■「米ドル高」という言葉には2つの意味がある!?
市況解説などに出てくる「米ドル高」という言葉には2つほど意味がある。
株式の専門家が市況解説で口にする「米ドル高」。これは単に「米ドル高」と言っていても「米ドル/円における米ドル高」を指していることが多い。これは「米ドル/円における円安」と言っても同じこと。つまりは、「米ドル/円における米ドル高・円安」=「米ドル/円の上昇」という意味である。
一方、為替の専門家も「米ドル/円における米ドル高」の意味で「米ドル高」と言うこともあるが、それとはちょっと違った意味で「米ドル高」と言うこともある。同じ「米ドル高」という言葉を使っていても、米ドルの全般的な上昇を指して「米ドル高」と言っていることがあるのだ。

米ドルの総合的な強さを表す指標にドルインデックス(ドル指数)というものがあるが、米ドルの全般的な上昇を示す米ドル高とは、ざっくり言えば、ドルインデックスが上昇しているということを示している。
市況解説では2つの意味の「米ドル高」という言葉が、ときに明確な説明なしに混じって使われていることもあるから要注意だ。
■最近の米ドル/円はどうも動きがハッキリしない
さて、さまざまな通貨ペアがある中で日本のFXトレーダーが一番慣れ親しんでいるのは何だろうか? これは米ドル/円で間違いないだろう。日本のFX会社では米ドル/円の取引量がダントツに多いのだ。そのシェアは6割超にも達している(※)。
(※金融先物取引業協会の「店頭FX月次速報」2018年7月分のデータによる)
そんな大人気通貨ペアの米ドル/円だが、最近は動きがどうもハッキリしないと思っている人が少なからずいるのではないだろうか。
たとえば、7月には2015年5月の高値から3年以上続く長期のレジスタンスラインを上抜いたというので、これだけの強固なラインを抜けたのなら、さあもっと上がるぞという声も聞こえてきたのだが、結局、ほどなく反落して、元のレジスタンスラインの中にいったん戻ってしまったということがあった。
【参考記事】
●米ドル/円は3年続いたレジスタンスラインをブレイクする準備完了! 買うなら今でしょ!?(2018年7月6日、陳満咲杜)
●ドル/円112円突破! 裏切られた個人投資家。次は日経平均、再び「買うなら今でしょ!?」(2018年7月13日、陳満咲杜)
(出所:IG証券)
また、8月のトルコリラの急落をはじめとして、最近は新興国通貨の下落が話題になっている。その要因には各新興国が抱える問題がもちろんあるが、さらにその大きな背景として、金利の上がってきた米ドルへ資金が回帰して米ドル高になっていることがあるようだ。
【参考記事】
●トルコリラ/円が一時、16円台まで暴落! トルコリラ急落の震源地はユーロか!?
●トルコリラ/円は一時15円台まで大幅続落! 原因はトランプとエルドアンの両大統領!?
つまり、新興国通貨の下落は米ドル高の裏返しという意味合いもあるわけだが、新興国通貨が下落する局面はリスクオフにもなりやすい。そして、リスクオフになれば円高圧力がかかり、結局、米ドル/円は下がりやすくなってしまうのである。
新興国通貨が下落する局面は全般的な米ドル高局面になりやすいにもかかわらず、そんな米ドル高局面において、米ドル/円は米ドル安・円高になってしまったりするというわけなのだ。
このように、いくらなじみがあると言っても、最近の米ドル/円はどうも複雑だ。ハッキリしない。ならば、もっと素直なモノをトレードした方がいいのではないだろうか。
そこでチェックしてみたいのが先ほど出てきた、米ドルの総合的な強さを表す指標「ドルインデックス」だ。
■ドルインデックスそのものをトレードすることできる!
ドルインデックスはザイFX!の記事にもときどき登場する。とくに陳満咲杜さんの連載にはよく登場するので、陳さんファンにはおなじみだろう。9月7日(金)公開の最新記事でも陳さんは以下のように米ドル/円とドルインデックスの違いについて書いていた。
米ドル全体の頭が再び重くなってきた。ただし、いつものように、ここで言う米ドル全体とは、ユーロをメインとした主要外貨に対する全体的な米ドルのパフォーマンスを指し、米ドルの対円での動き、すなわち米ドル/円とは「別物」であることに注意が必要だ。
米ドル全体のパフォーマンスは、ドルインデックスをもって確認できるが、ドルインデックスとの連動性は、米ドル/円のパフォーマンスにおいては「伝統的」に鮮明ではなかった。
【参考記事】
●米ドル全体が大きく反落しても米ドル/円は例外!? 押し目買いのスタンスを維持せよ!(2018年9月7日、陳満咲杜)
ドルインデックスは当然ながら全般的な米ドル高を素直に反映する。といっても、ドルインデックスは米ドル/円などの通常の通貨ペアをトレードする際に参考にする指標であって、それ自体をトレードするものではない、と考えている人も多いことだろう。
だけど、できるのだ。
ドルインデックスそのものをトレードすることが。
確かに日本のほとんどのFX会社ではドルインデックスをトレードすることができない。だから、それがトレード対象ではなく、参考指標にすぎないと考える人が多いのも不思議ではない。
けれど、ごくわずかにドルインデックスがトレードできるFX会社もこの日本には存在している。その代表的な会社がIG証券だ。
論より証拠。こちらの画面を見てほしい。これはIG証券の取引画面にドルインデックスを表示しているところだ。ドルインデックスのチャートが表示され、発注ウィンドウも確かに存在している。
記事の途中ですが、ここでIG証券のキャッシュバックキャンペーンに関する重要なお知らせを。
本記事の最後で詳しく紹介していますが、IG証券では「FX以外」の銘柄を対象とした最大6万円がもらえるキャッシュバックキャンペーンと「FX」の銘柄を対象とした最大5万円がもらえるキャッシュバックキャンペーンを現在実施中です。
このうち、「FX以外」の方の最大6万円キャンペーンはとても条件が緩く、FX業界屈指のオトクなキャンペーンとなっています(ただし、先着150名という限定条件はつきます)。
そこで、問題は本記事で取り上げているドルインデックスという特殊な銘柄。これは「FX」に該当するのでしょうか? それとも「FX以外」に該当するのでしょうか?
IG証券の取引画面で「FX」という項目を見ると、上から順番に米ドル/円、豪ドル/円、ユーロ/円…と各通貨ペアが並んでいて、その一番下までいくとドルインデックスが表示されています。となると、ドルインデックスは「FX」に分類されるのかな?と思えます。
しかし、筆者がIG証券に問い合わせたところ、紆余曲折があったのち、最終的にはドルインデックスは「FX以外」に該当するとの回答がありました。つまり、ドルインデックスは最大6万円がもらえるオトクなキャンペーンの対象になるということです。
このあと説明しますが、IG証券のドルインデックスは米国のインターコンチネンタル取引所(ICE)が発表しているドルインデックス先物を元にしたCFDのようです。そのため、「FX以外」に該当するのだと思われます(もし、疑問点があれば、IG証券までお問い合わせを)。
(ここから元の記事に復帰します)
ちなみにIG証券は2018年5月に、PC用のウェブブラウザ版で「HTML5」に準拠した、サクサク動く新取引システムをリリースしており、上の取引画面もこの新取引システムのものだ。
【参考記事】
●IG証券がPC版新取引システムをリリース! チャートもサクサク動くしアレンジも自由自在
●億トレも使う、あのツールが革命的進化! 「1秒足」に残された投機筋の痕跡とは?(高城泰)
■IG証券のドルインデックスには2銘柄ある
あとで詳しく触れるが、IG証券のドルインデックスは、米国のインターコンチネンタル取引所(ICE)が発表しているドルインデックス先物を元にしたCFD。ICEのドルインデックスは本来、100弱程度の数字になっているが、IG証券のドルインデックスはそれを100倍した1万弱程度の数字になっている。この点はちょっと注意が必要だ。
そして、IG証券のドルインデックスには「ドルインデックス($10)」という銘柄と「ドルインデックス(\100)」という銘柄がある。

