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西原宏一・大橋ひろこの「FX&コモディティ(商品) 今週の作戦会議」

トランプ大統領が米ドル安誘導に本腰!?
リスクオン相場でも米ドル/円下落のワケは?

2019年07月15日(月)13:34公開 (2019年07月15日(月)13:34更新)
西原宏一&大橋ひろこ

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■先週の米ドル/円下落がサプライズだった理由

NYダウが史上最高値を更新しましたね。西原さんも注目していた2万7000ドルへしっかり乗せています

NYダウ 日足
NYダウ 日足チャート

(出所:Bloomberg)

FRB(米連邦準備制度理事会)の利下げを織り込んだ動きなのでしょう。

【参考記事】
7月FOMCでの0.50%利下げ予測が再燃! ドル/円は目先104円台、中期的に100円へ(7月11日、西原宏一)

債券市場を見ると、アメリカの10年債利回りは2%割れから反転上昇してきましたし、世界的にも長期債利回りが軒並み上昇し、VIX指数も低位安定。「債券から株へ」という典型的なリスクオンの形に見えますね。

米長期金利(米10年国債利回り) 日足
米長期金利(米10年国債利回り) 日足チャート

(出所;Bloomberg)

VIX指数 週足
VIX指数 週足チャート

(出所:Bloomberg)

リスクオンなのでしょうが、注目したいのが米ドル/円です。先週(7月8日~)はNYダウが史上最高値を更新するリスクオン相場だったのに、米ドル/円は下落しました。サプライズだったのではないでしょうか。

米ドル/円 4時間足
米ドル/円 4時間足チャート

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 4時間足

■トランプ大統領は米ドル安誘導へ本腰か?

何が米ドル/円の上昇を阻んだのでしょうか?

トランプ米大統領の姿勢でしょう。米ドル安誘導を本気で考え始めているのではないか、という報道が目立ってきたからだと考えています。

米ドル安誘導といっても、現実的な手段として考えられるのは利下げくらい。放っておけば米ドル高となってしまうのを発言によって抑え込んでいるだけではないでしょうか。

7月初旬、米ドル売りの為替介入を示唆する記事がブルームバーグに出ました。多くの人は非現実的だと受け止めましたが、先週(7月8日~)はゴールドマン・サックスのストラテジストも介入の可能性を言い始めています


介入が現実的な手段だとは思いませんが、これだけしつこく介入の記事が載るということは、それだけ本気で米ドル安にしたいのでしょう。

【参考記事】
7月FOMCでの0.50%利下げ予測が再燃! ドル/円は目先104円台、中期的に100円へ(7月11日、西原宏一)

■7月FOMCでの「50bp利下げ」の織り込みが復活

当面は利下げが米ドル安誘導の手段となるのでしょうが、FOMC(米連邦公開市場委員会)は7月31日(水)。まだ半月ほど先ですね。

50bp(ベーシスポイント、1bp=0.01%)利下げの織り込みは一時、40%近くまで上がっていましたが、7月5日(金)発表の米雇用統計が強い数字となりゼロ%まで下落しました。


ところが、今はまた20%台まで戻しています。7月31日(水)まではまだ時間があります。50bpの織り込みが進めば米ドル/円の下落を促すのでしょう。

パウエルFRB議長は先週(7月8日~)、11日(木)の議会証言で「2%の物価上昇率を大きく下回りたくない。後手に回らないようにするのが、日本から得た教訓だ」と述べています。


インフレ率は7カ月連続で目標の2%を下回っていますが、史上最高値更新の株価にあっても利下げを示唆する背景にはデフレへの警戒があるようです。


今後はインフレ指標がマーケットの注目を強めると思います。今週(7月15日~)の注目は16日(火)発表の米小売売上高でしょうか。

今回の利下げが25bpだとしても、トランプさんが本気で米ドルを落とそうとするのなら連続利下げを促すことはできる。


10年債利回りが1.5%まで下がるようなことがあれば、米ドル安も加速するのでしょう

米長期金利(10年物国債利回り) 日足
米長期金利(10年物国債利回り) 日足チャート

(出所:Bloomberg)


■米国はトルコへの経済制裁へ動くか

米ドル安が進むのなら、高値圏での揉み合いが続いている金(ゴールド)はもう一段上昇する可能性が高まります


また先週(7月8日~)にはアメリカが反対していたロシア製ミサイルがトルコへ搬入されました。アメリカからの経済制裁がありそうですね。

【参考記事】
トルコ中銀総裁解任の本当の理由とは? S-400問題で米国の制裁はほぼ確実!(7月10日、エミン・ユルマズ)

NY金先物 日足
NY金先物 日足チャート

(出所:Bloomberg)

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トルコといいイランといい中東周辺がきな臭くなっていますね。

■英ポンドは、ブレグジット関連の報道に乱高下するか

イギリスでは来週(7月22日~)に首相が決まります。ボリス・ジョンソンで決まりという声が大多数ですが、ブレグジット関連のヘッドラインにより英ポンドが乱高下する場面が増えるかもしれませんね。

英ポンド/米ドル 週足
英ポンド/米ドル 週足チャート

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:英ポンド/米ドル 週足

基本的に米ドル全面安を見込んでいるのですが、対英ポンドだけはわかりませんね。


まず、リスクオンの状況でも値を下げている米ドル/円、そして他国に先駆けて利下げに踏み切ったものの、6月には緩和競争からの離脱をほのめかした豪ドル/米ドルで米ドルを売っていきたいと思います。

豪ドル/米ドル 日足
豪ドル/米ドル 日足

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:豪ドル/米ドル 日足

米ドル/円 4時間足
米ドル/円 日足チャート

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 4時間足

(構成/ミドルマン・高城泰)

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