■トルコ中銀は今年中にさらなる利上げの必要性も
先週(10月1日~)発表されたトルコの9月のCPI(消費者物価指数)は6.3%という、市場コンセンサスのほぼ倍となる驚きの数字となりました。

(出所:Bloomberg)
これでCPIは年率で24.5%に達しましたが、トルコ政府が2週間前に発表した新経済計画で設定された今年(2018年)のインフレ目標である20.8%を大きく超えてしまいました。

(出所:Bloomberg)
9月ですでに24.5%を突破したということは、新経済計画のインフレ目標の達成はほぼ不可能と考えてもいいと思います。
また、9月13日(木)にトルコ中銀は政策金利を625bpも引き上げ、24%にしましたが、足元のインフレの加速を考えると、24%の政策金利でも足りないということになり、年内にさらなる利上げの必要性が生まれました。
【参考記事】
●トルコ中銀は、6.25%利上げで満額回答! トルコリラ/円が20円超えを目指すには…!?(9月14日、エミン・ユルマズ)

(出所:Bloombergのデータを基にザイFX!編集部が作成)
■トルコ政府が打ち出したインフレ対策とは?
今回、個人的にもっとも注目したのは、PPI(生産者物価指数)です。PPIは年率で46%を超えました。CPIとPPIの乖離が大きくなっているということは、CPIが今後も上昇し続けることを意味します。

(出所:Bloomberg)
トルコ政府は、モノやサービスの値段を上げないように生産者や販売者に圧力をかけていますが、これらの業者は、価格に転嫁させないと経営が悪化することになります。しかし、ちゃんと転嫁させたら、CPIは年率で30%を超えることになるでしょう。
昨日(10月9日)、トルコ財務省によるインフレ対策の発表がありました。アルバイラク財務相によって発表されたインフレ対策は、小売企業が年末までに10%の値下げを実施するというキャンペーンでした。国としても、電気料金と天然ガスの料金を年末までに値上げしないということです。
このキャンペーンに参加する企業は、店のフロントガラスなどにキャンペーンのシールを貼ることになるそうです。任意の参加とはいえ、シールを貼らせることで半強制的な措置になってしまう懸念もあり、業者側から苦情が出てきそうです。
この10%値下げキャンペーンに対しては、市場からも批判が相次ぎ、あまり期待されていませんが、私は、経済的な効果よりも政治的な効果が大きいと考えています。
来年(2019年)3月の地方選挙まで、なんとか景気を持ちこたえさせたいという現政権の意向がはっきり見えます。
国にとって、もう1つの大きなメリットは、このキャンペーンによって年末までに、ある程度インフレを下げることができれば、来年(2019年)度の公務員の給与や年金の引き上げ金額を低く抑えることができるという点です。公務員の給与と年金は、毎年1月に、前年度のインフレ率によって金額が決まるしくみになっています。
そんな中、先週(10月1日~)エルドアン大統領から衝撃発表が…
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