくお願いします)

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