■国慶節に合わせて香港デモは最大規模に
先週(9月23日~)後半の市場を騒がせたのが「トランプ政権、米上場の中国株廃止を検討」とのニュース。
アリババやバイドゥなど米国市場に上場する中国企業の株価が下落したのはもちろん、米ドル/円も下落。リスクオフ的な動きになりました。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 1時間足)
週末に当局から否定コメントが出るだろうとの思惑もあり、影響は限定的でしたが、圧力を強める政策のひとつとして検討されているのでしょう。
俎上に載っていることが周知されれば、一定の抑止力は発揮しそうです。
今週(9月30日~)の注目はカレンダーですね。10月1日(火)から中国は国慶節。7連休に入ります。
上場廃止のニュースに対して、今のところ上海市場で目立った反応はありませんが、連休前のポジション調整も出るでしょうから、後場も引き続き警戒です。
もうひとつの注目は、香港デモ。国慶節にあわせて最大規模のデモが計画されています。
人民解放軍を繰り出すわけにもいかず、催涙弾などで応戦するのでしょうが、沈静化の兆しはない。
そうこうしているうちに香港経済への影響も拡大しています。国慶節の間に中国本土から香港を訪れる観光客は前年比86%の大幅減の見込みだそうです。
■トランプ米大統領の天敵「AOC」とは?
今日9月30日(月)は月末、四半期末、半期末です。特殊なフローが出やすい時期ですね。
NYダウは最高値2万7398ドルを更新できずに反落していますが、米ドル/円がついてこない。これも半期末の影響なのかもしれません。
10月に入って流れがコロっと変わることも多いので、10月1日(火)からの市場がどう動くのか、特に米株との相関性に注目したいと思います。
【参考記事】
●ドル/円の108.50円は強烈なレジスタンス! 米ドル/円の動きも、英ポンド/円次第か…(9月26日、西原宏一)
日本では、10月1日(火)から消費税率が引き上げられます。
市場の噂では、「消費増税のせいで株価が落ちた」との批判が起きないよう「忖度買い」が出たのではとも言われていますね。
経済指標では、10月1日(火)に米ISM製造業景況指数が発表されます。
前回発表された数字は49.1。予想を下回っただけでなく分岐点となる50を割ったことで米ドル安要因となりました。
(詳しくはこちら → 経済指標/金利:米国主要経済指標の推移)
前回もそうでしたが、経済指標でサプライズがあっても流れが続きません。
今のテーマは政治。米中や弾劾、あるいは中東の話が出ると、経済指標の結果は吹き飛ばされてしまう。
トランプ米大統領の弾劾については、積極的に動いているのが「AOC」ことアレクサンドリア・オカシオ=コルテス議員。
プエルトリコ系であるAOCのほか、パレスチナ系、ソマリア系、アフリカ系の4人の急進的な女性議員=「AOC Plus 3」がトランプ米大統領の天敵となりつつあります。
【参考記事】
●中東リスクと米中貿易戦争への懸念継続。米ドル/円、豪ドル/円の戻り売りが良さそう(9月23日、西原宏一&大橋ひろこ)
■NZ乳業最大手フォンテラは400億円の大赤字!
10月1日(火)にはRBA(オーストラリア準備銀行[豪州の中央銀行])が政策金利を発表します。どう予想しますか?
金利先物市場を見ると、25bp(0.25%)利下げの織り込度みは77%。利下げ濃厚ですが、確実というほどではありません。
オセアニアで驚かされたのが、NZ乳業大手フォンテラの決算。2019年7月期は約400億円の大赤字でした。
酪農製品はNZ最大の輸出品目ですし、最大の輸出国は中国。
先週(9月23日~)、RBNZ(ニュージーランド準備銀行[ニュージーランドの中央銀行])のオア総裁が「非伝統的な金融政策を採用する必要は現時点ではない」と話したことでNZドルが買われる場面もありましたが、フォンテラの業績を見るとNZドルに対して強気にはなれないですね。
ニュースは多いものの、ボラが高まらないですね。ただ、株式市場のリスクは、上よりも下のほうが大きいのは確かです。
【参考記事】
●ドル/円の108.50円は強烈なレジスタンス!米ドル/円の動きも、英ポンド/円次第か…(9月26日、西原宏一)
■ゴールドは三尊完成か。ユーロや英ポンドを戻り売り
コモディティで気になるのはゴールド。チャートは三尊天井(※)を完成しつつあります。
ネックラインは1480ドル前後、ターゲットは1400ドル前後になります。あくまでもチャート的には、ですが。
(※編集部注:「三尊天井」=「三尊型」。「三尊型」はチャートのパターンの1つで、天井を示す典型的な形とされている。仏像が3体並んでいるように見えるために「三尊型」と呼ばれていて、人の頭と両肩に見立てて「ヘッド&ショルダー」と呼ぶこともある)
(出所:Bloomberg)
ゴールドは、週足を見ても5波動を完成させ、下落するように見えますね。
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国慶節を控え、「しばらく米中が揉めることはないだろう」との安心感から米株の買い戻しが進んでいましたが、それも一巡したのでしょうか。
10月7日(月)には米中の交渉が再開。ブレグジットも10月17日(木)、10月18日(金)のEU(欧州連合)首脳会議へ向けて大詰めです。
こうしたヘッドラインリスクで大きく下がるリスクは高まっているようですね。
米ドル/円の戻り売りでもいいのですが、107円割れには買いがズラッと並んでいるとの噂もあり、上値は重いものの下も固い。
対欧州通貨での米ドル高は、まだ続きそうなこともあり、今週(9月30日~)はユーロ/円、あるいは英ポンド/円の戻り売りでしょうか。
(出所:TradingView)
(出所:TradingView)
(構成/ミドルマン・高城泰)
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