■先週の米ドル/円は膠着。1週間の値幅は約50銭
先週(2月18日~)の米ドル/円は、高値から安値まで50銭程度しか動いておらず、非常に動きの小さな週でした。
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米ドル安の動きになっても、110円台半ばに機関投資家の買いがあり、膠着した動きが続いていました。
■米中の歩み寄りでリスクオン。米ドル/円は111円台に
先週(2月18日~)後半には、米中の閣僚級通商協議が行われていました。
協議は難航しているようですが、覚書が作成されるとの報道やトランプ大統領が協議を60日間延長する可能性を示唆したこと、3月1日(金)の対中の追加関税引き上げも延期されことから、両国が歩み寄っていることがわかり、リスクオンとなって上海総合指数が急騰。
(出所:Bloomberg)
それに連れて、米ドル/円もやっと動きだし、昨日(2月25日)は111.23円まで上昇しました。
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それでも、1日の値幅としては66銭であるため、大きく動いたとは言えません。しかし、111円台に乗ってきています。
【参考記事】
●米中協議進展でリスク環境は徐々に好転。中国人民元安定化が豪ドル反発を後押し!?(2月21日、西原宏一)
●米中合意が近づき上海株が強烈に反発! 対米ドルでの豪ドル買いがいいワケは?(2月18日、西原宏一&大橋ひろこ)
■パウエル議長がハト派になりきれなければ株が調整!?
今週(2月25日~)は、26日(火)と27日(水)に、パウエルFRB(米連邦準備制度理事会)議長の議会証言があります。
先週(2月18日~)後半に、米国の要人発言が多く出ましたが、ハト派な発言が多く、パウエル議長も同じように、ハト派な発言になると考えています。
ただ、昨年(2018年)末に株価が下落してから、パウエル議長はハト派に転向し、現在のNYダウは、その下落のほとんどを戻してきています。
(出所:Bloomberg)
そのため、パウエル議長から、ハト派になりきれないような発言が出てくるようであれば、株価が調整する可能性があります。
これは、為替市場にとっては、円高のリスクとなります。
市場との対話に関して、気をつけて話すようになっていることから、基本的にはハト派になると考えていますが、その点は、リスクとして考えておかないといけないと思います。
そのほかイベントとしては、27日(水)~28日(木)に、米朝首脳会談がハノイで開催される予定となっています。
米債務上限問題もあって、政治イベントが多いですが、市場は楽観的に受け止めています。
■ユーロを積極的に買い上げていくのは難しそう
先週(2月18日~)は、ユーロ/米ドルがレンジ下限に位置していたことと、米ドル/スイスフランが調整し始めていたことから、ユーロ/米ドルは反発するのではないかと考えていました。予想どおり、ユーロ/米ドルは現在、1.1360ドル付近まで上がってきています。
【参考記事】
●消去法的な米ドル高に調整の兆しを発見! オセアニア通貨の上昇を予想する理由は?(2月19日、バカラ村)
●消去法的なドル高!? ドル/円の上値を抑える材料は? 景気後退入りでユーロに売り圧力?(2月12日、バカラ村)
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/米ドル 日足)
ただ、ユーロ/米ドルは、このまま上昇して行くとは考えておらず、ユーロ圏の景況感の悪さから、ユーロを積極的に買い上げていくのは難しいのではないかと考えています。
■英ポンドは買い戻しが出やすい状況へ
Brexit(英国のEU離脱)に関しては、メイ英首相が3月29日(金)の「離脱期限を2カ月延期することを検討」との報道もあり、合意なき離脱(※)になることを避ける動きが出てきています。
(※編集部注:「合意なき離脱」とは、2年間の交渉で合意に至らず、何の取り決めもないまま、英国がEUを離脱すること)
今後も、英議会で離脱案の採決が行われますが、否決されたとしても、合意なき離脱を避ける動きが期待できることもあって、英ポンドが売り込まれる可能性は低下しており、英ポンドの買い戻しが出やすい状況となっています。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:英ポンド/米ドル 日足)
また、英労働党が再度の国民投票を支持するとの報道もあり、これも、楽観的な材料となります。
実際に、国民投票が実施されるようであれば、EU(欧州連合)離脱が否定される可能性が高まっている状態とも考えられ、国民投票実施となれば、結果を待たずに、英ポンドは上昇する可能性が考えられます。
■ユーロ/英ポンドに妙味。週足サポートも下抜けか
ユーロ圏に関しては、景況感が悪く、景気見通しが下方修正されており、金融政策も緩和方向に向きつつあって、ユーロは軟調になりやすいと考えています。
ユーロは弱く、英ポンドは買い戻しが期待できるのであれば、ユーロ/英ポンドは下がる可能性があるのではないかと考えています。
ユーロ/英ポンドは、週足では0.8615~0.9115ポンドあたりの横ばいが続いていますが、21週移動平均線に上値を抑えられています。
(出所:Bloomberg)
日足では、0.8615~0.8840ポンド前後のレンジとなっていますが、0.8730ポンド付近がレジスタンスとなっており、チャートからも弱い状況となっています。
(出所:Bloomberg)
ユーロ/英ポンドは、週足の強いサポートが近いこともあって、下では売りたくないですが、戻り売りで考えています。0.8615ポンド前後のサポートも、下抜ける可能性はあるように思います。
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