■遂に崩れ始めた米国株。アップルの決算発表が今後のカギ
米国株が遂に崩れ始めましたね。決算発表後に7.8%安となったアマゾン株など、ナスダック銘柄の下落が目立つのですが、高止まりしたままなのがアップル株。今週(10月29日~)、11月1日(木)に発表される決算が注目されますね。
【参考記事】
●中国経済悪化の影響が欧州にまで波及…!? リスクオフ継続で、ユーロ/円続落に警戒!(10月25日、西原宏一)
(出所:Bloomberg)
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アップルは明日(10月30日)、新製品発表会も控えています。「iPadやMacBook Airの新製品が出るのでは」と噂されており、アップル信者目線ではこちらが気になるのですが、トレーダー目線だと大切なのは決算。市場を驚かせるような新製品で株価が上昇しても、翌々日(11月1日)の決算で打ち消されてしまう可能性がありそうです。
アマゾンの決算は過去最高益だったにもかかわらず、今期の見通しが弱いだけで大幅に売られました。アップルも、よほど強い数字でないと売られやすい地合いですし、アップル株が落ちてくるようだと、センチメントはさらに悪くなります。
アップルの決算がいい数字でも、センチメントが少し改善する程度でしょうし、悪いほうに反応しやすくなっていますね。メルマガ「FXトレード戦略指令!」で書いたとおり、「中間選挙に向けて株価が調整し、選挙後に戻す」というアノマリーがありますが、そのとおりにここまで動いています。
中米からの「移民キャラバン」のほか、オバマ前米大統領やCNNなどに届いた郵便爆弾など、中間選挙を前に話題が豊富ですが、11月6日(火)の投票日に向けて、予想だにしないニュースが今週(10月29日~)も出てきそうです。
■日経平均は3400円下落。いまはチャート分析が重要!
中国株が崩れても影響のなかった日経平均ですが、米国株が崩れ始めた今月(10月)、3400円も落ちています。日本株のファンダメンタルズに大きな変化があったわけではないですし、ファンダメンタルズ面からこの下落を説明するのは難しい。アルゴリズムトレード拡大の影響が大きいのでしょう。
心構えの話になりますが、このところの相場では「Chart Wise」、つまりチャート分析の比重を上げたほうが収益を高めやすいように思います。
(出所:Bloomberg)
トレードが機械化されたことで、テクニカル分析に基づいた売買の比重が高まっているようですね。
チャートでいうと、日経平均の月足は、新高値をつけた後、大陰線を引いて「つつみ下げ」となっています。しばらくは戻り売り優勢の下落基調のようですが、今月(10月)の日経平均は3つの窓を開けています。戻り局面では、窓埋めの可能性も意識しておきたいですね。
(出所:Bloomberg)
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■米ドル/円にはまだ下落余地がある!
米ドル/円はいかがですか?
米ドル/円は、3月安値から引いた斜めのサポートラインを下抜けており、下落余地はまだあるのでしょう。
しかし、気になるのはオプション。111.60円に38億ドルほど設定されています。これだけの金額だと簡単には抜けません。オプションの行使期限である10月31日(水)までは、111円台半ばから112円台前半でのレンジとなりやすいですし、10月31日(水)のNYカット(24時)以降は、オプションが消滅して下げやすくなります。
(出所:Bloomberg)
「米ドル/円は旺盛な外債投資やM&Aに支えられて下がらない」とする見方もありました。実際、今年8月までの対外直接投資は11兆円。過去最大となった昨年(2017年)と同じペースなのですが、これだけ落ちてくると、「買うのはもう少し待とう」と考える人も増えそうですね。
昨年(2017年)と同じペースの対外直接投資でも、米ドル/円がこの位置だということは、さらに下がる余地がありそうだなとも感じてしまいますね。今年(2018年)の値幅はまだ9円99銭。10円にも満たない狭さでもありますし。
(出所:Bloomberg)
■ユーロ円がさらに下落するには、ユーロ/米ドルの動きが重要
クロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)の下げも強まっていますね。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:世界の通貨VS円 日足)
売りポジションを持っていたユーロ/円は、ユーロ/米ドルの下落に牽引されて順調に下落してきました。しかし、気になるのはユーロ/米ドルの1.1301ドル。8月15日(水)につけた安値です。ここを下抜けできないと、ダブルボトムで反発することになります。
ユーロ/円がさらに下落するには、「米ドル/円が下落するか、ユーロ/米ドルが1.1301ドルを下抜けるか」のどちらかが必要となります。
(出所:Bloomberg)
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■原油先物は200日線がカギに? ユーロ/円は戻り売り継続!
コモディティで気になるのは原油。サウジアラビアは10月23日(火)に増産を示唆したかと思ったら、10月25日(木)には「路線変更も」と一転して減産をにじませています。WTI原油先物は70ドルを割り込んでいますが、200日移動平均線(以下、200日線)でどうにか持ちこたえています。
米国株の主要な指数はいずれも200日線割れですから、WTI原油先物も200日線を明確に下抜けるようだと、金融市場全体のセンチメントが冷え込んできます。
(出所:Bloomberg)
今週(10月29日~)は、日銀会合(10月31日)や米雇用統計(11月2日)もありますが、注目は米国株の動向。株式市場がさらに下がるようなら、クロス円全般も弱いのでしょう。ユーロ/円の戻り売りを継続していきたいと思います。
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