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西原宏一の「ヘッジファンドの思惑」

7月FOMCでの0.50%利下げ予測が再燃!
ドル/円は目先104円台、中期的に100円へ

2019年07月11日(木)15:53公開 (2019年07月11日(木)15:53更新)
西原宏一

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■パウエル議長は7月FOMCでの利下げを示唆

 みなさん、こんにちは。

 今週(7月8日~)、マーケットの注目を集めていたFRB(米連邦準備制度理事会)のパウエル議長の議会証言。

 パウエル議長はまず、「労働市場は健全な一方、中国との貿易戦争などのリスクが存在する」と指摘。これは、今月(7月)のFOMC(米連邦公開市場委員会)で利下げに踏み切る可能性を示唆したことになります。

 加えて、「6月の米雇用統計の伸びが市場予想を上回ったことが金融当局の見方を変えたか?」との質門には「答えはノーだ!」と明確に返答。

7月FOMCで利下げに踏み切る可能性を示唆したパウエルFRB議長。6月の雇用統計は市場予想を上回ったが、これが金融当局の見方を変えたかとの質問に「ノーだ!」と明確に回答している (C)Bloomberg/Getty Images News

7月FOMCで利下げに踏み切る可能性を示唆したパウエルFRB議長。6月の雇用統計は市場予想を上回ったが、これが金融当局の見方を変えたかとの質問に「ノー!」と回答 (C)Bloomberg/Getty Images News

 結果、今月(7月)のFOMCでの利下げ織り込み度が再び上昇。

 ブルームバーグによれば、0.25%の利下げの織り込み度は100%で変わらず。

 特筆すべきは、0.50%の利下げ織り込み度が24.5%まで急上昇していること(0.50%の利下げ織り込み度は、7月5日(金)の米雇用統計の結果を受けて、一時、ゼロ%まで急低下していました)。

 これは、米国株が史上最高値圏内で推移している局面で、0.50%もの利下げを予測しているマーケット参加者が増えていることを意味します。

■モルガン・スタンレーは、7月FOMCでの0.50%利下げを予測

 そして、パウエル議長の議会証言を受けて、即座にモルガンスタンレーのエコノミストが弱気なコメントを発表。

米当局は7月に0.5ポイント利下げへ、モルガン・スタンレーが予想

モルガン・スタンレーは米連邦公開市場委員会(FOMC)が7月に0.5ポイントの利下げをすると予想している。

出所:Bloomberg

 米金利先物市場では0.50%の利下げ予測が高まっていますが、今回はモルガン・スタンレーも0.50%の利下げを予測したこともあり、米金利は低下。

米長期金利(10年物国債利回り) 1時間足
米長期金利(10年物国債利回り) 1時間足チャート

(出所:Bloomberg)

 結果、米ドルは下落。

 本稿執筆時点で、米ドル/円は一時、107.86円へ、ユーロ/米ドルも反発していますが、ECB(欧州中央銀行)の緩和期待が根強くあり、上昇は緩慢。

米ドル/円 4時間足
米ドル/円 4時間足チャート

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 4時間足

 結果、ユーロ/円が121円台後半に下落しました。

ユーロ/円 4時間足
ユーロ/円 4時間足

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/円 4時間足

■トランプ大統領が米ドル押し下げの方策検討を指示?

 米ドルに関しては、一部のマーケットで話題になったのが以下のブルームバーグの記事。

トランプ氏、ドル押し下げの方策検討指示と関係者-再選への影響懸念

クドロー国家経済会議(NEC)委員長とムニューシン米財務長官は、ドル押し下げを意図するいかなる介入にも反対だと関係者らは語った。

出所:Bloomberg

 貿易赤字の縮小を狙っているトランプ政権にとって、米ドル安が有利であることは明白なので、とくに目新しいことが報道されているわけでありませんが、介入という言葉が使われていることが刺激的

 米ドル安に誘導したいということは明白ですが、では、「どうやって米ドル安に誘導するのか?」が問題になります。

 トランプ大統領が毎日、米ドル安が望ましいとツイートしても、米ドルが落ちるわけではありません。

 前述の記事の中にもあるように、「介入」という手段を使って米ドル安にするわけにはいきません。

 結果、米金利を低めに誘導することで米ドル安に誘導することになります。つまり、FRBが連続利下げをすれば米ドル安に誘導することができます

米ドル/円 週足
米ドル/円 週足チャート

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 週足

 それが、トランプ大統領が散々利下げをせよとツイートしている意味にもなります。

 トランプ大統領の思惑がうまくいっているのか(?)、現在のFRBは当初の利上げどころか、いつの間にか利下げへと舵を切っています

【参考記事】
G20サミット後のリスクオン相場は一時的! ECB総裁にラガルド氏指名でユーロ/円は?(7月4日、西原宏一)

■米ドル/円は下落余地が拡大中! 目先の下値メドは104円台

 米金利先物市場によれば、FRBは今年(2019年)、3回の利下げを織り込み始めています。モルガン・スタンレーの予測によれば、今月(7月)、一気に0.50%の利下げが決定されるかもしれません

 こうした米金利先物市場の動きを為替はまだ十分に織り込んでおらず、米ドル/円の下値余地は拡大中。

 米ドル/円の下値メドは短期では104円台

米ドル/円 週足
米ドル/円 週足

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 週足

 米ドル/円の下落により、日本株の下落を誘発すれば、中期では100円への下落の過程に。パウエル議長の議会証言により、下値余地が拡大している米ドル/円の動向に注目です。


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