■米中貿易戦争が再び過熱
みなさん、こんにちは。
先週(8月19日~)、23日(金)、多くのマーケット参加者は、ジャクソンホールでのFRB(米連邦準備制度理事会)、パウエル議長の講演に注目していました。
ところが、米中貿易戦争の過熱がマーケットを大きく動かし、パウエルFRB議長の講演がマーケットに与える影響は、ほぼゼロという結果に。
【参考記事】
●1月のフラッシュクラッシュとの違いは何? ドル/円は窓を埋めたが中期的には101円へ!(8月26日、西原宏一&大橋ひろこ)
米中貿易戦争の加熱を引き起こしたのが、中国。
パウエルFRB議長の講演前というタイミングで、中国が米国への報復として追加関税を発表。
追加関税は、9月1日(日)と12月15日(日)の2回発動。
9月1日(日)は、米国産原油に10%課税。12月15日(日)には、米国の自動車や自動車部品への25%課税を再開するといった内容でした。
これに対し、間髪を入れず、トランプ大統領は中国の関税措置に対応するとコメントしました。
その発表が、なかなか強烈。
「対中関税率、残り3000億ドルに対する10%関税を15%へ、10月1日(火)から、25%の関税を30%に引上げへ」

中国が米国への報復として追加関税を発表すると、間髪入れずに、トランプ大統領は対中国への関税率を引き上げるというように、米中貿易戦争は再び過熱 (C) Chip Somodevilla/Getty Images News
この発表を受けて、週明け(8月26日)の日経平均は暴落、米ドル/円は一時、年初来安値を更新して、104.46円に急落しています。

(出所:Bloomberg)

(出所:Bloomberg)
ところが、この流れが一変します。
トランプ大統領が、「中国から2回の電話を受けた。中国は取引を望んでいる」と発言したとの報道で、米ドル/円は急反発(高値は105.99円)。
ただ、中国は電話協議を否定(米ドル/円は105円台前半まで急落)。
しかし、トランプ大統領が、「米国が中国と最高位レベルで電話会談した」と発言したことで、米ドル/円は105.50円~106.50円で方向感なく乱高下しました。

(出所:Bloomberg)
■米国と中国当局のコメントを整理すると…
NYダウも、2万6000ドルを挟んで激しく上下するマーケットが続いています。
ここで、米国と中国当局のコメントを整理してみます。
繰り返しになりますが、トランプ大統領は8月26日(月)、中国側から「米国の貿易担当トップ」に「交渉の席に戻ろう」と電話で伝えてきたと主張。合意成立に中国が必死になっていると語ったとの報道がありました。
しかし、これに関しては「中国政府内で何を指しているか理解した者はいなかった」とブルームバーグは報じています。
それどころか、中国側が圧力に屈しているかのようにトランプ氏が述べたことで、中国はトランプ氏に抱いていた最悪の不安を確認したとしています。
つまり、合意を成立させるには、トランプ氏は信用できないとの懸念を持っていると結論づけています。
結果、トランプ大統領なのか、中国側なのかはわかりませんが、両者の意見はかみ合わないまま。
シンプルにいえば、どちらかがウソをいっているという「ライアーゲーム」が繰り広げられていることになります。
■米国株も上値は重いまま
米中貿易協議が不透明な環境下では、米国株の上値は重いまま。
以前のコラムで何度かご紹介させていただいているように、今回のNYダウもブルトラップとなって、2万7000ドル台でトップアウトして反落。
【参考記事】
●米国債に逆イールド発生で米景気後退か? NYダウは800ドル安! 米ドル/円は…!?(8月15日、西原宏一)

(出所:Bloomberg)
米国株が反発できず、基本的なリスクオフ環境(株安・円高)は続くと想定しています。
今週(8月26日~)の米ドル/円は、フラッシュ・クラッシュの安値を下抜けて、一時104.46円まで急落。

(出所:Bloomberg)
その後、前述のトランプ大統領のコメントもあり、反発。
現状、105.00円がサポートされています。
そして、日経平均は2万円に執拗な買いがマーケットに投入され、下げ渋り。

(出所:Bloomberg)
■米ドル/円は中期的に101円台へ向けて続落
マーケット参加者の間では、米ドル/円の105.00円と日経平均の2万円は本邦機関投資家(GPIF?)が執拗にサポートしているというのがコンセンサスとなりつつあります。
ただ、彼らは米ドル/円が反発する局面では、ヘッジで売ってくるというのもマーケット参加者に間では語られており、結局、米ドル/円の上値は限定的。
米ドル/円の戻りは110.00円だったのが、109.00円、そして108.00円と徐々に下がってきています。
米金利の低下傾向も顕著になっており、今回の局面では107円台に戻るのもちょっと難しくなってきたと想定しています。
米中貿易戦争が加熱するリスクオフ環境下、「株安・円高」は継続。
当コラムで、米ドル/円は短期のターゲットとしていた104円台を今週(8月26日~)達成。
【参考記事】
●NZ中銀が0.50%大幅利下げのサプライズ!ドル/円は中期的に100円への流れ変わら(ず(8月8日、西原宏一)
米ドル/円は、中期的に101円台へ向けて続落という方針は変わらず。

(出所:Bloomberg)
101円台に向けて続落する米ドル/円の行方に注目です。
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