■NYダウはこれから高値更新を果たすだろう
本コラムで何回も指摘したように、米国株はブル(上昇)構造を維持、また歴史的な強いラリーにあるから、値幅はともかく、反落があれば基本的には途中の調整とみるべきだ。
為替市場に関して、米国株のブルトレンドが維持されるかどうかは重要だ。なぜなら、リスクオン・オフの有無は、基本は米国株次第なので、米国株がブルトレンドを維持している限り、本格的なリスクオフはないから、円の上昇余地も限られるはず、という認識ができる。
米株三大指数のうち、NYダウのみ昨年(2018年)の高値を更新していないから、それを根拠に米国株の頭打ち、またベアトレンドへの転換を予想する見方もあるが、筆者はまったく逆の見方を持つ。
つまり、米株三大指数のうち、NYダウだけが昨年(2018年)の高値を更新していないから、これから追随して高値更新を果たし、ブルトレンドを一層伸ばしていくはずだ。
(出所:Bloomberg)
NYダウの週足をみればわかるように、今週(6月3日~)の大幅反発があって、いったん強気「リバーサル」のサインを点灯、ここから高値を再打診する公算が高まっている。
(出所:TradingView)
■ヘッド&ショルダーズ・ボトムを形成すればNYダウは一層上昇
今晩(6月7日)米雇用統計の発表があるから、市況の波乱が想定されるものの、NYダウが大きく下げない限り、今週(6月3日~)のサインを維持できる見通しなので、NYダウのブル進行を有力視。
米雇用統計の中身は、基本的には事前予想不可能なので、数字の好悪で米国株の堅調を予想しているわけではない。
ヒントはFRBの利下げ示唆にある。仮に数字がよければ、株は素直にそれに好感して続伸しやすいか、逆に数字が悪ければ、「さすがFRBだ」といった感触で利下げ観測の一段高まりにつながり、結果的に米国株の下値を制限する可能性は大きいかと思う。
前述のロジックが正しければ、NYダウの高値トライ自体がまた重要なサインを点灯する。それはほかならぬ、昨年(2018年)年末安値を「ヘッド」と見なす「ヘッド&ショルダーズ・ボトム(※)」、すなわち「逆三尊」というフォーメーションの形成可能性にある。
(※編集部注:「ヘッド&ショルダーズ・ボトム」とはチャートのパターンの1つで、大底を示す典型的な形とされている。「三尊底」とも呼ばれる。また、「三尊底」の逆で、天井を示す典型的な形が「ヘッド&ショルダーズ」(三尊型))
(出所:TradingView)
仮に、そのフォーメーションの形成があれば、NYダウは反落どころか、一層大きく上昇するから、米利下げは株高を促進する最大の材料として語られるだろう。
そして、株高が続く限り、米景気拡大期が継続し、景気後退云々は杞憂に終わる可能性も大きい。
■米ドル/円は2019年年初来安値を下回らないはず
米国株の高い安いと米ドル全体の高い安いに大した相関性はないので、米ドル/円のみ検証しておきたい。
本コラムで繰り返し指摘してきたように、米ドル/円は日米金利差より米国株次第なので、米国株が反騰、またブルトレンドを維持できる限り、米ドル/円の下値余地は限定され、また2019年年初来安値を下回らないはずだ。
主要クロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)の多くも同じ理屈となり、また目先ドルインデックスがいったん頭打ちとなっているため、外貨高を通じて円高の圧力を緩和していくから、やはり2019年年初来安値を更新しない公算が高い。
悲観的な見通しの多くは米中対立をリスク要素として挙げるが、同材料は歴史的に大きいテーマ性(文明の対決)があるだけに、マーケットは常にそれに反応するとは限らない。
当面、米中合意なしとみるマーケットは、同材料をいったん保留しながら、米利下げがもたらすメリットのほうに反応しやすく、米ドル/円の底打ちもすでに達成されたか、もしくは近々果たされるだろう。市況はいかに。
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