■一帯一路サミット間近。香港デモの行方は…
今週(9月2日~)から9月入りですね。
米国は中国への追加関税第4弾を9月1日(日)に発動し、中国も即座に報復。
米中が電話した、しないといった話題はありましたが、結局は先週月曜日(8月26日)の流れが継続しています。
【参考記事】
●1月のフラッシュクラッシュとの違いは何? ドル/円は窓を埋めたが中期的には101円へ!(8月26日、西原宏一&大橋ひろこ)
●米中当局間で展開されるライアーゲーム!? ドル/円は中期的に101円台へ向けて続落か(8月29日、西原宏一)
香港デモも激化していますね。すぐに保釈されたものの、リーダー2人が逮捕され、一時拘束されました。
【「戲子」飆演技 「黃媒」作虎倀】警方前晚在荃灣街頭遇襲,六名警員拔槍戒備,一人向天開槍示警,警方發言人昨天在記者會上詳細交代了事發經過,指出拔槍及開槍是遇襲警員當時唯一可以作出的必要及合理選擇...https://t.co/n2tMgTkCSS pic.twitter.com/Ceg1T9wh76
— 香港大公文匯傳媒集團 (@takungwenwei_hk) August 27, 2019
香港デモの行方は気にしています。6月から毎週末、大規模なデモが続いており、出口が見えません。
5つ星ホテルも大幅にディスカウントしており、香港経済への影響も大きいでしょう。
デモをどう抑え込むのか、中国当局としても頭が痛いところでしょう。
香港では9月11日(水)、9月12日(木)に一帯一路サミットが開かれます。
当局はそれまでに沈静化させたいのでしょうが、難しいですね。
中国人民解放軍が繰り出すことになれば天安門事件を想起させ、世界からの猛批判は免れないでしょう。
■香港デモ、為替はどう反応するか
天安門事件のときは中国人民元のプロキシー(代替)として円が売られました。
もし、香港デモで同じような悲劇が起これば、市場はどう反応するのでしょうか?
天安門事件が起きた1989年当時は中国人民元を取引できなかったため、プロキシーとして円が売られました。
今は基本的にリスクオフの円買いではないでしょうか。
血が流れない解決を願いますが、欧米は政治カードとして香港デモを見ているのかもしれないですね。
10月には中国共産党の重要会議である「四中全会」が開催されるようです。
デモへの対処を間違えれば、習近平体制の崩壊にもつながりかねません。
【参考記事】
●みんなまだ知らない中国人民元の謎に迫る! 第2回 スワップは高い? レートは5割安い!?
デモの裏で米国が動いているのでは…との見方も根強いですからね。
先週(8月26日~)はサウジアラムコが上場先として東証を検討との報道も出ました。
ロンドンはブレグジット(BREXIT)、香港はデモ長期化の影響で資金が流出していることから嫌気されているようです。
長期的には日本株にとっていい話ですね。
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■ユーロ/米ドルの1.10ドル割れでFRB批判ツイート
同じく中国の影響により景気減速しているのがドイツ。ユーロ/米ドルは節目の1.10ドルを割り込みました。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/米ドル 4時間足)
先週末のユーロ下落は月末のリバランスの影響もあったようですね。
対ユーロでの米ドル高にトランプ米大統領は早速、ツイッターでFRB(米連邦準備制度理事会)を猛批判しています。「FRBは何もわかっていない!」と。
....We don’t have a Tariff problem (we are reigning in bad and/or unfair players), we have a Fed problem. They don’t have a clue!
— Donald J. Trump (@realDonaldTrump) August 30, 2019
米ドル売り介入の噂は絶えないですし、トランプさん絡みのヘッドラインリスクも高く、ユーロ/米ドルはどこかで吹き上がるリスクがあります。ショートにしづらいですね。
【参考記事】
●7月FOMCでの0.50%利下げ予測が再燃!ドル/円は目先104円台、中期的に100円へ(7月11日、西原宏一)
●米国の為替介入に不安高まる…。ドル/円は110円が遠くなり、100円へ向けて下値拡大中(7月18日、西原宏一)
今週(9月2日~)は豪州やカナダの政策金利発表があります。
9月3日(火)にRBA(オーストラリア準備銀行[豪州の中央銀行])、9月4日(水)にBOC(カナダ銀行[カナダの中央銀行])です。
ともに今回は据え置きとの見方が大多数ですが、年内1回の利下げが織り込まれています。
今回もし、利下げがあればサプライズですし、据え置きでもコメント次第では下落するリスクがありそうですね。
特にカナダの政策金利は1.75%。先進国の中では高水準ですから、何もしなければ買われてしまいます。
■注目は英議会! 米ドル/円や英ポンドは戻り売りで
今週(9月2日~)注目しているのが9月3日(火)に始まる英議会。
ジョンソン英首相が9月第2週から長期閉会を決めたことで1週間足らずの短期戦となります。
ノーディール・ブレグジット(合意なき離脱)阻止や内閣不信任案提出のラストチャンスとなり、ヘッドラインリスクも高まります。
【参考記事】
●1月のフラッシュクラッシュとの違いは何? ドル/円は窓を埋めたが中期的には101円へ!(8月26日、西原宏一&大橋ひろこ)
9月3日(火)に始まる英議会は、ジョンソン英首相が9月第2週から長期閉会を決めたことで1週間足らずの短期戦に… (C)Justin Sullivan/Getty Images
あまり注目されていないのですが、先週金曜日(8月30日)に日銀は9月から国債買い入れ額を1000億円減額すると発表しました。
世界的に金融緩和競争が激化する中、この発表が引き締めと受け止められると円高リスクが高まるのですが……。
日銀としては金融緩和の副作用を懸念しているのでしょう。
いずれにせよ、米中貿易戦争や香港デモの激化など、リスクオフ方向の目線は変わりません。
米ドル/円は戻り売りですし、英ポンドもショートカバーで上昇する場面があれば売っていきたいと思います。
(出所:TradingView)
(構成/ミドルマン・高城泰)
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