■FRBの年内2回利下げの可能性高まる
一方、FRB(米連邦準備制度理事会)の利下げ確率は急速に高まっています。
本稿執筆時点での米金利先物市場では、年2回の利下げを織り込んでいます。
要因は、以下のパウエルFRB議長のコメント。
パウエル議長は、必要なら利下げの可能性もあると示唆。
米国と主要貿易相手国との対立の影響を「注意深く観察する」とし、これまでと同様に、景気拡大を維持するため、われわれは適切な行動を取るとコメントしています。
これを受けて、米金利は急速に低下。
加えて、6月5日(火)のNY市場では、米金融当局者の利下げに関するコメントが相次いでいます。
シカゴ連銀のエバンス総裁のコメント
「低インフレの状況に、神経質になっている」
「低インフレだけでも、若干、緩和を拡大する根拠になり得る」
ブレイナードFRB理事のコメント
「貿易を巡る不透明感が下振れリスクであり、当局には景気拡大を維持するため、政策を調整する用意がある」
どちらも、パウエル議長のメッセージを強調するコメントとなり、利下げの可能性は拡大。
米金利先物市場においては、9月17日(火)~18日(水)に開催されるFOMC(米連邦公開市場委員会)の利下げ織り込み度は94.4%まで高まっています。
米10年債利回りは一時、2.0590%まで急低下。
(出所:Bloomberg)
米金利の低下によって、米国株は持ち直していますが、米金利低下は「米ドル安・円高」要因でもあるため、米ドル/円の軟調な展開は変わらず。
今週(6月3日~)の米ドル/円は続落しており、一時107.82円まで急落しています。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 4時間足)
■米ドル/円は107.75円ブレイクすれば、104円台へ
ここまでのマーケットチェックでは、米ドル/円のトレンドは変わらず、「米ドル安・円高」を継続。
ここで、米ドル/円の節目をチェックします。以下は、米ドル/円の日足チャートです。
1月3日(木)のフラッシュ・クラッシュの安値と4月24日(水)高値でのフィボナッチ計算すると、50%=108.64円、61.8%=107.75円となります。
(出所:Bloomberg)
今週(6月3日~)は、この61.8%がサポートとして機能し、何度も108円台前半に押し戻されています。
ただ、先ほど紹介したように、FRBの利下げの可能性が高まっている状況では、米ドル/円の戻りは限定的。
サポートである、61.8%=107.75円を割り込めば、次の下値メドは104円台になります。
(出所:Bloomberg)
米国の、年内2回の利下げの公算が高まる中、米ドル/円の上値は限定的。
104円台に向けて、下落過程にある米ドル/円の行方に注目です。
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