■2019年3月に実施される地方選挙がカギを握る
しかし、すべてはトルコ政府の思惑どおりにはいきませんでした。
もっとも大きな課題は、インフレ率の上昇です。今年(2018年)のトルコのインフレ率は20%を超えました。

(出所:Bloomberg)
エルドアン政権のレガシーは、長年続いたトルコのハイパーインフレを一桁台に抑えたことでしたので、インフレ上昇は、そのレガシーを破壊しようとしています。
この出来事が、国民の選択にどこまで影響を与えるかは、3月の地方選挙で明らかになります。
来年(2019年)のトルコリラの見通しは、3月まで基本的に堅調であると予想していますが、その後の見通しについて選挙の結果を見てからの判断となります。
【参考記事】
●トルコリラは、2019年3月まで堅調と予想。だけど…2つのリスク要因には警戒を!(11月21日、エミン・ユルマズ)

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選挙で現政権の支持率が大きく下がるようだと、トルコの政権運営はスムーズにできなくなる恐れがあるからです。
■地政学的な要因で為替が大きく動く可能性あり
もう1つのリスク要因はやはり、トルコ軍がユーフラテス川の東海岸にあるクルド勢力に対して軍事作戦を実行することです。
【参考記事】
●原油続落でトルコリラ/円は22円台も視野。シリア情勢悪化でトルコが恐れることとは?(12月19日、エミン・ユルマズ)
トルコの民族主義者の票を獲得する狙いもあるので、政府は選挙前に軍事作戦に踏み切る可能性があります。この軍事作戦はトルコと欧米諸国の関係を再び悪化させる可能性が大きいと考えます。
米軍がシリアから撤退するにしても、残るにしても一緒です。せっかく改善したトルコの外交的ポジションが弱体化し、トルコリラの売りにつながる可能性があります。

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:トルコリラ/円 週足)
トルコは新冷戦の東西地政学断層のど真ん中に位置する国です。やはり、来年(2019年)も地政学的な要因で為替が大きく動く可能性があります。
【参考記事】
●トルコ人エミン氏がズバリ直言。シリアよ、落ち着け!その時トルコリラは逆に動き出す
地政学リスクについては、できる限りこのコラムで伝えていこうと思いますので、来年(2019年)もかかさず、このコラムを読んでいただければと思います。
●FX会社徹底比較!:トルコリラ/円が取引できるFX会社はここだ!
※来週1月2日(水)の「トルコリラ相場の明日は天国か? 地獄か?」は休載とさせていただき、2019年は1月9日(水)から配信いたします。
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