■日本仮想通貨交換業協会(JVCEA)が自主規制団体に認定された!
2018年10月24日(水)、日本仮想通貨交換業協会(JVCEA)が、資金決済法上の認定資金決済事業者協会、いわゆる自主規制団体として金融庁に認定されました。
現状、日本仮想通貨交換業協会には、仮想通貨交換業者16社が協会員として名を連ねていますが、協会が認定自主規制団体になったことで、今後は、協会員に対して、法令や協会が作成する自主規制ルールなどの規則を遵守させるための指導や勧告、処分などを行うことができます。
株式会社マネーパートナーズ | 株式会社ビットポイントジャパン |
QUOINE株式会社 | 株式会社DMM Bitcoin |
株式会社bitFlyer | 株式会社ビットアルゴ取引所東京 |
ビットバンク株式会社 | Bitgate株式会社 |
SBIバーチャル・カレンシーズ株式会社 | 株式会社BitOcean |
GMOコイン株式会社 | 株式会社フィスコ仮想通貨取引所 |
ビットトレード株式会社 | テックビューロ株式会社 |
BTCボックス株式会社 | 株式会社Xtheta |
(出所:日本仮想通貨交換業協会)
2018年9月にも、Zaifによる大規模な仮想通貨流出事件が起きたばかりですが、晴れて自主規制団体として認定されたことですし、今後は、日本仮想通貨交換業協会を中心に、業界一丸となって、ユーザーが安心して利用できる環境作りに取り組んでいってもらいたいところです。
【参考記事】
●流出事件のZaifはフィスコ仮想通貨取引所に吸収! テックビューロは廃業へ。70億円分の補償は?
●「またか!?」 Zaifで67億円相当の仮想通貨消失! フィスコ、50億円の金融支援で顧客損失補填へ!?
■マネパとビットフライヤーが手を組んでから7カ月
ところで、今回の自主規制団体認定の報を受けて、これまでの経緯を知っている人は、やっとか…なんて、思われたのでは?
自主規制団体認定までの経緯を振り返ってみると、もともと仮想通貨業界には、金融系業者が数多く所属する日本仮想通貨ビジネス協会(旧:日本仮想通貨事業者協会)(JCBA)とテック系業者が数多く所属する日本ブロックチェーン協会(JBA)という2つの有力団体があり、それぞれが別々に金融庁の認定自主規制団体を目指す…という、なんともまとまりのない状況が、長らく続いていました。
しかし、このままでは埒が明かないということで、2018年3月には、日本仮想通貨事業者協会(当時)の会長であるマネーパートーズの奥山泰全氏と日本ブロックチェーン協会の代表理事(当時)であるbitFlyer(ビットフライヤー)の加納裕三氏が揃って記者会見を開き、新団体の設立を発表。これにより、設立されたのが今回、認定自主規制団体となった日本仮想通貨交換業協会です。
日本仮想通貨交換業協会は、会長に奥山泰全氏を据え、その脇を理事として、加納裕三氏、ビットバンクの廣末紀之氏、GMOコインの石村富隆氏、さらに、財界のドンにしてSBIバーチャル・カレンシーズの代表取締役も務める北尾吉孝氏が固めるという体制で運営されています。金融系とテック系が手を携えて協会運営に当たっていこう、という気概が感じられる人事ではないでしょうか。
(出所:日本仮想通貨交換業協会)
【参考記事】
●ついに仮想通貨取引所が新団体設立へ! 自主規制団体ができると何が変わる?
●マネパとビットフライヤーが手を組んだ! 理事には財界のドンSBI北尾氏が自ら降臨!?
