■「トランプ砲」は10月まで撃たれないか
香港と英国、西原さんが気にしている2つの国で進展がありましたね。
香港では逃亡犯条例の改正案を撤回。英国ではEU(欧州連合)離脱延期法案が可決され、ノーディール・ブレグジット(合意なき離脱)の可能性が後退しています。
【参考記事】
●香港デモは逃亡犯条例案撤回で一時収束! 今、ユーロ/米ドルに注目するワケとは?(9月5日、西原宏一)
●ジョンソン英首相が窮地!? 英ポンド急騰! しかし、英ポンドはいずれまた売られる(9月6日、今井雅人)
ところが、香港デモは沈静化していませんね。
米国の支援を求めて米総領事館に向かって行進するなど、数万人規模のデモが続いています。
今週9月11日(水)~12日(木)にかけては、一帯一路サミットが香港で開催されます。
中国には頭の痛い問題でしょうが、米中貿易戦争では進展がありました。米中は10月初旬に閣僚級交渉を行うとのこと。
合意できるかどうかは懐疑的な人も多いですが、ひとまず、10月まではトランプ米大統領のツイッターリスクに怯える必要もなくなった、ということでしょうか。
■リスクオフポジションの巻き戻しが進む
米中貿易戦争、香港デモ、ノーディール・ブレグジットでいずれもいいニュースが出たことで、リスクオフの巻き戻しが進んでいます。
豪ドルやNZドルなどのオセアニア通貨も短期的に底入れしたようです。

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:豪ドル/円 4時間足)

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:NZドル/円 4時間足)
主要国の長期金利も、底入れしたようにも見えますね。
米2年債と10年債の逆イールドも解消へと向かっていますし、来週9月19日(木)のFOMC(米連邦公開市場委員会)での利下げ織り込みを見ると、50bp(0.5%)はほぼなくなり、25bp(0.25%)が100%に近づいています。
NYダウも8月からのレンジを上抜け。高値トライをうかがうチャートとなっています。

(出所:Bloomberg)

(出所:Bloomberg)
NYダウが2万7000ドルの高値を抜けてくると弱気シナリオを修正しないといけないでしょう。
ただ香港デモは続いていますし、5つの要求のうち、ひとつが実現されたにすぎません。
ブレグジットの行方も依然として不透明。追い込まれたボリス・ジョンソン英首相は「(ブレグジットを延期するくらいなら)死んだほうがマシ」とまで話しています。
英議会は今日(9月9日)、明日(9月10日)にも閉会となりますが、ボリス(※)は先週(9月2日~)否決された解散総選挙を再び提案する見通しです。
(編集部注:英国でボリス・ジョンソン英首相は「ボリス」という愛称で呼ばれている)
【参考記事】
●新英首相ボリス・ジョンソンってどんな人? 合意なき離脱を呼ぶ!? ナルシストの正体!(7月30日、松崎美子)
(次ページでは、ECBやトルコ中銀の金融政策、今週の戦略の話題が…)
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