■金融市場に方向感が出ない原因とは?
先週(9月3日~)から今週(9月10日~)にかけて、金融市場では、特に何か状況が変わったことはなく、相変わらず株式市場、為替市場ともに方向感を失った展開が続いています。
方向感を出せない大きな原因は、いくつかの不確定要因があるからだということは、前回のコラムで紹介したとおりです。
【参考記事】
●市場に影響与えそうな2つの懸念事項とは?米ドル/円は110~113円程度のレンジ相場に(9月6日、今井雅人)
そのうちの1つである米中の通商交渉に、少し前進が見られているので、まずは、それについて考えてみます。
■米中合意ならリスクオン! 摩擦回避に向けて新提案
今週(9月10日~)、米政府は、一段の経済摩擦を回避するために、中国に対して新たな通商交渉を提案したことを、クドローNEC(国家経済会議)委員長が明らかにしました。
交渉は、ムニューシン米財務長官が主導して行っているようです。
米政府は、中国に対して新たな通商交渉の提案を行ったと公表。主導しているのはムニューシン米財務長官だそうだ。双方譲らぬ関税合戦が、いったいいつまで続くのか…?と思われた米中貿易戦争だが、ようやく収束に向けて舵が切られたのか? (C)Bloomberg/Getty Images
トランプ米大統領は、中国に対して2000億ドルに加えて、さらに2670億ドルにおよぶ追加の関税措置を講じようとしているという報道があり、市場は非常に神経質になっていました。
そこに、こういう発言が出てきたことが、市場にとっては明るい材料です。
この通商交渉も、どこかで決着をしなければいけないのは当然のことではありますが、米中がお互いに一歩も譲らない状況が続いており、先行きがまったく見通せない状況にありました。
しかし、米国側から交渉を持ちかけていることで、何らかの合意がなされる可能性が出てきました。
仮に、何らかの合意がなされれば、金融市場は好感し、株式市場にもプラスの影響が出るでしょうし、為替市場はリスクオンで円安の方向に向かうでしょう。
(出所:Bloomberg)
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:世界の通貨VS円 日足)
■次のターゲットは日本! その時は円売りのチャンスと考える
NAFTA(北米自由貿易協定)の再交渉では、米国とカナダの2国間協議が大詰めにきていると、トランプ米大統領が明らかにしています。これも合意がなされれば、金融市場にとってはプラス材料となるでしょう。
ただ、1点気をつけておかなければいけないのは、EU(欧州連合)との交渉が新しいステージに入り、中国やNAFTAとの交渉にメドが立つと、次は間違いなく、日本がターゲットになるということです。
すでにトランプ米大統領は、日本に対して牽制球を投げてきています。
次に日本との交渉が本格化すれば、そのときは、一時的に円高になる可能性があります。
しかし、その局面は、絶好の円売りのチャンスになるのではないかと考えています。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 日足)
さて、今週(9月10日~)、日本の半導体大手ルネサスエレクトロニクスが…
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