■米中貿易協議はさらに混迷深まる
みなさん、こんにちは。
今週(5月27日~)に入って米中貿易協議の混迷は、さらに深まっています。
【参考記事】
●加熱する米中貿易戦争でリスクオフ継続! 「株安・円高」相場で米ドル/円は105円へ(5月23日、西原宏一)
まず、来日していた米トランプ大統領は、強硬な姿勢を崩しておらず、以下のようにコメント。
「米国は、貿易問題で中国と合意する準備は、まだない」
「中国は恐らく、再交渉を目指さず、貿易協定を結んでおけばよかったと考えていると思う」
さらに、「中国製品に対する米国の関税を、極めて大幅に引き上げることは、非常に簡単だ。そして、それを負担するのは中国だ」と改めて主張しています。
これに対して、中国も反論。
一部報道によれば、中国は「レアアースの対米輸出を制限することを真剣に検討している」とし、マーケットを神経質にしています。
一方、英国では、欧州議会選挙で、ナイジェル・ファラージ氏が率いる「ブレグジット党」が圧勝。
英国2大政党は、過去、経験したことのない深刻な敗北を喫する結果に。
「ブレグジット党」は「合意なき離脱」を望んでいることもあり、英ポンドは反落しました。

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:英ポンド/米ドル 4時間足)
■米国債のイールドカーブ逆転でリセッションを警告
米中貿易戦争のみならず、英国も不安定な状況に陥っている中、リセッションを警戒するサインが話題に。
まず、資金は安全資産である米国債に流れ、米10年国債利回りは一時、2.21%を割り込む展開となりました。
現在の米国のFF金利(※)は、2.25-2.50%。FF金利先物の動向によると、FOMC(米連邦公開市場委員会)が来年(2020年)末までに3回の利下げを行う可能性をマーケットは完全に織り込んでいます。
(※編集部注:「FF金利」とは、フェデラルファンド金利のことで、FFレートとも呼ばれる。米国の政策金利)

(出所:Bloomberg)
さらには、米国債のイールドカーブの逆転。
米中通商協議に関する懸念の高まりを背景に、3カ月物と10年債利回りの金利差が逆転。その利回り差は13bpと2007年以来の大きさに拡大しました。

(出所:Bloomberg)
これは、歴史的にリセッションが差し迫っていることを示唆する水準と言われています。
■株が急落すれば、米ドル/円は100円目指す展開も
米国債のイールドカーブが逆転する中、今週(5月27日~)の米国株は続落(先週のコラムを参照。米国株、日本株ともトップアウト)。
【参考記事】
●加熱する米中貿易戦争でリスクオフ継続! 「株安・円高」相場で米ドル/円は105円へ(5月23日、西原宏一)
NYダウ、S&P500とも大幅続落。

(出所:Bloomberg)

(出所:Bloomberg)
米国株の下落を受け、本稿執筆時点での日経平均も2万1000円を割り込み、2万865円で推移。

(出所:Bloomberg)
一連の株安が「米ドル高・円高」を誘引し、クロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)の下落が米ドル/円の上値を重くする展開に。
一方、米10年債利回りは、一時2.21%を割り込む展開で、米ドル/円を押し下げる要因となっています。
米ドル/円は、依然として109円台前半にある本邦機関投資家の米ドル買い注文を吸収しきれていませんが、米国債のイールドカーブの逆転がリセッションを警告していることもあり、円高トレンドは継続。
引き続き、米ドル/円は105円への下落過程にありますが、株の急落を伴えば米ドル/円が100円に向かう可能性も浮上。

(出所:Bloomberg)
米国債のイールドカーブの逆転がリセッションを警告する中、下値余地が大幅に拡大している米ドル/円の行方に注目です。
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