■トランプ大統領の暴走止まらず! 米企業が中国から撤退!?
トランプ米大統領の暴走が、さらに酷くなってきています。
中国が報復として関税の引き上げを決定したことを受けて、激しい口調で中国を攻撃し、中国に対しての、さらなる関税措置を発表しました。

中国が報復措置として米国からの輸入品に対する追加関税を決定したことを受け、トランプ米大統領は激しい口調で中国を攻撃し、中国に対するさらなる関税措置を発表。今井氏はトランプ米大統領の暴走が、さらに酷くなってきていると指摘 (C) Chip Somodevilla/Getty Images News
それを受けて、USTR(米通商代表部)は8月28日(水)、トランプ米大統領が提示した総額3000億ドル相当の中国製品に対する関税率を5%引き上げ、15%にすると官報で正式に発表しました。
引き上げは2段階で行われ、9月1日(日)に約1250億ドル相当の製品を対象とし、残りは12月15日(日)付で実施することになります。
9月の引き上げでは、スマートウォッチ・Bluetooth(ブルートゥース)ヘッドフォン・薄型テレビ・靴などが対象となり、12月分は携帯電話・ノート型パソコン・おもちゃ・衣類などが対象となります。
また、これまで25%の関税をかけていたものに対しても、5%の関税引き上げを10月1日(火)に実施することを明らかにしています。さらには、トランプ米大統領は米国企業に対して、「中国から撤退するように」と発言するありさまです。
【参考記事】
●1月のフラッシュクラッシュとの違いは何? ドル/円は窓を埋めたが中期的には101円へ!(8月26日、西原宏一&大橋ひろこ)
●投機筋の円買いはまだ積み上がる余地あり! 米ドル/円は106円台後半にかけて戻り売りか(8月27日、バカラ村)
....better off without them. The vast amounts of money made and stolen by China from the United States, year after year, for decades, will and must STOP. Our great American companies are hereby ordered to immediately start looking for an alternative to China, including bringing..
— Donald J. Trump (@realDonaldTrump) August 23, 2019
■振り回されて、非常にやりにくい相場に…
こうしたことを受けて、一時、急激な円高が進み、米ドル/円も104円台まで米ドル安・円高が進む展開となりました。
しかしその後、「中国が再交渉をしたいと言ってきている」とトランプ米大統領が発言すると、一転して円安の展開となっています。

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 4時間足)
こういう政治相場は、要人の発言などで振り回されてしまうので、非常にやりにくいというのが実際です。
少し、脇で見ているしかないかなと、考えているところです。
■円には上昇圧力。米ドル/円の戻り売り水準は?
ただ、世界経済全体が減速傾向に入ってきているのは間違いないと思うので、金融緩和の余地がもっとも少ない円に上昇圧力がかかるのは、自明の理ではないかと考えています。
【参考記事】
●円高はあっても、米ドル安にはならない!? 荒れ相場で勝者になるためのトレードは?(8月16日、今井雅人)
●米ドル/円は107円近辺へ反発すれば売り! 円安に戻っていく可能性は極めて低い!?(8月8日、今井雅人)
そうであれば、円安になったところで、米ドル/円、クロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)で円買いポジション(=売り)を作るのが、一番、確度の高いトレードではないかと思います。
米ドル/円の106円台半ばあたり、ユーロ/円では118円台は、良い売りレベルではないでしょうか。

(出所:TradingView)

(出所:TradingView)
■英首相が議会休会を決定! 合意なき離脱に近づく!?
政治の混乱は、英国でも続いています。
ジョンソン英首相は8月28日(水)、10月中旬まで英議会を休会とする方針を表明しました。
EU(欧州連合)離脱期限となる10月末までの、議会の審議時間を大幅に短縮し、合意なき離脱阻止に向けた議会の動きを封じ込める考えとみられています。

10月中旬まで英議会を休会すると発表したボリス・ジョンソン英首相(写真中央左)。10月末に迎えるEU離脱期限までの審議時間を減らして議会の合意なき離脱阻止に向けた動きを封じ込めるのが狙いだとみられている (C)WPA Pool/Getty Images News
ジョンソン英首相は、議会開会を正式に宣言する女王演説を、10月14日(月)に設定しました。これによって、議会は9月9日(月)の週から10月13日(日)まで閉会されますが、10月17日(木)~18日(金)に開催されるEUサミット(首脳会議)までに残された時間は、わずか数日。
また、EU離脱まで2週間強となり、合意なき離脱の可能性が強まってきます。
■英ポンドを取り巻く環境は混乱。一段の下落余地も
これに対して、与野党議員は反発を強めており、ジョンソン政権に対する内閣不信任決議案が提出される確率も高まってきています。もし、可決されれば、総選挙が行われる可能性も出てきました。
労働党のコービン党首は、時宜にかなえば、内閣不信任案を提出する意向を表明。与党保守党で、合意なき離脱に反対するグリーブ議員も、内閣不信任投票が実施される可能性が高いとの見方を示しています。
まだまだ、英ポンドを取り巻く環境も混乱しており、英ポンドがさらに下落する可能性も、十分あると考えています。
【参考記事】
●市場を膠着させている4つの「摩擦」とは? 英ポンドはブレグジット後の最安値更新も!?(8月22日、今井雅人)
●英ポンド大混乱か。合意なき離脱の高まりがEU離脱取り止めの可能性を高める!?(8月22日、西原宏一)

(出所:TradingView)

(出所:TradingView)
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