「ドルインデックス($10)」は1ポイントが10ドルに相当する銘柄。IG証券のドルインデックスは現在、9500程度の数字なので、「ドルインデックス($10)」を1ロット買うと、9500×10ドル=9万5000ドル相当のポジションを持つことになる。
ただ、「ドルインデックス($10)」は最小0.2ロットから取引できる。したがって、最小ロットは9万5000ドルの5分の1で1万9000ドル相当のポジションということになる。これを1ドル=110円で換算すれば、209万円相当のポジションということだ。
このとき、ドルインデックスの数字が1動くと、2ドル(約220円)の損益が動くことになる。
もう1つの「ドルインデックス(\100)」という銘柄だと、1ポイントが100円となり、「ドルインデックス($10)」より小さく見える。1ロット買えば、9500×100円=95万円相当のポジションだ。けれど、こちらは最小単位が5ロットになっており、持てる最小のポジションは95万円×5=475万円相当ということになる。
この最小ポジションを持ったとき、ドルインデックスの数字が1動けば、500円の損益が動くことになる。
■上昇トレンド、下降トレンドの定義
さて、ここで話が若干、変わって、上昇トレンド、下降トレンドについて改めて考えてみたい(話が変わるといってもドルインデックスの話にあとでつながってくる)。
上昇トレンド、下降トレンドの定義として、以下ようなものを見たことはないだろうか?
・上昇トレンド…今回の高値が前回の高値より高い。なおかつ、今回の安値が前回の安値より高い(高値切り上げ、安値切り上げ)。
・下降トレンド…今回の高値が前回の高値より安い。なおかつ、今回の安値が前回の安値より安い(高値切り下げ、安値切り下げ)。

このトレンドの定義は、NYダウにその名を残すチャールズ・ダウが提唱したダウ理論のごく一部ということらしい。
この上昇トレンド、下降トレンドの定義は基本的な考え方として、とても理にかなっているとは思うのだけど、実際の相場はそんなにわかりやすいトレンドになるとは限らないのもまた事実だ。
(次ページではダウ理論の定義にしたがって、最近の米ドル/円とドルインデックスの動きを詳しく比較しています)
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