■NYダウは史上最高値に肉薄!
イベントの重なった先週(10月28日~)ですが、ブレグジットは期限を延期、FOMC(米連邦公開市場委員会)は予想通りの利下げ、日銀会合はフォワードガイダンスの変更のみで追加緩和は見送り。サプライズなく終わりましたね。
そのわりには11月1日(金)の株式市場、とくに米国株は強かった。NYダウは300ドルの値上がりとなり、7月につけた史上最高値2万7398ドルまであと50ドルと肉薄しました。

(出所:Bloomberg)
あえて材料を探すとすれば、米中通商協議が合意間近だと改めて報道されたことでしょうか。
それもあるとは思いますが、「下がれば買う」というバブル的な相場になっているように感じます。
とくに「政治リスクでの下落は買い場」の考え方が強いのか、今回もトランプ米大統領への弾劾調査の決議が下院で可決されたことで株価が急落した翌日の急騰劇でした。
■米国株高はバブルなのか?
NYダウの史上最高値の更新はあるのでしょうか?
2018年1月のNYダウは2万6000ドル。それから2年、米国株は史上最高値を更新するもののブルトラップとなり急落する相場を繰り返してきました。何度も史上最高値を更新したわりには上昇幅は1000ドルだけ。
今回も史上最高値更新がブルトラップとなるのか、見てみたいですね。個人的には、今回の株高はバブルであり、どこかでバーストすると考えています。年内に崩れてもおかしくないし、そのときには10%以上の急落となるのでしょう。

(出所:Bloomberg)
自社株買いが米国株を押し上げていると見る人もいますね。ファンド筋はキャッシュポジションを積み上げているようですし、そうなるとまだ上値余地があるのかもしれません。
日経平均も先週(10月28日~)は2万3000円台にタッチするなど強いのに、米ドル/円はさえないですね。材料出尽くしということでしょうか?

(出所:Bloomberg)

(出所:Bloomberg)
一部の市場参加者は日銀の追加緩和期待で買っていましたから、追加緩和見送りの発表とともにロングポジションの利食いが出たのでしょう。また109円台では日本の輸出企業の売りも出ていたようです。
■ブレグジット党が火をつける、米ドル/円下落
米ドル/円はちょうど200日移動平均線で頭を抑えられた形です。

(出所:Bloomberg)
FOMC直後につけた高値が109.29円。これが目先の天井となるのかもしれません。
そこで気になるのが英ポンド。12月の総選挙へ向けて合意なきEU(欧州連合)離脱をめざす「ブレグジット党」が勢力を伸ばせば、保守党も無視できなくなる。
ほぼ0%になっていた合意なきEU離脱のリスクが復活しており、大手証券会社の一部は英ポンドロングの推奨をやめたようです。個人的にも英ポンド買いをいったん手仕舞って、様子見です。

写真はブレグジット党のファラージュ党首。12月の総選挙でブレグジット党が勢力を伸ばせば、保守党も無視できなくなると西原さんは指摘している (C)Leon Neal/Getty Images
10月のクロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)上昇は英ポンドが牽引役でした。合意なきEU離脱のリスクが復活すると、円にも影響がありそうですね。
10月の米ドル/円が底堅い動きを見せたのも英ポンド/円の上昇による影響だったと考えています。英ポンド/円の上昇が止まるのならば米ドル/円も下がりやすくなるでしょう。
【参考記事】
●ドル/円の108.50円は強烈なレジスタンス! 米ドル/円の動きも、英ポンド/円次第か…(9月26日、西原宏一)

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:英ポンド/円 日足)
(次ページでは、米ドル/円105円割れ、今週の戦略の話題が…)
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