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米国が中国を為替操作国に認定! あの為替
ディーラーの予見がまたまた当たってビビる

2019年08月06日(火)18:55公開 (2019年08月06日(火)18:55更新)
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■米財務省が中国を為替操作国に認定!

 トランプ米大統領が2019年8月2日(金)、対中関税第4弾発動を突如表明したことで再燃した米中貿易戦争。

 トランプ砲が炸裂したその勢いは8月6日(火)、さらに増すことになりました。米財務省が中国を「為替操作国」に認定したのです。

ムニューシン米財務長官写真

米財務省は8月6日(火)、中国を「為替操作国」に認定した。米財務省が公表した声明では「ムニューシン米財務長官がトランプ米大統領の下で決定した」と表現されている (C)Bloomberg/Getty Images

 「為替操作国」についてザックリ確認しておくと、これは貿易の競争力を高めるために為替相場を操作していると米財務省が認定した国のこと。

 そんな「為替操作国」は通常、米財務省が年2回公表する為替報告書のなかで認定されます。その為替報告書は直近では5月28日(火)に公表されましたが、この時に中国が「為替操作国」に認定されることはありませんでした。

 けれど、年2回のタイミングではない8月6日(火)に米財務省は急遽、中国を「為替操作国」に認定したのです。

■米ドル/中国人民元が7.0元の防衛ラインを突破した

 米財務省が「為替操作国」を認定するのは1994年に中国を認定して以来、25年ぶりとなるのですが、そんな25年ぶりの認定を急遽、決定したのはなぜなのでしょうか。

 その理由について、米財務省は以下のように説明しています

・中国には割安な通貨を促進してきた長い歴史がある
・ここ数日、中国は通貨を切り下げるために具体的な措置を講じた
・中国当局は中国人民元の為替レートを十分に管理していることを認めている
・中国はG20
(20カ国・地域財務大臣・中央銀行総裁会議)で約束した、「競争的な通貨切り下げの回避」に違反している

 米財務省が中国の「為替操作国」認定を急いだワケは「ここ数日、中国は通貨を切り下げるために具体的な措置を講じた」という部分にありそうです。

 ここで、足もとの米ドル/中国人民元の動きを確認してみましょう。

米ドル/中国人民元(USD/CNY) 日足
米ドル/中国人民元 日足チャート

(出所:Bloomberg)

 上図は米ドル/中国人民元の日足チャートですが、トランプ米大統領が対中関税第4弾発動を表明した8月2日(金)は6.95元前後まで中国人民元安が進行。そして、8月5日(月)は一気に7.0元を突破し、7.05元前後まで中国人民元安が加速したわけです。

 続いて、米ドル/中国人民元の月足チャートを見てみましょう。

米ドル/中国人民元(USD/CNY) 月足
米ドル/中国人民元 月足チャート

(出所:Bloomberg)

 上のチャートを見ると、米ドル/中国人民元はこれまで、中国人民元安が進んで1ドル=7.0元に近づくと何度も跳ね返されてきたことがわかります。

 このことから1ドル=7.0元は、中国当局が公式発表しているわけではないけれど、中国当局が防衛したいラインであると市場では認識されてきました

 その1ドル=7.0元の防衛ラインが8月5日(月)に突破されたことで、トランプ米大統領は「中国は中国人民元をほぼ過去最安値まで下落させた。為替操作だ」とツイートしています。

 米ドル/中国人民元は過去最低の中国人民元安水準まで到達したわけではなく、ここ11年ほどの最低水準に到達しただけなので、トランプ米大統領のツイートは正確さを欠いているのですが、中国人民元安について怒っている様子は伝わってきます。

 そして、米財務省も「ここ数日、中国は通貨を切り下げるために具体的な措置を講じた」として、中国の「為替操作国」認定に踏み切った、ということになるわけです。

■トランプ砲後の中国人民元の動きを見事に当てた人物は?

 さて、ザイFX!では、トランプ砲より前に中国人民元に関する予想を公開し、その後のトランプ砲を受けた中国人民元の動きを見事に当てた人物として、トレイダーズ証券の市場部長で為替ディーラーの井口喜雄さんを以下の記事でご紹介しました。

【参考記事】
深夜にトランプ砲炸裂! 直前に公開した為替ディーラーの予見が当たり過ぎて神ってた

 井口喜雄さんの中国人民元に関する予想というのは、「みんなまだ知らない中国人民元の謎に迫る! 第1回 米中貿易戦争激化で大儲けする方法」という記事で見ることができますが、この記事の冒頭部分はなんと、中国の「為替操作国」認定に絡んだ話題から始まっているのです。

【参考記事】
みんなまだ知らない中国人民元の謎に迫る! 第1回 米中貿易戦争激化で大儲けする方法

「みんなまだ知らない中国人民元の謎に迫る!第1回 米中貿易戦争激化で大儲けする方法」キャプチャ画像

(出所:みんなまだ知らない中国人民元の謎に迫る! 第1回 米中貿易戦争激化で大儲けする方法

 上図のとおり、井口喜雄さんは「中国は為替操作をしています(笑)」などと話していますね。

 そして、井口喜雄さんは米ドル/中国人民元が1ドル=7.0元の防衛ラインを突破することを予見し、その根拠もしっかりと示していたのでした。

「みんなまだ知らない中国人民元の謎に迫る!第1回 米中貿易戦争激化で大儲けする方法」キャプチャ画像

(出所:みんなまだ知らない中国人民元の謎に迫る!第1回 米中貿易戦争激化で大儲けする方法

■中国が「為替操作国」に認定されることも予見していた!?

 もはや、米中貿易戦争は井口喜雄さんの手のひらで転がされているのではないかとさえ感じてしまいますが、井口喜雄さんのスゴさはこれだけにとどまらなかったのです。

ザイFX!では8月3日(土)に、「みんなまだ知らない中国人民元の謎に迫る! 第2回 スワップは高い? レートは5割安い!?」という記事を公開しました。

【参考記事】
みんなまだ知らない中国人民元の謎に迫る! 第2回 スワップは高い? レートは5割安い!?

 この記事は「みんなまだ知らない中国人民元の謎に迫る! 第1回 米中貿易戦争激化で大儲けする方法」の続編にあたり、米財務省が中国を「為替操作国」に認定する前に公開されたものです。

 この記事のなかで、井口喜雄さんは「米国をはじめとして、世界中から中国はプレッシャーをかけられる局面がやってくるのではないか」と話しており、「中国が為替操作国に認定される」という表現まではしていませんが、そのような方向性の見解を披露していたのでした。

「みんなまだ知らない中国人民元の謎に迫る! 第2回 スワップは高い? レートは5割安い!?」キャプチャ画像


(出所:みんなまだ知らない中国人民元の謎に迫る! 第2回 スワップは高い? レートは5割安い!?

■中国共産党の一党支配終われば、すごい中国人民元高に!?

 そんな井口喜雄さんは最後に、究極的な可能性として中国共産党の一党支配が終わる場合、中国人民元がどう動くのか、以下のような予想をしています。

「みんなまだ知らない中国人民元の謎に迫る! 第2回 スワップは高い? レートは5割安い!?」キャプチャ画像

(出所:みんなまだ知らない中国人民元の謎に迫る! 第2回 スワップは高い? レートは5割安い!?

 ここ数日でトランプ砲が炸裂することや、トランプ砲を受けた中国人民元の動き、中国が「為替操作国」に認定されることをズバリ予見した井口喜雄さんですから、中国共産党の一党支配が終われば、本当に中国人民元高が進むことになるのかもしれませんね。

(ザイFX!編集部・藤本康文)

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