■サウジ石油施設攻撃、イランか自作自演か
週末にサプライズとなったのが、サウジアラビアの石油施設に対する攻撃ですね。イエメンのフーシ派が犯行声明を出していますが、ポンペオ米国務長官はそれを否定。
「イランは世界のエネルギー供給に対して前例のない攻撃を仕掛けた」としています。
世界にとっていいニュースではないですね。
気になるのは攻撃のタイミング。ちょうど先週(9月9日~)、トランプ米大統領がイランへの制裁緩和を示唆して原油価格は下落していました。
サウジアラビアでは、サウジアラムコ会長も兼務していたファリハ・エネルギー相が9月7日(土)に解任されたばかりでもあり、サウジアラムコは年内にもサウジアラビア国内で上場予定です。
原油価格を持ち上げるための「サウジ自作自演説」も出ていますね。
(出所:Bloomberg)
原油価格へは上昇圧力がかかりそうですね。
足もとで原油の需給はバランスしていましたし、この報道を受けて、アメリカが石油備蓄を放出する用意もあるようなので、今すぐに供給不足になることはないと思います。ただ、週明けの原油先物市場は時間外取引で18%もの急騰となっています。
(出所:Bloomberg)
【参考コンテンツ】
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■「供給障害」の原油高はリスクオフ要因に
今朝(9月16日早朝)のオセアニア市場では、米ドル/円が50銭ほど下窓を開けて始まりましたが、東京市場は休場。
アジアやロンドンの市場でもこのニュースを消化しきれないでしょう。ニューヨーク市場がどう反応するか、米国株の動きを見たいですね。
(出所:Bloomberg)
(出所:Bloomberg)
需要の拡大で需給バランスが崩れ原油価格が上がるのなら、景気の強さの裏返し。そのときはリスクオンの株高となりやすいですが、今回のように「供給障害」による原油価格上昇はリスクオフ。株式市場へは悪影響と考えるのが、セオリーです。
先週(9月9日~)はECB(欧州中央銀行)の政策発表もありました。マイナス金利の深堀りやQE(量的緩和策)再開など、ほぼ満点の回答。
ユーロは発表直後こそ下がったものの、事前にアナウンスされていた内容でもあり、「バイ・ザ・ファクト」による買い戻しとなっています。
(出所:Bloomberg)
ユーロ/米ドルは1.0926ドルでダブルボトムとなり、底入れした可能性もありそうですね。欧州通貨では英ポンドの上昇も目立ちます。英国の合意なきEU離脱のリスク後退による上昇、ということでいいのでしょうか。
ボリス・ジョンソンが首相に就任した日の英ポンド円が135円。一時は126円まで下げましたが、先週(9月9日~)末が135円ですから、2カ月弱で往復したことになります。
ただ、ブレグジットがどうなるかは「Who knows?」の世界。この2カ月ほど、為替市場は英ポンド主導で動いていましたが、ここからはユーロが主導の相場となるのかもしれません。
【参考記事】
●ボリス・ジョンソン氏が英首相に就任。英国の合意なきEU離脱懸念が高まる!(7月25日、西原宏一)
(出所:Bloomberg)
■FOMC、年内の追加利下げの有無は?
今週(9月16日~)、18日(水)はいよいよFOMC(米連邦公開市場委員会)です。市場予想は25bp(0.25%)の利下げで一致していますね。
おそらくそうなるのでしょう。来年(2020年)も含めると、市場はあと1%程度の利下げを織り込んでおり、FRB(米連邦準備制度理事会)のパウエル議長が期待に応えられるのかどうか。
市場とのコミュニケーションが不得手な人なので、思わぬ発言で市場が混乱する可能性もありそうです。また、さらなる利下げを求めるトランプさんのツイッター砲にも要注意ですね。
【参考記事】
●10月までトランプ砲は撃たれない!? ECB次第だが、ユーロ/米ドルは押し目買い!(9月9日、西原宏一&大橋ひろこ)
米長期金利は先週(9月9日~)末、急騰しましたね。「債券から株へ」と資金が流れているのでしょうか。
(出所:Bloomberg)
米長期金利はこのところ行き過ぎることが多い。去年(2018年)11月に3.25%もあったのに8月には1.5%割れ。そして先週(9月9日~)末は1.9%。乱高下はあるものの中期的には、やはり金利は低下するのだろうと思います。
NYダウは8日続伸。あと140ドルで史上最高値の更新です。
(出所:Bloomberg)
想定していなかった展開ではありますが、今、米国株を買う強い理由があるかと言われると見当たらない。史上最高値を更新したとしても「ブルトラップ」となり、反落するのではないでしょうか。
■底入れ濃厚なユーロ/米ドルのロングが良さそう
FOMCの翌日、9月19日(木)は日本銀行の金融政策決定会合です。
米ドル/円は一時108円台まで上昇、日経平均も2万2000円近辺ですから、とくに動く必要もないでしょう。
(出所:Bloomberg)
(出所:Bloomberg)
9月19日(木)は中銀会合の集中日。日銀のほか、イギリスやスイス、南アフリカ、ノルウェーでも政策金利発表が予定されています。
今週(9月16日~)はユーロ/米ドルのロングでいいのではないでしょうか。ドイツ銀行の問題やドイツ経済のリセッション懸念、そしてECBの金融緩和と売り材料がそろっていながら1.10ドルを明確に割り込めませんでした。
ドルインデックスは米ドル反落を示唆しており、主に対ユーロで米ドル安が進むと見ています。
【参考記事】
●香港デモは逃亡犯条例案撤回で一時収束! 今、ユーロ/米ドルに注目するワケとは?(9月5日、西原宏一)
有料メルマガ「FXトレード戦略指令!」で配信したように、ユーロ/米ドルはすでにロングにしていますが、これから買うのならば深い押し目には期待せず、浅い押し目で待ったほうがいいのではと思います。
(構成/ミドルマン・高城泰)
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