■予想どおりの米中間選挙。為替相場にトレンドはできず!
11月6日(火)に、米国の中間選挙がありました。市場の予想どおり、上院は共和党、下院は民主党が過半数の議席を獲得しました。
為替市場は、市場の予想どおりということもあり、結果が発表された当初は乱高下したものの、トレンドはできず、米ドル/円は113円台での推移となりました。
【参考記事】
●米中間選挙! 「ねじれ」でも為替動かず!? 米ドル/円より豪ドル/円を買う理由とは?(11月6日、バカラ村)
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■大統領選挙に向けて米中の覇権争いが活発化!?
ねじれ議会となったことで、トランプ大統領は今後、景気対策などの政策を、議会で通しにくくなりました。
2020年には、大統領選があります。トランプ大統領は、ここで再選を目指したいわけですが、議会で政策が通りにくいとなると、貿易問題の方に比重をかけてくることが予想されます。
とすれば、米中の覇権争いが、今よりも活発になると思います。
2019年からの米議会がねじれになったことで、トランプ大統領は2020年の大統領選に向けて、貿易問題に比重をかけてくるというのがバカラ村さんの考え。今後、一層、米中の覇権争いが活発化してきそうだ… (C)Chip Somodevilla/Getty Images
中間選挙前に、トランプ大統領は、中国との歩み寄りを示唆する発言をしていましたが、これは、株価が先月(10月)大きく下落したため、それを意識しての発言という面が強いでしょう。中間選挙も終わったことで、これまでのように圧力をかけてくるものと思います。
今月末(11月30日~)にG20(20か国・地域首脳会合)がありますが、合わせて米中首脳会談も開催される予定のため、それに向けて、圧力をかけてくるのではないでしょうか。
■日米通商交渉の本格化で米ドル/円は大きく動き出すか
また、日本に対しても、円高の圧力が強まることになりそうです。
本日(11月13日)は、安倍首相とペンス副大統領の会談が予定されています。今回はまだ、圧力は出てこないと言われていることもあって、大きな材料とはならないと思いますが、来年(2019年)1月には、日米通商交渉も予定されていることから、円高への警戒は解けない状態です。
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目先に関しては、米ドル高と円高が同時に進んでいるため、米ドル/円は小動きが続いています。来月(12月)にはFRB(米連邦準備制度理事会)の利上げもあるため、まだしばらくは、今のような小動きが続くと思いますが、通商交渉が本格化してくれば、米ドル/円も大きく動き出すのではないかと考えています。
■豪ドル/米ドルは長期下降トレンドラインを超えたけど…
豪ドル/米ドルは、長期の下降トレンドラインを超えたこともあって、短期的に上昇していましたが、トランプ大統領の貿易問題のターゲットが中国であることから、豪ドルは長期的に上値の重い展開となりそうです。
(出所:Bloomberg)
今年(2018年)の初旬から10月まで、下降トレンドが続いていましたが、来年(2019年)も、そのような動きとなりそうです。
【参考記事】
●米中間選挙! 「ねじれ」でも為替動かず!? 米ドル/円より豪ドル/円を買う理由とは?(11月6日、バカラ村)
■イタリア予算案のリスクを織り込んでユーロは下落!
本日(11月13日)は、イタリア予算案の再提出期限となります。
もし、予算案を修正せずに、欧州委員会と折り合いがつかないようであれば、イタリアへ罰則が適用されることになります。
欧州委員会とイタリアが妥協して折り合いがつけば、ユーロは反発することとなります。
ただ、イタリアのトリア経済・財務相が、予算案を修正する考えは無いと発言していることもあって、ユーロは軟調な展開が続いています。ユーロ/米ドルは、1.1300ドルにバリアオプションもありましたが、昨日(11月12日)は一時、1.1240ドルまで下落しました(※)。
(※編集部注:本記事の寄稿後、11月13日(火)の日本時間早朝にユーロ/米ドルは一時、1.1216ドル付近まで下落した)
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ユーロはすでに、下げが続いていることもあって、イタリア予算案が修正されないという部分は、織り込んでいるような状況ではないかと思います。
■ユーロ/米ドルは1.11ドル台半ばが下値メド
テクニカルからは、ユーロ/米ドルは9月24日(月)の高値を起点に3回目の下落となりますが、過去2回の下落幅は、383pips(1回目)と319pips(2回目)になっています。
今回の下げも同じような下落幅となれば、ユーロ/米ドルの短期的な下値メドは、1.1117ドル~1.1181ドルになります。
(出所:Bloomberg)
また、V計算値からのメドは1.1104ドルになりますので、おおよそ、1.11ドル台半ばあたりまで下げる可能性があります。
(出所:Bloomberg)
イタリアと欧州委員会が、予算案で折り合いがつくような内容が出れば、ユーロ/米ドルは反発してしまいますが、1.13ドルを下抜けたこともあり、短期的な下値メドとなる1.11ドル台半ばを目指す下げが、期待できるのではないかと考えています。
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