■米中が互いに歩み寄り。最悪の事態は回避
注目されていた米中首脳会談が、6月29日(土)に行われました。
結果は、
● 引き続き、協議を続ける
● その間、米国は3000億ドルあまりに及ぶ中国からの輸入品目に対する追加関税を見送る
● 米国は、中国通信機器大手ファーウェイへの輸出禁止を一部、解除する
というものでした。
とりあえず、最悪の事態は避けられたということです。
【参考記事】
●米ドル/円は100円割れ? それとも110円へ!? カギ握る米中首脳会談から目が離せない!(6月27日、今井雅人)
●米中休戦と米朝会談はサプライズだったが、リスクオンは長くない。米ドル/円は戻り売り(7月1日、西原宏一&大橋ひろこ)

注目された米中首脳会談(6/29)では、協議継続、関税第4弾の先送り、ファーウェイに対する禁輸措置の一部解除と、最悪の事態は避けられた格好に。写真は2019年6月に開催された大阪G20時のもの (C)Visual China Group/Getty Images
米国でも、追加関税やファーウェイに対する措置については、産業界から強い反発があったため、トランプ米大統領としても、強硬一辺倒というわけには、いかなかったのだと思います。
加えて、中国側も一段の歩み寄りを見せているのかもしれません。
■米中交渉進展でも円安は限定的!?
ただ、これは、いったん危機が避けられたというだけで、根本的な解決ではありません。これから、本格的に協議が再開されるので、今後の状況をしっかり見守りたいと思います。
一応、頭の整理をしておくと、決裂すれば、「株安からの円高」という展開になる可能性が高いということです。

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:世界の通貨VS円 日足)
逆の場合は、「株高からの円安」という流れになるということだと思いますが、私は、それ以外の要因が、円高になりやすい状況になっていると思うので、円安になった場合でも、その幅は限定的ではないかと考えています。
■金利の低下余地がない日本。円高圧力へ!?
そう思う理由は、各国の長期金利(10年物国債利回り)の動向にあります。
今年(2019年)に入ってから、先進国を中心に、各国の長期金利が低下してきています。ですから、米国の長期金利が低下してきても、一方的に米ドル安が進行していかないわけです。

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドルVS世界の通貨 週足)
ただ、金利の低下幅を見ると、国によって異なってきます。米国、英国、ドイツ、オーストラリアなどの長期金利の低下幅に比べて、日本の長期金利の低下幅が、際立って小さいことがわかります。

※BloombergのデータをもとにザイFX!が作成
それは、元々、日本の長期金利は、他の国の長期金利よりも水準が低く、下方向が限られているということ。加えて、日銀が現在、長期金利をゼロ%から上下0.2%程度の水準の間で推移させる方針をとっていることに要因があります。
現在の日本の長期金利は、マイナス0.15%程度なので、日銀の運営方針から考えると、もうこれ以上、長期金利は低下しないということになります。
この方針を日銀が変更しない限り、金利面からはどちらかといえば、円高圧力がかかりやすいということを、頭に入れておいてほしいです。
■日米貿易交渉や米欧の金融政策に注目!
また、これから、日米貿易交渉が始まります。これも、交渉が難航すれば、円高圧力がかかってくる可能性があるので、警戒が必要でしょう。
そのほかの注目点としては、7月25日(木)のECB(欧州中央銀行)定例理事会や、7月30日(火)~31日(水)のFOMC(米連邦公開市場委員会)があります。両方とも、早期の金融緩和観測が広がっているので、結果に注目したいです。
【参考記事】
●市場の米利下げ織り込みは過剰すぎる! 当面は米ドル安・円高の揺り戻し相場か(6月6日、今井雅人)

7月25日(木)にはECB定例理事会が開催される。早期の金融緩和観測が高まっている中、2019年10月に任期満了を迎えるドラギ総裁が、金融緩和に着手するのか注目される (C)Bloomberg/Getty Images

市場では、7月30日(火)~31日(水)に開催されるFOMCで、FF(フェデラル・ファンド)レートが最低でも0.25%引き下げられるという見通しでほぼ固まっている。写真はFRB(米連邦準備制度理事会)のパウエル議長 (C)Bloomberg/Getty Images News
■基本はレンジトレード。参院選の影響は…?
トレードとしては、私は基本、レンジと決めてレンジトレードを続けています。
米ドル/円では106.50~108.50円、ユーロ/米ドルでは1.1200~1.1400ドル程度のレンジを想定して、上がったら売る、下がったら買うの逆張りを続けています。

(出所:TradingView)

(出所:TradingView)
なお、国内では本日(7月4日)より、参議院選挙が始まりました。かつて、選挙で与党が大勝すると株高・円安が進んだこともあるので、今回も選挙の影響は大きいという意見もあるようです。
しかし、それは安倍政権が誕生した初期の頃の現象であり、最近は、金融市場に対して国政選挙の影響はほとんどありません。今回も、それほど気にしなくてもよいと思っています。
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