■ドイツ発の世界景気減速懸念が高まる
今日(3月25日)、月曜日の前場で日経平均が前営業日比で、一時700円超の急落となっています(※)。
先週、3月22日(金)に発表されたドイツの製造業PMIが2012年以来の低水準となったことの影響でしょうか?
(※編集部注:この対談は、3月25日(月)の午前中に行われています)
(出所:Bloomberg)
(出所:Bloomberg)
非常に悪い数字でしたね。ドイツ発で世界景気の減速懸念が高まり、アメリカへ飛び火し、ナスダック市場を中心に米国株が下落して、本日(3月25日)の日経平均急落へという流れでしょう。
(出所:Bloomberg)
■リセッション入りの前兆!? 米国債利回りが「逆イールド」に
もうひとつ話題となっているのが、米国債利回りの「逆イールド」(短期金利が長期金利を上回る状態)。
先週(3月18日~)、米国債市場では3カ月物の利回りが10年物の利回りを上回る逆イールド現象が起きました。11年半ぶりのことだそうです。リセッション(景気後退)入りの前兆として警戒する声が高まっています。
(出所:Bloomberg)
前回、逆イールドとなったのがリーマンショック前でしたから、「今回もリーマン級のショックが起きるのでは?」との連想は働いてしまいますね。
2年物より短い3カ月物の利回りが、10年物に対して逆転してしまったことには驚きましたが、一般的にリセッション入りへの「炭鉱のカナリア」的な指標とされる逆イールドは2年物と10年物です。
3カ月物と10年物に指標性があるのだろうかと疑問に思ってしまいます。
同感ですね。違和感があります。
これが一時的なあやなのか、深刻な事態なのかを見極める必要があろうとは思いますが、もうすぐ3月期末。
年度末でいろいろな思惑が交錯する時期ですから、逆イールドが材料とされてしまった側面もあるのかもしれません。
■年度末に向けて、日経平均の2万円割れはあるのか?
今日(3月25日)の日経平均は2万1000円を割り込んでいますが、このまま下落して年度末に2万円を割った状態だと影響が大きい。
年度末の最終営業日は金曜日、29日です。そこへ向けて上昇圧力が高まるのではとの見方も増えています。
個人的にも、年度末に2万円割れはないだろうと思いますが、楽観論が強まるようだと逆に危ないかもしれません。
(出所:Bloomberg)
日経平均のチャートを見ると、200日移動平均線に頭を抑えられて反落していて、あまりいい形ではないですし、3月28日(木)には、一目均衡表の雲がねじれます。
(出所:Bloomberg)
3月28日(木)前後は要注意ですね。ただ、日経平均が一時700円超も下げたわりに、上海株は下げていない。日本株の下落が大きいのは、円高の影響もありそうですね。
(出所:Bloomberg)
米ドル/円が110円を割り込んだ背景にあるのは、英ポンド。ブレグジット(英国のEU離脱)への楽観的な見通しが強まったことから、英ポンド/円は150円を目指していましたが、ダブルトップとなり急落。その影響で米ドル/円も下げたのでしょう。
【参考記事】
●ブレグジットは長期延期の可能性高まる! 3月期末目前で米ドルの買い遅れが顕著に(3月20日、西原宏一)
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:英ポンド/円 日足)
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 日足)
■トランプとエルドアンの対立で、トルコリラ急落
ブレグジットについては、先週(3月18日~)のEU(欧州連合)サミットで4月12日(金)までの猶予が与えられました。
それまでにメイ首相の離脱協定案が可決されるか、再延期か、あるいはノーディール・ブレグジット(合意なき離脱)か、ということですね。
【参考記事】
●EU離脱案の採決中止! ますます混乱する英国で、メイ首相降ろしのクーデター勃発!?
EU離脱強行派の動き次第では、アクシデンタル(偶発的)にノーディール・ブレグジットとなる可能性もありそうです。
IMM(国際通貨先物市場)のポジションを見ると、英ポンド/米ドルの売り越しが1万枚台まで減少しています。踏み上げ相場は一巡し、上下どちらにも動ける状況ですね。
(詳しくはこちら → 経済指標/金利:シカゴIMM通貨先物ポジションの推移)
周囲を見ると英ポンドロング、もっと言えば対ユーロでの英ポンドロングが増えているようでもあり、嫌な感じがしますね。下方向のリスクに警戒しておきたいと思います。
3月22日(金)には、トルコリラも急落しました。トランプ米大統領がゴラン高原のイスラエル主権を認めると表明したのに対し、トルコのエルドアン大統領が即座に反発。対米関係の悪化から売られたようです。
【参考記事】
●トルコの経済指標悪化が加速している! 失業率はリーマンショック以来の水準に(3月20日、エミン・ユルマズ)
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:トルコリラ/円 日足)
トルコリラ/円は、日本の個人投資家のロングが大きい。その急落も、米ドル/円の110円割れの一因となったのかもしれませんね。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 日足)
全般的に、昨年(2018年)12月のような雰囲気になってきましたね。
■欧州の景気減速目立つが、やっぱりブレグジットに注目
今週(3月25日~)、米金利に影響しそうな米国指標は、3月28日(木)の米個人消費、29日(金)の米PCEコア・デフレーターでしょうか。
予定されたイベントは大きなものがなく、FRB(米連邦準備制度理事会)関係者の講演が目立つ程度です。
先週(3月18日~)、FOMC(米連邦公開市場委員会)も開催されましたが、市場の予想を超えるハト派ぶり。
ECB(欧州中央銀行)もFRBもハト派姿勢を強めていますが「では日銀は?」というと、「もう緩和余地がないのでは?」と見透かされている部分があります。
一方では、欧州の景気減速が目立ってきました。ロジックでいうとユーロ/円が下がりやすくなっています。
【参考記事】
●超ハト派でサプライズを与えたFOMC! 政策金利見通し下方修正。米ドル/円は…!?(3月22日、今井雅人)
では、今週(3月25日~)はユーロ/円の売りですか?
それもいいのですが、マーケットの注目は、引き続きブレグジットで揺れる英ポンド。
ノーディール・ブレグジットの火種が再びくすぶり始めて下値余地が拡大していることに加えて、逆イールドをきっかけに株が反落しているため、英ポンド/円を選択したいと思います。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:英ポンド/円 日足)
ただし、ヘッドラインで乱高下するため中期のスウィングポジションにはせず、細かく利益確定していくのがいいでしょう。
(構成/ミドルマン・高城泰)
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