■米中間選挙は上院・共和党、下院・民主党で予想どおり
みなさん、こんにちは。
注目の米中間選挙は、コンセンサス通りの結果(上院は共和党、下院は民主党の勝利)で終了しました。
【参考記事】
●米国株急落はヘッジファンドの思惑どおり! 米中間選挙のシナリオと相場の反応を予想(11月1日、西原宏一)
この結果を受け、民主・共和両党から勝利宣言が出される展開。
トランプ大統領は、上院で共和党が過半数よりも、さらに議席を増やしたことを「歴史を書き換えた」と自画自賛しています。

米中間選挙の結果を受けて、トランプ大統領は、上院で共和党が過半数よりも、さらに議席を増やしたことを自画自賛 (C)Mark Wilson/Getty Images
一方、下院を奪回した民主党では、下院議長に就任する可能性が高いペロシ議員が、ホワイトハウスとの対決姿勢を鮮明にしています。
個人的には、トランプ大統領は、うまく中間選挙を乗り切ったととらえていますが、日本のメディアは「ねじれ」を取り上げ、ネガティブな表現が多いのに少々ビックリ。
■米国株の急反発がトレンドになるかを見極め
話題をマーケットに戻すと、過去のコラムで何度かご紹介させいていただいたように、米系ヘッジファンドは米中間選挙前、つまり、10月の「米国株の調整」を予測し、ヘッジをかけていた模様。
結果は彼らの想定どおり、米国株は中間選挙前に急落しました。
【参考記事】
●米国株急落はヘッジファンドの思惑どおり! 米中間選挙のシナリオと相場の反応を予想(11月1日、西原宏一)
では、米中間選挙後の相場はどうなるのか?
米中間選挙後という意味では、本稿執筆時点では、まだ1日しかたっていませんが、11月7日(水)の米国株は急騰。
NYダウは2.13%、ナスダック総合指数は2.64%と大幅に反発しています。

(出所:Bloomberg)

(出所:Bloomberg)
これは、前述のヘッジファンド勢の利益確定の意味合いもあるため、当然の反発とも言えます。
この米国株の反発が、ショートポジションの利益確定の買い戻しだけではなく、トレンドになり得るのかどうかは、今週(11月5日~)後半の米国株の動向を確認したいところ。
■11月対米ドル騰落率では英ポンドが大きく上げる
為替市場に視点を移すと、10月は株下落によるリスクオフの展開で、「米ドル高・円高」の相場となり、ユーロ/円を中心としたクロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)は急反落しました。
ただ、このステージにおいても、ユーロ/米ドルは1.1300ドルのバリアをブレイクできず、8月15日(水)に到達した安値とほぼ同じレベルで反発。米中間選挙前から反発しています。

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/米ドル 日足)
加えて、ユーロ/米ドル以上に米ドルに対して反発している通貨があります。
それは、英ポンド/米ドルです。
以下は、今月(11月)の対米ドルの通貨別騰落率です。

(出所:Bloombergのデータを基にザイFX!編集部が作成)
今月(11月)に入っての英ポンドは、NZドル、豪ドルに次いで、大きく値を上げています。
■英ポンド/米ドルはダブルボトム形成後に反発
では、英ポンド/米ドルの流れをチャートで確認します。
以下は、英ポンド/米ドルの日足チャートです。

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:英ポンド/米ドル 日足)
10月の英ポンド/米ドルは、「合意なきBrexit(英国のEU離脱)」懸念が拡大し、ずるずると値を下げる展開でした。
10月30日(火)には、1.2696ドルの安値まで下落しています。
この1.26ドル台というのは重要なレベルであり、8月15日(水)に到達した1.2662ドルの安値まで届かず、反発している展開です。
8月15日(水)というのは、多くの通貨にとって転換日となっています。ユーロ/米ドルも、8月15日(水)に1.1301ドルまで到達し、その後、そのレベルをブレイクすることなく反発しました。
つまり、英ポンド/米ドルは10月後半に1.26ドル台でダブルボトムを形成して、11月は大きく値を上げている展開。

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:英ポンド/米ドル 週足)
■英ポンド上昇はBrexitに関する楽観的な見方が要因
これは、今月(11月)に入ってからBrexitに関する楽観的な見方が拡大していることが要因となっています。
たとえば、下記の記事。
メイ首相にEU譲歩、離脱後も英全土が関税同盟に残留-タイムズ紙
英国のメイ首相が欧州連合(EU)離脱後も英国全土が関税同盟に残ることで、EUから譲歩を取り付けたと、日曜紙サンデー・タイムズが情報源を明示せずに報じた。英領北アイルランドの国境にハードボーダー(物理的壁)設置を回避する道筋が付けられたという。
出所:Bloomberg

今月に入ってから、Brexitに関する楽観的な見方が拡大。英ポンドも、ポジティブな報道に反応して大きく値を戻しているという (C)WPA Pool/Getty Images
ここでのポイントは、マーケットの反応です。
先月(10月)までの英ポンドのマーケットは、Brexit関連のポジティブな話題が出ても反発は一時的で、早晩、下落トレンドに戻っていました。
ただ、今月(11月)に入ってからの英ポンド/米ドルは、ポジティブな報道に大きく反応する傾向があり、そのため、月初の1.2766ドルというレベルから大きく値を戻しています。
これは、先月(10月)まで、ポジティブな報道が出ても反応せず、ずるずると値を下げていた豪ドルが、今月(11月)に入って、大きく値を戻しているのと似ています。

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:豪ドル/米ドル 日足)
米中間選挙後、米国株が戻しているのも「米ドル安・円安」で、英ポンド/米ドルにポジティブな要因。
本稿執筆時点では、ユーロ/米ドルの1.1500ドルに巨大なオプションが残存しており、上値を抑えています。しかし、このオプションは、今週(11月5日~)中に、かなりのポジションが行使期限を迎えるため、ユーロ/米ドルの上値を抑えている要因の1つが消滅します。

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/米ドル 日足)
米中間選挙という不透明要因は消滅。
Brexitに対する楽観的な報道が目立つようになった英ポンド/米ドルは、1.3700ドルに向けて反発するのではないでしょうか?
じわじわと上値を伸ばしている、英ポンド/米ドルの動向に注目です。
【ザイFX!編集部からのお知らせ】
ザイFX!で人気の西原宏一さんと、ザイFX!編集部がお届けする有料メルマガ、それが「トレード戦略指令!(月額:6600円・税込)」です。
「トレード戦略指令!」は10日間の無料体験期間がありますので、初心者にもわかりやすいタイムリーな為替予想をはじめ、実践的な売買アドバイスやチャートによる相場分析などを、ぜひ体験してください。















![ヒロセ通商[LION FX]](/mwimgs/9/7/-/img_975127cf2c6be2ac1a68a003ef3669c022946.gif)
![ゴールデンウェイ・ジャパン(旧FXトレード・フィナンシャル)[FXTF MT4]](/mwimgs/c/d/-/img_cd98e6e3c5536d82df488524d85d929d47416.gif)








株主:株式会社ダイヤモンド社(100%)
加入協会:一般社団法人日本暗号資産ビジネス協会(JCBA)