■米ドル/円は111.82円まで上昇したけれど…
新年度が始まり、新元号発表でのご祝儀買いや、米中通商協議の合意が近いとの報道、そして、米国の逆イールドが解消していることもあって、株式市場は堅調で、米ドル/円も111.82円まで上昇しました。
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しかし、為替市場は、全体的には横ばいが継続しており、ボラティリティも低い状態が続いています。
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これは、ブレグジット(英国のEU離脱)問題が解決しないことも、理由とされています。
これが解決しないために、リスクを積極的に取りにくく、膠着した相場となっているようです。
■ブレグジット問題は山場へ! 注目点は…?
しかし、そのブレグジット問題も、今週(4月8日~)が山場となります。
10日(水)に臨時EU(欧州連合)首脳会談(サミット)があり、12日(金)は離脱期限となります。
4月12日(金)が離脱期限ですが、メイ首相は英議会をまとめることができず、6月30日(日)までの、さらなる離脱期限の延期要請を行っています。
【参考記事】
●ブレグジット再延期へ? EU首脳会議に注目! 最弱通貨競争!? NZドル/円の売りに妙味が?(4月8日、西原宏一&大橋ひろこ)
4月12日(金)の離脱期限を目前に控え、10日(水)には臨時のEU首脳会談が開催される。いまだに英議会をまとめることができていないメイ首相は、6月30日(日)までのさらなる離脱期限の延期要請を行っているが、果たして… (C)Matt Cardy/Getty Images News
EU側がこれを承認しないようなことになれば、合意なき離脱(※)となってしまいますが、ユーロ圏の景況感は悪く、ここで合意なき離脱となると、さらに景気が悪くなってしまうリスクがあります。そのため、EU側も合意なき離脱は避けたいと考えていると思いますので、延期は承認されるものと思います。
(※編集部注:「合意なき離脱」とは、2年間の交渉で合意に至らず、何の取り決めもないまま、英国がEUを離脱すること)
■もし、合意なき離脱なら米ドル/円の買い場到来!?
そして、離脱延期は短期の延期ではなく、長期の延期になる可能性が高まっています。
そうなると、合意なき離脱の可能性が低下し、英ポンドにとってはポジティブな内容となります。
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可能性としては低いですが、もし、合意なき離脱となった場合は、英ポンド/円は急落、そして、米ドル/円も連れて下がることになります。
ただ、米ドル/円は一時的な下げになるため、そこは買い場になるのではないかと考えています。
105円辺りを下値メドに、長期的には買い場になりやすいのではないかと考えています。
(出所:Bloomberg)
■ドラギ総裁はハト派な発言に終始か
同日(4月10日)には、ECB(欧州中央銀行)理事会と、FOMC(米連邦公開市場委員会)議事要旨の発表もあります。
前回(3月)のECB理事会では、2019年の成長率見通しが大幅に下方修正されました。1.7%だったところ、1.1%へ引き下げられています。
政策金利は「2019年夏ごろ」まで据え置きとされていましたが、これが3月に「2019年末」までに変更されました。
ただ、成長率見通しの大幅な引き下げに対して、政策金利の据え置きは半年、後退させただけとなっていることもあって、まだこれを後退させてもいいのではないかと思います。
ドラギ総裁の会見も、ハト派な発言に終始すると思いますので、ユーロは上値の重い状態が続くと考えています。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/米ドル 日足)
■リスクイベントあるけれど、米ドル/円は底堅そう
今週(4月8日~)の注目は、ブレグジットに絡んだイベントですが、来週、4月15日(月)には、米財務省の為替報告書が発表される予定となっており、さらに15日(月)~16日(火)は、日米通商交渉が開始されます。
そして、今月(4月)下旬からは10連休となり、これらは円高になる可能性があるイベントとなります。
【参考記事】
●ゴールデンウィークは円高になるって本当? 過去20年を徹底検証。10連休はどうなる…
ただ、5月からは新元号「令和」となることもあって、このタイミングで円高となると、日経平均も下がりやすくなるため、それを避ける動きは出てくると思います。
また、FRB(米連邦準備制度理事会)やECBなどが、緩和方向に向かっていることもあり、低金利となれば、株価は上昇しやすくなります。
それもあって、米ドル/円も底堅い展開となるのではないかと考えています。
【参考記事】
●4月の米ドル/円はリスク選好で強い展開。ユーロは市場参加者の予想が逆指標に!?(4月2日、バカラ村)
■米主要3指数は最高値近辺! 米ドル/円は110円台に買い!?
米株式市場の主要3指数は、史上最高値近辺まで上昇しています。
(出所:Bloomberg)
今年(2019年)後半や来年(2020年)の景気後退予想もあるため、高値で買ってはいけないこともあって、一時的な調整もあるとは思いますが、各国中銀がハト派になっているので、株式市場は堅調になりやすいのではないかと思います。
米ドル/円も、111円台を中心とした横ばいが、まだ継続すると考えていますが、株式市場は堅調になりやすいため、110円台では買いが出てきやすいのではないかと考えています。
【参考記事】
●4月の米ドル/円はリスク選好で強い展開。ユーロは市場参加者の予想が逆指標に!?(4月2日、バカラ村)
●米株高・米ドル高が継続する公算大! 米ドル/円の次のターゲットは113.70円(4月5日、陳満咲杜)
(出所:Bloomberg)
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