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エミン・ユルマズの「トルコリラ相場の明日は天国か? 地獄か?」

原油続落でトルコリラ/円は22円台も視野。
シリア情勢悪化でトルコが恐れることとは?

2018年12月19日(水)12:50公開 (2018年12月19日(水)12:50更新)
エミン・ユルマズ

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■若者の失業率上昇はトルコ経済に赤信号

 今週(12月17日~)、トルコの10月の鉱工業生産指数が発表されました。

 結果は、前年同月比でマイナス5.7%という2009年以来の最悪の数字でした。10月の数字は前月比でもマイナス1.9%なので、明らかな景気減速を意味しています。

トルコ鉱工業生産指数(前年同月比)
トルコ鉱工業生産指数

(出所:Bloomberg)

 また、12月17日(月)に発表された10月の失業率は前年同月比でプラス0.8%となり、失業率は全体で11.4%となりました。

トルコ失業率
トルコ失業率

(出所:Bloomberg)

 トルコの失業率の数字は過去15年間で9%~12%のレンジで動いているので、個人的に驚く数字ではありませんが、今回気になったのは15才~24才の若者の失業率が1.6%増え、21.6%となったことです。

若者の失業率が20%台に乗ってきているのは、トルコ経済にとって赤信号です。

■もっとも懸念すべきはシリア情勢の悪化

 しかし、トルコリラ投資家にとって、もっとも懸念すべきことは、トルコのマクロ指標の悪化ではなく、シリア情勢の悪化だと考えます。

【参考記事】
トルコ人エミン氏がズバリ直言。シリアよ、落ち着け!その時トルコリラは逆に動き出す

 マクロ指標はある程度、事前に予想されているので、すでに織り込み済みのものも多いですが、地政学的なリスクは予想できない部分が大きいです。

 直近で、トルコがシリアの北部にあるクルド勢力に対する新たな軍事作戦を開始するのではないかとの懸念が高まっています。トルコは今までも、シリアのクルド勢力に対して度々、軍事作戦を行ってきました。

トルコリラ/円 週足
トルコリラ/円 週足

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:トルコリラ/円 週足

■自国内のクルド人の分離独立を恐れるトルコ

 トルコはなぜ、シリアのクルド勢力を目の敵にするのでしょうか?

 その背景は非常に複雑で、このコラムで説明するのは非常に難しいですが、簡単に説明しますと、クルド人は、3000万人の人口がある独自の国家を持たない世界でもっとも大きな民族集団であり、トルコ、シリア、イラン、イラクの4カ国にまたがって生活しています。

 この3000万人の約半分はトルコに住んでいて、トルコは自国内のクルド人が分離独立していくことをもっとも恐れています

写真はトルコのエルドアン大統領。トルコは自国内のクルド人が分離独立していくことをもっとも恐れているという (C)Anadolu Agency/Getty Images

写真はトルコのエルドアン大統領。トルコは自国内のクルド人が分離独立していくことをもっとも恐れているという (C)Anadolu Agency/Getty Images

 シリアの内戦の結果、北部にいるクルド勢力は米国の協力を得て力を拡大していきました。

 米国はISIS(イラクとシリアのイスラム国)との戦いで、クルド人の力を必要としていたので、彼らに軍事支援、経済支援を行ってきたわけです。

 米国の支援を背景に、ISISとの戦いに勝ったクルド勢力は、トルコの国境沿いでもあるシリアの北部で、デファクトのクルド国家を作りつつあるとも言えます。

 実は、同じようなことはサダム・フセイン体制が崩壊して以降、イラクの北部でも起きています。つまり、正式名がないものの、トルコの南部ではすでにクルド国家ができたと言っても過言ではありません。

 トルコ政府としては、クルド国家の存在がオフィシャルになった場合に、国境のトルコ側に住んでいるクルド人もこの国家に参加するのではないかと懸念しているわけです。

■トルコが再びシリアに軍事介入する場合のリスクとは?

 トルコが今後、再びシリアに軍事介入する場合の対象地域は、ユーフラテス川の東岸地区になります。

 この地区に米軍が駐在しているのは、問題を今までより複雑にしています。それは、トルコ軍と米軍の衝突リスクをはらんでいるからです。

 エルドアン大統領は、先週(12月10日~)の金曜日に米国のトランプ大統領と電話会談を行い、トルコの立場を明らかにしたとトルコ政府が公表していますが、米国とトルコの話し合いが、まだ継続していると考えます。

 トルコリラに関しては、すぐに売られるような状況ではないものの、地政学的なリスクには、常に注意を払う必要があります。

トルコリラ/円 週足
トルコリラ/円 週足

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:トルコリラ/円 週足

 原油価格の連日の下げはトルコリラに大きな追い風なので、シリアに関する地政学リスクが後退すれば、トルコリラが対円で22円を超えることも可能になったと考えます。

WTI原油先物 日足
WTI原油先物 日足

(出所:Bloomberg)

トルコリラ/円 日足
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