途中、協会員への行政処分やらなんやらと、いろいろとハプニングはありましたが、日本仮想通貨交換業協会の設立以降、なんとか歩みを止めずに進んできたようで、2018年8月には、金融庁に対して認定自主規制団体になるための申請書を提出。また、金融庁で、2018年9月に行われた「仮想通貨交換業等に関する研究会」では、協会として自主規制ルールの概要を公表していました。
(出所:日本仮想通貨者交換業協会)
そんなこんなで、日本仮想通貨交換業協会の設立からおよそ7カ月、申請からおよそ2カ月を経て、ようやく今回、自主規制団体として正式に認定されたという流れになります。
■レバレッジは4倍が協会指定水準に
ここで、肝心の自主規制ルールについて、「仮想通貨交換業等に関する研究会」で公表された概要を元に、少し触れておきましょう。
現行の資金決済法では、仮想通貨についての定義付けは行われたものの、たとえば、取引などに関する具体的なルールは一切定められておらず、仮想通貨のFXをはじめとする証拠金取引などは、モデルとなるルールがない中、各業者の裁量によってユーザーに提供されてきました。
自主規制ルールは、そうした法律で具体的に定められていない事柄を実務的な観点からフォローする感じで策定されており、仮想通貨や金銭の管理方法に関する規定からシステムリスク、情報セキュリティに関する規定、各種取引に関する規定など多岐に渡って細かな取り決めが行われています。
仮想通貨交換業協会のウェブサイトでも公表されていますので、詳細については、ぜひ、そちらで原文を読んでもらいたいのですが、この中で特に注目しておきたいのが「証拠金取引に関する規則」についてです。
記者的に気になっていたのがレバレッジの部分だったのですが、協会指定水準として、レバレッジ4倍という値が提示されています。2018年10月現在、5倍、10倍、20倍などで証拠金取引ができる仮想通貨交換業者もいくつかありますが、どうやら一定の猶予期間を設けたのち、いずれも4倍に統一する方向のようです。
(出所:日本仮想通貨交換業協会)
外国為替証拠金取引の方のFXでは、近年、レバレッジ引き下げ論も出てきていましたが、今はそれも収まったようで…とりあえず、現状、日本国内では最大25倍までのレバレッジが認められています。
それに比べると、4倍というのは、ずいぶんディフェンシブな印象を受けますが、仮想通貨のボラティリティがFXの比ではないことを考えると、できるだけレバレッジを抑えた取引が望ましいということなのかもしれません。
【参考記事】
●一律レバレッジ10倍への規制強化見送り! では何が規制されるのか?今後の争点は?
資金効率の悪化は否めませんが、取引の安全のためということであれば、致し方ない部分はあるのかも…。今後、どういった流れで仮想通貨のレバレッジ規制が行われていくのか、協会や各取り扱い業者の発表に注目したいところです。
■登録審査プロセスを明確化し、透明性を高める方針
最後に、今回の自主規制団体認定発表と併せて、金融庁では、仮想通貨交換業者の登録審査についての方針も発表していましたので、紹介しておきます。
2018年8月には、これまでに金融庁が実施した仮想通貨交換業者への立ち入り検査やモニタリングで確認された問題点などが「仮想通貨交換業者等の検査・モニタリング 中間とりまとめ」として公表され、審査が、より厳格化の流れにあるとお伝えしました。今回発表された方針においても、方向性としては、おおむねこの時と同じようなことが書かれていました。
【参考記事】
●総資産が553%も拡大した仮想通貨業界に課題。金融庁の登録審査は、より厳格化の流れか
しかし、現時点においては、仮想通貨交換業への新規参入を希望する業者が多数に上ることから「登録審査のプロセスをより明確化し、その透明性を高めていくことが重要」とし、今回、新たに以下の資料が公表されています。
<新たに公表された資料>
・ 仮想通貨交換業者の登録審査プロセス
・ 仮想通貨交換業者の登録審査に係る質問票
・ 仮想通貨交換業者の登録審査における主な論点等
日経新聞によると、現状、登録審査を待つ業者は160社以上あるそうで、そのうち、具体的に詰めが行われている業者は50社以上あるらしいのですが、そうした業者から、どうやら「登録審査に時間がかかり、進捗がわかりにくい」という批判が出ていたみたいなのです。
今回、金融庁が発表した登録審査のプロセス明確化や透明性を高めていくという方針は、こうした批判を受けて行われたものなのかもしれません。
審査に関することですので、ユーザーに直接関係があるというよりは、これから仮想通貨交換業者として新規登録を目指す業者にとって重要な発表と言える事柄ですが、着実に登録審査制度についても、整備が進んでいるんだなということは感じられると思います。
当記事でお伝えした自主規制団体認定の件も含め、徐々にではありますが、仮想通貨業界は、ある意味、なんでもありの無法地帯から、適切に管理され、一般ユーザーが、より安心して利用できるサービスに変貌しつつあるようです。
まだまだ過渡期ということで、いろいろと成熟していない面はあるかもしれませんが、自主規制団体の認定も行われたことで、今後、制度面の整備は加速することが期待されます。仮想通貨が持つ魅力を損なわず、安心して利用できるサービスへ…業界全体がより良い方向へ進んでいくことを期待しましょう。
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