■上下院とも共和党が制した場合、米金利急騰に注意
11月6日(火)はいよいよ米中間選挙ですね。今までになく高い注目度を感じます。
【参考記事】
●米国株急落はヘッジファンドの思惑どおり! 米中間選挙のシナリオと相場の反応を予想(11月1日、西原宏一)
●米中間選挙で金融市場はどう動くのか? さらなる株安で米利上げが止まる可能性も!?(広瀬隆雄)
米大統領選のサプライズが記憶に新しいですからね。あの経験があるからか、今回はアナリストの予想も慎重ですが、コンセンサスとしては「上院は共和党、下院は民主党が過半数を握る」という予想。この場合、マーケットに大きなインパクトは出ないと想定されています。このシナリオがおおよそ85%の確率でしょうか。
11月6日(火)に米中間選挙を控えるトランプ米大統領。市場では「上院は共和党、下院は民主党が過半数を握る」と予想されているが… (C)Chip Somodevilla/Getty Images
トランプ当選を的中させたジャーナリストの木村太郎さんは今回、上下院とも共和党の勝利だと予想しているようです。このシナリオの可能性はいかがですか。
上下院とも共和党が制するシナリオも15%ほどの可能性を見込んでいます。この場合は株高・円安の「ミニ・トランプラリー」が進むのでしょうが、気をつけたいのが米金利の急騰。株式市場が急騰後、米金利の急騰に耐えられず、急反落する可能性があります。
(出所:Bloomberg)
株が東京時間に買われても、欧州時間以降で金利急騰ともにガクッと下がるような可能性もあるということですね。
ただ、2年前の教訓があるだけに決め打ちせず、あらゆる可能性を考えておきたいですね。
■米中雪解けはリップサービス!? 豪ドルは踏み上げの可能性も
先週(10月29日~)後半には米中首脳が電話協議を行い、トランプ米大統領は「いい話し合いができた」とツイート。米中貿易摩擦への懸念が緩和し、リスクオンとなる場面がありました。
米中首脳会談は11月末のG20(20か国・地域首脳会合)に合わせて行われるわけですし、まだ、なんら合意ができたわけではありません。中間選挙へ向けてのリップサービスとしての側面が大きいのではないでしょうか。
クドローNEC(米国家経済会議)委員長からは、「対中貿易協定案の策定を指示した事実はない」とのコメントも出ていますが、米中が雪解けムードを演出してくるようだと、豪ドルを売りにくくなってきます。
【参考記事】
●反発は一時的!? 「米中貿易戦争」を背景に中期での豪ドル軟調は変わらないと見る!(9月20日、西原宏一)
豪ドルはチャート的にいったん調整する形となってきています。ペンス米副大統領が中国への強硬姿勢を示した10月初旬あたりはわかりやすい売りの場面でしたから、その踏み上げもあるのでしょう。
長期的にはまだ落ちる可能性がありますが、今は様子を見たい場面ですね。もう一段の踏み上げも十分にあり得ます。
(出所:Bloomberg)
■米雇用統計強い! 12月の米利上げ織り込みは75%程度
今週(11月5日~)は6日(火)にRBA(オーストラリア準備銀行[豪州の中央銀行])の政策金利発表がありますね。8日(木)にはRBNZ(ニュージーランド準備銀行[ニュージーランドの中央銀行])の政策金利発表や、FOMC(米連邦公開市場委員会)もあります。
いずれも据え置きの見通しですね。
(出所:Bloomberg)
※「FF金利」とは、フェデラルファンド金利のことで、FFレートとも呼ばれる。米国の政策金利のこと
10月の世界同時株安で12月の米利上げを危ぶむ声も出ていましたが、先週(10月29日~)の米雇用統計は強い数字でしたし、FOMC声明文から改めて12月利上げを確認する動きもありそう。
(詳しくはこちら → 経済指標/金利: 米国主要経済指標の推移)
12月の米利上げ織り込みは75%程度なので、FOMC声明文に反応があるかもしれませんね。
■イランの「幽霊船」が原油を闇輸出!? 60ドル割れ試す可能性も
今日(11月5日)からはイランに対する米国の経済制裁が再開されました。トランプ米大統領は「かつてない最大の制裁」としていますが、日本を含む8か国は当面、適用が除外される見込みですし、イランではこれまでもGPSを切った「幽霊船」による闇輸出があるようで、実効性に疑問符がつく部分も。
マーケットは当初、制裁再開により日量100万バレルの供給不足になると懸念していましたが、WTI原油は62ドル台まで下落しています。
(出所:Bloomberg)
ガソリン価格の下落は中間選挙対策にもなり、トランプ米大統領にとってはありがたい話でしょう。
これまで原油はOPEC(石油輸出国機構)の減産や制裁再開などの材料で買われ、WTI原油先物市場は逆ザヤ(現物価格>先物価格)でしたが、10月下旬から順ザヤ(現物価格<先物価格)に転じています。
先物市場でのファンド勢のロング解消の動きはもう少し続く可能性があり、60ドル割れを試す場面があるのかもしれません。
(出所:Bloomberg)
中間選挙次第でトランプ米大統領の戦略も変わってくるでしょうから、やはり中間選挙の結果が注目ですね。
■英ポンド急騰! ユーロ/米ドルも買っていきやすい場面に
為替市場では、先週(10月29日~)の英ポンド急騰に驚きました。
週末に英紙が「メイ英首相はEU(欧州連合)から譲歩を取り付けた」と報じたことで、今朝も英ポンドはギャップアップして始まっています。
バッドニュースには反応しづらく、グッドニュースに反応しやすくなってきており、さらなる上昇を予想する銀行も出てきているようです。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:英ポンド/円 1時間足)
今週(11月5日~)の戦略はどう考えますか?
英ポンド買いもいいのですが、それ以上に注目しているのがユーロ。イタリアの予算やブレグジット交渉など悪材料がひととおり織り込まれても、ユーロ/米ドルは1.13ドルを割れません。1.13ドル割れにストップロスを置いて、買っていきやすい場面です。
いずれにせよ、今週(11月5日~)の注目は米中間選挙。その結果次第では戦略が大きく変わることもありえます。特に米金利の動向には気をつけたいですね。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/米ドル 4時間足)
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