■トルコのような新興国ではトップの発言が市場に大きく影響
一方、トルコや中国のような新興国、特に全体主義色の強い国家においては、話はまったく違ってくる。国家元首個人やその側近といったごく少人数のグループだけで、国家の憲法を至って簡単に変えた事例は枚挙に暇がないから、トップに位置する者が中央銀行の政策に口を出したら、とてもじゃないが、中央銀行が逆らえるとは誰も思わない。
トルコのような全体主義色が強い新興国では、エルドアン大統領のようにトップに位置する者が中央銀行の政策に口を出したら、中央銀行が逆らえるとは誰も思わない (C)Anadolu Agency/Getty Images
だから、この前、トルコ大統領のエルドアン氏が利上げに文句を言ったら、トルコリラはたちまち暴落したわけだ。
このあたりの事情は、米国とトルコでは雲泥の差なので、混同してはいけない。
そもそも市場は混同していないから、トランプ氏の発言の影響が極めて限定的だったことが確認されている。この「事件」からみても、結論は同じだ。すなわち、目先、リスクオフではなく、リスクオンの環境にあり、また当面リスクオンの環境が継続される公算が高い。
■「8月の円高」はもう終焉を迎えている
アノマリー的、また統計的に「8月の円高」という傾向が強いとされるが、もう8月下旬になったから、こういった傾向があってもすでに最終段階にあるか、すでに終焉を迎えているだろう。こういう判断ができる理由の1つは、クロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)の値動きにあると思う。
というのも、8月の円高が今年(2018年)も確認されたと言うのなら、米ドル/円よりも主にクロス円の下落として表れたという経緯がある。しかし、米ドル全体(ドルインデックス)の上昇一服がすでに確認された以上、クロス円もほぼ底打ちを果たし、これから徐々に底を固め、切り返しを継続してくる公算が大きいと思う。
もちろん、米ドル/円のブル(上昇)基調への再回帰も重要だ。トランプ氏の発言後、8月20日(月)に米ドル/円は一時、200日移動平均線にトライしたものの、サポートが確認されたことで、調整がすでに完了した可能性が大きい。
(出所:Bloomberg)
だから、米ドル全体の上昇が一服してくれば、クロス円の出直りが見られ、また継続する可能性が大きいと思われる。このあたりの理屈は、また次回にて再検討したい。
■日本株の上昇がこれから加速するだろう
この意味からも、米国株の堅調にだいぶ「遅れ」を取っている日本株の出直りが、これから加速するのではないかと推測される。先日、上海株に足を引っ張られたが、リスクオンである以上、これから本来の基調に戻ってくるだろう。
(出所:Bloomberg)
日本株も米ドル/円と同様、ロングのスタンスは変わらないことを強調しておきたい。
相変わらず暑い日々が続いているが、歴はとっくに立秋を過ぎている。だから、「8月の円高」は「まだまだ」ではなく、「もう」円高のピークを過ぎたと思ったほうが無難だろう。
相場というものは、「もうはまだなり、まだはもうなり」であるから、要注意だ。市況はいかに。
株主:株式会社ダイヤモンド社(100%)
加入協会:一般社団法人日本暗号資産ビジネス協会(JCBA)