■米国とトルコの関係は改善されず不透明なまま…
米国との関係悪化もあり、先週(8月6日~)末からトルコリラが急落し、世界的な経済不安に発展しています。
【参考記事】
●トランプ砲がトルコショックに追い打ち! 米国株が崩れると、リスクオフ加速も…!?(8月13日、西原宏一&大橋ひろこ)
8月15日(水)には、カタールがトルコに150億ドルの直接投資を約束したという報道をきっかけに、暴落していたトルコリラが、いったん反発。

(出所:Bloomberg)
しかし、米国政府は仮に米国人牧師が釈放されても、対トルコ鉄鋼輸入関税については廃止しないと表明しており、米国とトルコの関係は改善されず、事態は不透明なままです。
加えて、このコラムでも何度かご紹介していますが、弱気相場入している上海総合指数の下落が止まりません。
【参考記事】
●17年間も続いたサポートを割れる寸前! 豪ドルはなぜヤバい?米中貿易戦争が影響?(6月21日、西原宏一)
●2018年前半の為替相場を振り返ろう! 「ローリング・ベア」で弱気相場が継続する?(6月28日、西原宏一)
以下は、上海総合指数の週足チャートです。弱気相場入してから、下落が収まらず、本稿執筆時点では2700ポイント台前半で推移しています。

(出所:Bloomberg)
■銅が20%強急落し、中国経済減速を示唆
一方、トルコは、いったん沈静化するも、今度は南アフリカランドが大幅下落。
南アフリカ中銀のクガニャゴ総裁が、「成長見通しは気がかりだ」とコメントしたことが、足を引っ張った形です。
新興国経済、そして通貨は、軒並み低調な展開となっています。

(出所:Bloomberg)
商品市場に目を向けると、金属相場は大幅安。
パラジウムが、一時7%超下落しました。

(出所:Bloomberg)
そして、注目は銅。
銅は、英語で「Copper(コッパー)」。
銅は、家庭から工場まで、家電や自動車、送電線にまで幅広く使われれおり、景気に先行して動くとされ、「Ph.D.Copper(ドクターコッパー)」と呼ばれます。
銅価格の推移は、世界経済、特に、最大消費国である中国の景気の先行きを表すと言われています。
その銅は、直近高値から20%強急落し、弱気相場入り。

(出所:Bloomberg)
上海総合指数に続き、「Ph.D. Copper」も中国経済の減速を示唆した形になります。
米国株が好調であり、米国経済の底堅さからグローバルに景気がいいのかと錯覚してしまいがちですが、銅価格の下落が示すように、中国経済の減速が、さらに鮮明となり、世界的な景気見通しが不透明に…。
結果、「株安、債券高、コモディティ(商品)安、米ドル高、円高」とピースが揃いつつあり、リスクオフ相場入りした公算が高まっています。
そのため、今週(8月13日~)前半は、当コラムでご紹介させていただいていた、ユーロ/円や豪ドル/円、NZドル/円といったクロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)が、一時暴落しました。
【参考記事】
●米ドル/円はじり安の展開へ! 日銀の条件付き長期金利上昇容認以降、円高が進行!(8月9日、西原宏一)
■中国高官の訪米報道でマーケットは持ち直す
ただ、マーケットは、いったん持ち直しています。
先ほども紹介したトルコリラですが、米国人牧師の釈放も近いとの観測もあり、持ち直している状況です。

(出所:Bloomberg)
明けて、本日(8月16日)の東京市場で、日経平均は、大幅安で始まったものの、「中国商務次官が貿易交渉で8月末に訪米する」との報道で上昇。豪ドル/円中心に、クロス円は反発しています。

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:世界の通貨VS円 15分足)
中国商務次官、訪米へ 閣僚級貿易協議の再開探る
中国商務省は16日、王受文商務次官が8月下旬に訪米し、貿易摩擦を巡ってマルパス米財務次官(国際問題担当)と事務レベルで協議すると公表した。
出所:日経新聞
米中貿易戦争は、両国の株価(つまり、米国株の上昇と上海総合指数の急落)から考えれば、圧倒的に米国有利で進んでいるわけですが、こうした交渉では、両国のメンツも重要であり、中国商務次官の訪米は、米国の招待によるものと中国商務省は報じています。
つまり、米国に頭を下げるわけではないと言っているわけです。
これは、トルコのエルドアン大統領のスタンスも同じです。
■中期では、リスクオフ相場が静かに進行中
現状のマーケットは、銅価格が示すように、コモディティ(商品)や新興国通貨の下落に呼応して、クロス円が下落し、リスクオフマーケットが進行しているのですが、トルコや中国サイドからのヘッドラインにより、一時的ではあるものの、急激に値を戻す局面があるのが特徴。
こうした不安定なマーケット環境下、好調な米国株の動向とは裏腹に、米10年国債利回りは上げ渋りを見せ、じり安に…。

(出所:Bloomberg)
この米10年国債利回りのじり安が、米ドル/円の上値をさらに限定的にしています。

(出所:Bloomberg)
短期では、ヘッドラインにより調整局面もありますが、銅価格が示すように、中期ではリスクオフマーケットが静かに進行する中、下値余地が拡大している豪ドル/円、NZドル/円、そして、米ドル/円の動向に注目です。
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