■新興国危機は継続!? アルゼンチンの金利は60%に!
為替市場を動かしている材料は、新興国市場の通貨危機、NAFTA(北米自由貿易協定)再交渉、Brexit(英国のEU離脱)交渉、貿易戦争などになります。
まず、新興国市場の通貨危機に関しては、8月10日(金)にトルコリラショックがありましたが、まだ落ち着いたとは言えない状況です。
【参考記事】
●まだ下値余地あり! トルコリラ相場を動かしているのはミセス・ワタナベじゃない(8月29日、エミン・ユルマズ)
●トルコリラ/円が一時、16円台まで暴落! トルコリラ急落の震源地はユーロか!?
●トルコリラ/円は一時15円台まで大幅続落! 原因はトランプとエルドアンの両大統領!?
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:トルコリラ/円 日足)
インドネシアルピアも、約20年ぶりの安値を付けました。また、アルゼンチンペソも下落が続いており、先週(8月27日~)は通貨の下落を止めるべく、アルゼンチンの中央銀行が政策金利を60%へ引き上げました。
(出所:Bloomberg)
※アルゼンチン中央銀行のデータを基にザイFX!が作成
■NAFTA再交渉に楽観的。カナダとの合意も間近か
NAFTA再交渉に関しては、米国とメキシコが2国間協議で合意したこともあり、カナダとも合意されるのではないかという期待が高まったこともあって、先週(8月27日~)は株式市場も堅調でした。
(出所:Bloomberg)
加ドルも上昇していましたが、8月31日(金)の交渉で歩み寄りがなかったこともあって、9月5日(水)に再協議となりました。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/加ドル 日足)
ただ、メキシコと合意したこともあり、カナダとも合意するのではないかと考えています。
■英ポンドの下落には新たな材料が必要
英国とEU(欧州連合)のBrexit交渉に関しては、8月29日(水)にバルニエEU首席交渉官が、「英国に前例のないパートナーシップを提案する用意がある」と発言したこともあり、英ポンド/米ドルは一時、1.3043ドルまで上昇しました。
ただ、その後にメイ英首相がEU離脱計画に反対する姿勢を示したことから、英ポンドは「いって来い」の動きとなっています。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:英ポンド/米ドル 4時間足)
Brexit交渉は今後も続きますが、悪材料もかなり織り込んでいると思われるため、英ポンドが下落するためには、新しい材料が必要だと思います。
【参考記事】
●ベアトラップになったユーロ/米ドルは押し目買いへ! 悪材料織り込んだ英ポンドも買い(8月28日、バカラ村)
■米国の対中関税第3弾に警戒! 米ドル/円は…?
そして、もっとも注目すべきは、米中の貿易戦争です。
これまでの流れは、以下のとおりです。
●7月に第1弾として340億ドル相当の輸入品に対して米中双方が関税措置を発動
●8月に第2弾として160億ドル相当の輸入品に対して米中双方が関税措置を発動
そして、9月に第3弾として、米国が2000億ドル相当の中国からの輸入品に25%の関税をかけることを検討しています。
【参考記事】
●米国の対中関税第3弾が今週にも発動!? 米ドル安に誘導したいトランプはどう動く?(9月3日、西原宏一&大橋ひろこ)
9月6日(木)に、米産業界からの意見公募が終了しますが、これが終わればすぐに、米国が第3弾の関税措置を発動する可能性があります。
これまでの関税は、まだ規模が小さかったのですが、今回は2000億ドルと規模が大きく、中国だけでなく、米国にも経済的な悪影響が出てくるのではないかと思います。
そうなると、堅調に推移している米国株にも、影響が出てくるのではないかと思います。
ただ、米ドル/円に関しては、これまでの関税発動でも動きがなかったこともあり、今週(9月3日~)は、まだもみ合いの中で推移するのではないかと考えています。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 日足)
■米ドル/円は中間選挙前に下がりやすい傾向
米ドル/円は、米国の中間選挙前に下がりやすい傾向があるため、基本的には売り方向で考えています。
9月20日(木)には、自民党総裁選があり、ここで安倍首相が3選されることを前提に、9月25日(火)には日米首脳会談が開催される予定となっています。
この米首脳会談で、北朝鮮の非核化や、貿易不均衡に関する話題が出てくると考えられています。
トランプ大統領は、中国人民元安やユーロ安には不満を述べていますが、日本円についてだけは発言を控えており、9月25日(火)の日米首脳会談までは、日本円に関して不満を表明する発言は控えるのではないかと思います。
したがって、米ドル/円は目先、まだもみ合いが続きそうですが、その後は、過去の中間選挙前の傾向から、下がる可能性が高いのではないかと考えています。
(出所:Bloomberg)
■ユーロ/米ドルの押し目買い方針は変わらず!
ユーロ/米ドルは先週(8月27日~)、1.1733ドルまで上昇しましたが、5月~7月にもみ合いをしていた1.15~1.1750ドルを中心としたレンジの上限まで上がったこともあり、8月31日(金)には1.1584ドルまで下がりました。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/米ドル 日足)
ユーロ/米ドルに対する考え方は、前回のコラムから変わらず、1.15ドル前半での押し目買いで考えています。
【参考記事】
●ベアトラップになったユーロ/米ドルは押し目買いへ! 悪材料織り込んだ英ポンドも買い(8月28日、バカラ村)
ユーロ/米ドルは、8月10日(金)のトルコリラショックのときに1.15ドルを下抜けましたが、これがベアトラップの形となり、底を付けたことで、上昇する可能性があると考えています。
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